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『私を創るのは私』と背中を押されて飛び立つアンジュルムの第二章

アンジュルムの新曲『私を創るのは私』のMVが公開された。

作詞は井筒日美さん。アンジュルムでは名曲『涙は蝶に変わる』とか書いてて、Juice=Juiceの『Fiesta! Fiesta!』、こぶしファクトリーの『これからだ!』、つばきファクトリーの『初恋サンライズ』なども作詞されている。各グループの転機となる時期にリリースされる重要な曲を担当されている印象がある。

なかなか児玉雨子、山崎あおい、大橋莉子、大森靖子などなどとクセの強い作家の陰に隠れてしまっているが、グループとして勢いを出させるタイミングに相応しいアツい詞を書く人だ。そして普段アニソン畑だからなんだろうか、『私を創るのは私』もそうだがアニソンぽい曲調の歌に詞を乗せるのが上手い。

さて『私を創るのは私』は、失恋(こっぴどく振られたぽい)した女子が「あー、もう!次だ次!」と過去を振り切って進む的な曲にも見えるが、明確な失恋描写は「いっそ、過ぎた恋」の一行だけ。

それよりも今の置かれた立場、状況の閉塞感を“此処で”はない何処かに求めて「現状から抜け出す勇気を持つぞ!他の誰かの評価とか知らんがな!私は私なんだから、こんな状況ブチ壊してやるわ!」という強い現状打破の意思、魂の叫びが全体から感じ取れる内容だ。

初めて聴いたのは9月25日のパシフィコ横浜、りなぷ卒業コンサートだった。その時は「アンジュルムの第二章だ!」という前向きな歌だと思った。だが、その後の激動のハロプロを見てきて改めて聴くと、もうなんか新リーダーになってからの竹内朱莉の気持ちや、卒業を発表した中西香菜の気持ち、カントリー事実上の解散でハロプロに見切りをつけた船木結の気持ちとか、色んな思いが乗っかってしまって、全然前向きなだけには感じられない。

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葛藤はねのけなきゃ
一歩踏み出さなきゃ
きっとここじゃないどこか
もっと自立しなきゃ
いっそ、過ぎた恋
言い訳にすがりたい

この辺は甘えから抜け出して行こうとしている中西香菜の事のようだ。

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馴染んだ居場所が変わってゆく
しがみついた日常 手のひら返すよ
心は壊れた羅針盤だ
だけど道を選ぶのは私

ここは突き付けられたカントリー休止の悔しさ、やり切れなさを「きっと見返したい」という気持ち、エナジーに変えて現実と向き合い立ち去ろうとしている船木結の叫びのようだ。

そして

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そんな目まぐるしく変わっていく状況に立ち向かい「どうにかなる!」とドン底を経験した竹内朱莉が、残るアンジュルムのメンバー、特に若い子達に向けているような気持ちを感じてしまう。

とはいえ本当はストレートに「新しい第二章を切り拓くぞ!」というだけの曲だと思うんだが、勝手に今の状況がトッピングされた結果、最初の印象とは全く違う曲になってしまっている。

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MVでは先輩メンバーがゲーム内の新しく加入した3人をスマホで操作して導きながらアンジュルムに合流させるシチュエーションを撮っているが、もはやそれすら詭弁に思ってしまう。

「私を創るのは私」だから、私は自分の意思で切り拓く!誰の手も借りねぇ!

それが個々の自立を促し、個性を磨いてアンジュルムとしても輝いてくれるような未来になってくれると嬉しいんだが、未来はどうなる事やら。

なんて書いたけど、パシフィコ横浜の昼夜コンサートに入ってみたら、今後のアンジュルムは何があろうと誰が抜けようと大丈夫なんじゃないかなと思えた。

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ついさっきの事だけど、新メンバーだけじゃなく3期やかみこ、桃奈、かわむ含めて気持ちは前に向いていると思えるアツいコンサートだった。未来が不安なら、そんな未来も自分で切り拓いてやる!そんな意気込みがビシバシと飛んできて感動してしまった。

アンジュルムは大丈夫。私も大丈夫。

最後のMCでタケが会場全体に語りかけてくれた。詭弁でも強がりでもなく、タケの言葉は真っ直ぐ受け取れた。アンジュルムの第二章は、とっくに始まっていた。

だから僕らはそれを見守っていくだけだ。背中を押されたのは僕らヲタなのかもね。

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