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おいしい珈琲納め

年の瀬。

としのせ。

トシノセ。

ありがたいことに

ワタシの働いている

珈琲屋さんは

オフィス街に立地しているため

一般企業と同様、

年末年始がお休みなのだ。

年内に片付けたかった仕事も

7割くらいで終えてしまった事に

後ろ髪を引かれつつも

「まあいっか、来年で。」

と朝起きては1日1回

その言葉を

頭に思い浮かべては

また、

「まあいっか、来年で。」

で済ませる。

便利な言葉だ。

魔法の言葉だ。

「まあいっか。」

ですませられない性格だったならば

今ごろ

ベストセラー作家になっていたかもしれない。


そんなくだらない妄想をしながら、

年内においしい珈琲屋さんで

珈琲納めをしたいと思い

渋谷にある

「茶亭羽當」

に行ってきた。

おひとりさまだったので

カウンターに案内された。

ここの醍醐味は、

お客様のインプレッションに合わせた

カップアンドソーサーで

珈琲を出してくれる事だ。

「コロンビアと、紅茶のシフォンケーキください。」


左隣のおじさんは、

珈琲をすすりながら

年賀状を熱心に書いていた。

かたや

右隣のおじさんは、

マスターと

今年のコロナ事情について

熱い議論を重ねていた。

きっと両隣のおじさんたちは

毎日通っているのだろう。

マスターとお客さんの間に

「目には見えない信頼関係」

を感じた。

これが珈琲屋さんの

いいところだよなあと思う。

ワタシは

本を読みつつも

右隣のおじさんとマスターの会話に

耳を傾けながら

珈琲が出てくるのを待った。

「お待たせしました〜」

誰にでも好かれそうな

つぶらな瞳の中年女性から

珈琲と紅茶のシフォンケーキを

受け取った。

今日出てきた

カップアンドソーサーは、

少し

恥ずかしいくらい

派手目のデザインだった。

ワタシ

割と素朴な顔立ち寄りなんだけどなぁ。

でも確かに

内面は

頑固で大胆なところもあるしなぁ。

見透かされたのかなぁ。

まるで

カップアンドソーサーで

占いを

しているかのように

じーっと眺めながら

ああでもない

こおでもない

と考える。

肝心の珈琲とシフォンケーキも

もちろんおいしい。

何もしなくても

味の良い珈琲屋さんで

気の利いたサービスを受けると

嬉しいと同時に

やられた気分になる。








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