おへそのうえの

しなちゃんのおへそのうえには
ぼたんがあります。

しなちゃんは２さいです。

ぼたんは
しかくがふにゃっと
よこむいてるみたいなかたちです。

すばらしいぼたん。

だいじなだいじなぼたんです。

ある日おかあさんが
「このぼたんおすと、どうなるの？」って。

「このぼたんをおすと、おじさんがでてくるよ」
とおしえてあげました。

そう。

おへそのうえのぼたんをおすと
小さなおじさんがたくさんでてきて
しなちゃんのたのしいきもちを
いっしょによろこんでくれます。

おどってくれます。

しなちゃんがかなしいときも
いっぱいのおじさんは
おどってくれます。

そんなときのおじさんのきもちは
しなちゃんにもよくわかりません。

でもだいじなおじさんです。

おじさんがだいじなのか
ぼたんがだいじなのかは
しなちゃんにはよくわからないけど、

すべてにこたえがなくてもいいです。

あ、おへそのうえのぼたん
どこかのだれかは
『しきそちんちゃく』なんて
かっこいいんだか、
かっこわるいんだかわからないなまえでいいます。

でもなまえなんてなくていいです。

それがそこにあるのがだいじだから。

しなちゃんのなまえもおなじ。
いみはありません。

ここにあたしがいるのがだいじだから。