横浜アリーナの中心で「ここだよ朋子!」と叫ぶ
金澤朋子は、思えば数奇な運命の人だった。本人も卒業の挨拶の中で「公務員を目指して勉強していた高校生が、℃-uteのサイン入りポスター目当てにアップフロント主催のカラオケコンテストに出てみたら、いつの間にかハロプロからデビューしてた」と回顧していたが、本当にそのまま長ったらしいタイトルのラノベにでもなりそう(略して“こうして”とか言われそう)な人生を歩んできた。
そして運命に翻弄されるまま、病気を理由に卒業を選択しなければいけなくなった。だが、まだここがゴールではない。
本編ラストに『Goal~明日はあっちだよ~』が歌われた。志半ばで卒業する彼女の気持ちと見事なシンクロをしている曲だった。前向きな曲という印象だったのだが、あの瞬間に聴いたら全く違う印象を受けた。
かなとも、歌いながら泣いていた。
毎日「明日はどこだ?」と悩んだのだろう。本当に「まだまだ行ける」と本人も思っていたはずだ。しかし、先のことを考えたら、一度立ち止まることを選んで良かったんだと思える日が必ず来る。
ちょうど、タイムリーな話題で元アンジュルムリーダー和田彩花のインタビューがアップされていた。
まさに、今の金澤朋子への贈る言葉のようである。
人生は続いていく。
アンコール2曲目は金澤朋子のソロで『続いていくSTORY』だった。
歌う金澤朋子の表情は、とても晴れやかだった。
深紅の薔薇がイメージされたドレスに包まれたローズクォーツのような彼女のもとにJuice=Juiceのメンバーが集っていく。
まだストーリーは続く。
金澤朋子が愛したJuice=Juiceは、最後まで残った唯一の同期である植村あかりを新リーダーとして、更なる進化を続けて成長していくはずだ。
植村あかりは最後まで涙を見せず、少しおどけた表情で場を明るく照らし続けていた。若い子ばかりになったグループで、オリジナルメンバーの彼女が笑顔でいることの大切さ。挨拶でも、卒業するリーダーに対して「安心しないでください」なんて笑って言える人が新リーダーになるのだ。
Juice=Juiceは大丈夫。
『Magic of Love』では、声が出せないヲタクの代わりにJuice=Juiceのメンバーが大声で「ここだよ朋子!」と叫んでくれた。迷った時に戻る場所は「ここだよ!」って、「私たちがここにいるよ!」って卒業するリーダーの背中を押すような力強さと逞しさを若い子たちが見せてくれた。
横浜アリーナという最高の舞台で、最上級の優しさに包まれた「幸せな夢の途中」に僕たちは立ち合えた。その幸せに感謝して、明日からも変わらずハロプロを応援しよう。
「わたしは必ず皆さんの前に帰ってきます」
その言葉を胸に。
ひと先ず、お疲れ様でした。無理はしないでね。
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