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現役高校生・大学生が「ばね」製造の"ウラガワ"を徹底調査!!Part.02 進化する「ばね」
こんにちは!Potentialの取材担当のまりこです!現在高校3年生で、来年度から大学生になります✨。前回の金剛鋲螺株式会社様への取材に引き続き、今回も撮影担当のPotential 代表のるなと共に現地取材をしてきました!
今回の取材先は、「ばね」を専門に加工、販売していらっしゃる「フセハツ工業株式会社」様です。現役高校生と大学生の視点から「ばね」製作の"ウラガワ"を徹底調査します!
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[撮影:まりこ]
企業情報
ばねの総合メーカーフセハツ工業株式会社様は圧縮ばねや引張ばね、ねじりコイルばねなどの大小様々なねじを取り扱い、多様なユーザーに合う商品を販売している。「弾む原理を進化させ小さくても大きな使命と責任感を持って社会に貢献すべし」を経営理念とし、シンプルだが、時代に合わせて進化する「ばね」を一つ一つ大切に作っている。
〒577-0046 東大阪市西堤本通西1丁目3-43
TEL 06-6789-5531
FAX 06-6789-5536
Email fhk@fusehatsu.co.jp
営業時間 8:30〜17:30
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フセハツ株式会社様公式HP
商品に込めた経営理念
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吉村:我が社の経営理念は、「弾む原理を進化させ小さくても大きな使命と責任感を持って社会に貢献すべし」でして、父親から一字一句変えずに受け継ぎました。「ばね」は様々な物の機械の中に組み込まれており、小さいけどやはり社会の役に立っている一つの産業です。企業理念の中にある「弾む原理」は、ばねで使われる金属だけでなく、世の中の物質は大体、持っているんです。
まりこ:じゃあ、このペラペラの紙でもそうなんですか?
吉村:はい。持っています。
まりこの視点👀
この「弾む原理」という言葉を頭に置きながら読んでみてください!
弾む原理って何?
まりこ:そもそも「弾む原理」は何を表すのですか?
吉村: 電気などを使わずに物質が本来もっている力で、縮んだり伸びたりする力のことを言います。
究極的にいうと重力の力ですが、紙にもエネルギーを蓄える能力があるので、弾む力があるんです。
まりこ:「ばね」は弾む原理があるということは想像しやすいですが、紙にもあるといわれると意外です。
吉村: よくある模造紙でも、形を設計すればエネルギーを蓄え、放出する「ばね」になります。例えば、曲げたら弾力があるから、その原理を使って何かおもちゃにできるかもしれないですね!
会社の進化、「ねじ」の進化
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吉村:創業当時は会社に一つしか動力がなかったので、ベルトを天井に吊るして滑車を手でくるくると回して、ばねをつくっていました。せんばちを使ってばねの材料を棒に巻きつけるように職人さんがしていたそうです。
まりこ:昔のばね製造はかなり力を使ってつくっていたんですね。
御社の経営理念には「弾む原理を進化させ」と書いてありますが、どういった進化をしてきたんですか?
吉村:そうですね。
初めての最古のばねは6万4000年ぐらい前からあり、ホモサピエンスの時代に弓矢ができたというのが、弾む原理の元々のきっかけなんです。
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まりこ:そうなんですか?弓矢のどういうところが弾む原理のきっかけなんですか?
吉村:ホモサピエンスより昔のネアンデルタール人が繁栄した時代にも石器などは作られていたと言われていますが、弓矢で使われる目に見えないエネルギーを使った道具を発明したことはなかったそうです。
槍や歯車などは作れたそうですが、弾むものや伸びたり縮んだりするもののような何かの力を利用して便利なものを作るというのは人類が新人の頃からから存在していたそうです。
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まりこの視点👀
ホモサピエンス→ ラテン語で「賢い人間」の意味)は、現生人類が属する種の学名である。
ネアンデルタール人→ 約4万年前までユーラシアに住んでいた旧人類の絶滅種または亜種である。
まりこの視点👀
ネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)は、約40万年前に出現し、約4万年前に絶滅したと考えられている化石人類。
進化史上では私たちホモ・サピエンスと同じ時代を生きてきた「きょうだい」とも言える存在です。
まりこ:すごい!!さかのぼればそんなに昔の人類の話になるんですね。「ばね」が歴史上の進化に関わっていたことは知らなかったです。
まりこ:では、フセハツ工業さんでの創業当時はどうやってねじを製造していたんですか?
