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あらためて「和田彩花とは」を【多様性】というキーワードで考える 前編

6月にアンジュルムを卒業して以来、初めて客前に立つ和田彩花を見てきた。いや、堪能してきた。

カルチャーフェス『NEWTOWN 2019』でパフォーマンスをするという事だったが、最初はそんなに行くつもりはなかった。多摩センターは遠い。前売りのチケットとかがあるわけでもないから、まあ気が向いたら行くかくらいの気持ちだった。

そこにこんなインタビュー記事が出た。

そして「和田彩花×Shi is~自分で選ぶこと、決めること~」というテーマで同カルチャーフェスにて30人限定のトークイベントを開催すると発表された。しかも、参加者がそれぞれ自分の人生の選択をする上で影響を受けた一冊を持ち寄ってプレゼンをし、最後は本の交換会もするという。

面白そうだな、と思い応募した。まあ、意外とこういう女性向けのイベントって男目線も欲しがる事あるから、熱意さえ伝われば選ばれたりするかもしれないという打算も含みつつ、だったが本当に当選するとは思わなかった。

最近は完全に読書はKindle派なので、手元に本がなくて慌ててジュンク堂に買いに行った。

小学校の体育館に和田彩花

多摩センター駅、サンリオピューロランドに行く以外では訪れない駅だ。当日は味の素スタジアムでラグビーW杯準々決勝日本vs南アフリカが開催されるので、新宿からの京王線は応援に行くであろう様々な国の人で溢れていた。それを横目に多摩センター。

だが、結構あやちょライブまで時間ギリギリ。しかも多摩センター駅ってなんか構造が迷路みたいで迷子になる。とりあえず地上に出てタクシー捕まえて会場へ滑り込む。イベントは元小学校の敷地内を利用しているので、あやちょライブは体育館で行われる。選挙の日くらいしか、小学校の体育館なんて入らないからこういう現場も面白い。

靴を脱いでいると隣を劔樹人さんと犬山紙子さん夫婦が子供を連れて入ってきた。お二人もあやちょ好きだなぁ、こんなトコまで来るのね。なんて思いつつ離れて座る。しかし暑い。だが空調は効いていない。何故なら体育館だから。

そうこうしていると暗転。ふわ~っと舞台袖から登場したあやちょ。「おぉ……」という不思議などよめきが起こる。小さな小学校の体育館に和田彩花という取り合わせの違和感、本当に来たぞという気持ちが漏れたんだろうか。あやちょはそんな雰囲気は気にせずに歌い出す。

あれ?フランス語の曲じゃない。

てっきりYouTubeにアップされた曲を歌うと思っていたら、更に別の新曲。これも本人が作詞したらしい。まだ題名も仮という状態だけど、曲中にコンテンポラリーダンスやポエムも盛り込んで、ステージだけじゃなく体育館の壁まで広がるVJ映像も含めて総合芸術的な作品だった。

所在なく振られる赤いキンブレとステージの対比も面白かった。

一曲歌い、喋りだすあやちょ。めちゃくちゃ緊張しているようで何時になく早口。しかし「今日は歌うのはこれだけです」サラッと言うあやちょ。そして「え?」とキョトンとする観客。SEN MORIMOTOとのセッションは?

そんなあやちょの後ろでSEN MORIMOTOバンドがセッティングを始める。ふわふわとしたあやちょが彼らを紹介しながら「じゃあ、始めましょうか」とノートを広げ、演奏に乗せてポエトリーリーディングが始まる。

卒業前のアンジュルムのホールツアーでも途中にポエトリーリーディングのコーナーがあった。だが、アンジュルムの激しいライブの間にあると少し違和感があると思った。構成的なテンポが悪いような感じだったが、この日の朗読はすごくスッと入ってきた。場の空気感との融合なのか実に心地良い。リラクゼーションルームでマッサージ受けていたら爆睡できる。耳心地が良いというのも才能だよなぁと思いながら聞き入った。

「ありがとうございました」

ペコリとお辞儀をして、あやちょはふわ~っとまた袖に消えていった。正味10分くらいか。なんとも不思議な体験だった。たぶん、これは文字では伝わらない。あやちょが今後やろうとしている事は、アンジュルム時代よりもっとライブ感を必要とするモノな気がする。共感というより、ステージと客席との共犯関係で成り立つような時間と空間の共有。境界線のないステージ。

そういうモノなんだろうと漠然と思った。

『ボクらの時代』という番組でキングコング西野が最近の日本の風潮に関して「知らない=嫌い」となっていると言っていた。本当にそれは感じる。

自分と違う、周りと違う、みんなと違う、を必要以上に怖がって拒絶して否定する風潮。だからこそ、「個性」というワードも同時に重要視してるんだろうな。本当は自分の好きにしたいけど、それが怖くて出来ない気持ちがポジティブに働けば「憧れ」になるし、ネガティブに働くと「嫌悪」になる。

そんな中で和田彩花という人の活動は、格好の餌食だ。アイドルを辞めたのにアイドルと言い、アイドルらしからぬ言動と活動をし出す。

固定概念の中のアイドルという言葉だけで和田彩花を見ると本質が分からなくなる。でも、知ろうと思って見るとこれほど面白い人間はなかなか居ない。僕はサッカー好きなんだが、あやちょは中田英寿や本田圭佑を見ているようでワクワクする。

あやちょの考え、やりたい事、やろうとしている事、思い描いている未来、知りたくて仕方ない。たかだか10分くらいの短いライブを体験しただけで、その気持ちが膨れ上がってきた。

トークイベントに参加しようと応募して良かった。彼女が紡ぐ言葉を間近で聴けるという場は貴重だ。はやる気持ちを抑えながら、体育館を後にした。

【後編に続く】



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