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吉村:創業当時はほとんど手でねじを作っていました。パートのおばちゃんが円陣を組んで、一個一個コツコツ曲げていたりしていました。
まりこ:体に負荷がかかりそうですね。今もその方法をとっているんですか?
吉村:今では機械でほとんど行っているので、昔は手で製造している所から機械を使っての作業になりました。今の従業員に合わせて、使いやすくスピードアップして作れるようになったので、業務が若い子や60歳頃の方にも定着していきます。今は若い子にも技術開発が必要なので、時代に合わせて技術を進化させています。昔からの技術を守るべき分野もあるけど、そうすると、変えるべきところは変えています。
つけてみないと分からない
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まりこ:「ばね」は注文を受けてからどうやってつくっているんですか?
吉村: ばね設計のソフトがあるので、それでシュミレーションして、お客さんに提案します。
まりこ: お客さんが依頼してきたもの(依頼)に合うように設計のシュミレーションをして、お客さんに提案する(共有、確認)という形ですか?
まりこの視点👀
作る前にシュミレーションをしたり、計算して耐久力が出てくるのは少し未来を感じました。
吉村:そうですね。
まりこ:商品ができたとき、どれだけ耐えられるのかなどの検査とかはするんですか?
吉村:する時もあります。元々何十万回耐えられるということも計算して設計していますが、実際使ってみると計算していたより早く壊れてしまうこともあります。
吉村:どれだけ耐えられるのかは実際に使われる場所に取り付けてみないと分かりません。
そこが他の機械部品と違う所です。
まりこ:具体的にどんな所が違うんですか?
吉村:そうですね。同じ材料を使っていてもめっき
で加工すると荷重が微妙に変わるので、めっきの癖まで読んで設計しています。そういうところが面白くもあり難しいところです。
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まりこの視点👀
めっきとは?
めっきとは、金属や非金属などの固体表面に金属を成膜させる技術の総称のことです。
吉村:今まで、漬物の機械に使うばねを作ったときは塩分によってすぐに折れてしまいます。シュミレーションより早く折れてしまう場合は、コーティングや塗装を工夫したりします。
まりこ:金属は塩分に弱いですもんね。
吉村:そうですね。計算の数値と実際の結果(検証)は違うので、同時に考えます。
円いばね?
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まりこ:フセハツ工業株式会社さんが生産している商品の中で一番多い商品は何ですか?
吉村:我が社の売上の3割は、自動車用の特殊なリングバネを作っています。大きさは様々ですが、溶接をしてバリをとって、整える、リングの形をした特殊なばねです。
まりこの視点👀
バリとは?
金属や樹脂などを加工した際に発生する、意図しない形の突起のことを言います。より簡単に説明すると、加工時に発生するトゲやギザギザなどのことです。
吉村:ばねは本来溶接してはいけないのですが、このばねは製造工程に溶接する工程があります。炭素量が多いので溶接してもポロッと剥がれてしまいます。それを半永久的に折れないようにするのがとても難しいです。
まりこ:折れたら大変なことになりますよね。
吉村:もし、折れると命に関わることになります。クラッチが効かずブレーキを踏んでも止まらないことになります。
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まりこの視点👀
クラッチとは?
エンジンとトランスミッションと呼ばれる変速機の間にある、ディスク型の「動力伝達装置」のことです。
エンジンの動力をタイヤに伝えたり、遮断したりする役割を担っています。
アクセルペダルを踏むとエンジンに動力がいきますが、タイヤに丁度いい動力を伝える役目をするのがクラッチです。
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まりこ:それはかなり責任重大な部品ですね!
品質管理はどうしているのですか?
吉村:品質管理ためには、全数検査を二回行って、検査や品質を厳しいものにしており、日本で一番たくさん作っています。
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吉村:ワイヤーリングを挟むような形で車には設置されており、日本のほとんどの車やバス、トラックには入っています。
まりこ:このワイヤーリングというばねに使われている弾む原理とは何ですか?
吉村:車に実際設置するとスリットという隙間ができます。その隙間でこのばねが支点の役割を果たし、微妙なしなりが生まれます。そのしなりが重要なんです。
まりこ:すごく力が加わりそうですね。
吉村:これはオリジナル設計で作ってます。シンプルにして一番難しく、まん丸というのはとても難しいんです。
まりこ:そうなんですか!
吉村:形だけ作ればいいというわけではありません。溶接というとても厄介な要素があり、形だけ作るのにもものすごく精度がいります。溶接すると若干溶けるので溶ける量を逆算して、製造します。
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まりこ:それができるのはこの会社の中でも限られた人しかできないんですか?
吉村:そうですね。女性の方でして、溶接してから冷まして、もう一回熱を加えています。実際に触ってから、テストしています。
あの意外なものの生みの親!?
吉村:昔はばねのスポーツ用品も取り扱っていまして、エキスパンダーという名前のものです。(握力を強めるための器具)
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まりこ:知ってます。引っ張って体を鍛える物ですよね。
吉村:このように伸ばして使う物は引っ張りばねが使われています。実は我が社がこの商品を最初に作ったんです!
まりこ:そうなんですか?!
吉村:はい。私のお祖父さんが初めて作ったんです。昭和29年ぐらいに売り出して、特許は我が社にあります。当時はアメリカやオーストラリアなど海外にもどんどん売り出した時期がありました。
また、スポーツ用品としてハンドグリップも我が社が初めて作りました。
まりこ:これ使ったことあります!そっか、フセハツ工業株式会社さんが始まりだったんですね。
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まりこの視点👀
兄はサッカー、私はハンドボールのキーパーをしていたので、ハンドグリップが家に2個程ありました。私が使うことはありませんでしたが、、。
吉村:今はスポーツメーカーのミズノさんに権利を売ったので、うちでは作っていません。
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吉村:今、我が社のオリジナル商品としてこのおにぎりボールを作っています。集中力とか、疲れたらモミモミする人がいます。今でも買っていく人がいらっしゃって、元々は握力を鍛えるものです。この商品もエキスパンダーと同じくらい長い歴史があり、40年ほど前からあります。
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ばねの難易度
まりこ:ばねを作るときの難易度は何で決まるんですか?
吉村:それぞれの難しさがあります。
例えば、合格範囲が狭いのが難しいと言えます。見た目は同じものを作るとしても、
例えば図面に10センチのバネがあったとして、±0.5ミリの誤差より±0.1の誤差の方が難しいです。
まりこ:なるほど。合格範囲が狭いと、品質は自然と高くなると思いますが、廃棄も多くなるのではないでしょうか?
吉村:そうですね。ですが、部品によってはお客さんの会社の信用に関わることになるので、全数選別をして問題ないものだけ出荷しています。
まりこの視点👀
難しいばねはてっきり難しい形をしているばねだと思っていましたが、合格範囲が狭いということもばねの難しさだと知り驚きました!
ここにしかないばね
まりこ: 先程、フセハツ工業株式会社さんが生産している部品である、自動車のクラッチ、動力を切ったり離したりするワイヤーリングはここでしか製造していないと仰っていましたが、もしここで製されなくなったら、車は製造できないのでは?
吉村:そうですね。☺️
それで言うと、我が社では洗濯バサミのリングばねを製造していますが、今国産ではもう我が社でしか作っていないので、うちが作らなくなったら国産の洗濯バサミのばねはなくなってしまいます。
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まりこ:新たに洗濯バサミのばねを作ろうとする会社がいないのは、儲からないからですか?
吉村: 洗濯バサミはダイソーなどの百均が多いので、数がまとまれば売り上げになります。
百均などに売っているのは1個あたり何十銭とかなどの物で、何百万、何千万個単位で発注されます。ですが、今更洗濯バサミの機械を作ろうと、参入しようという人はいません。誰かがやらないといけない仕事です。
まりこ:誰かがやらないといけない仕事って重要性が低そうに感じやすい仕事のように思いがちですが、世の中の役に確実になっていますよね。
まりこの視点👀
他の工場がやっていないことをやり続けることは、大切だと感じました。
生活の中の「ばね」
まりこ:他にどんな場所でフセハツ工業株式会社さんの商品が使われているんですか?
吉村:例えば、美容院の椅子にもよく使われています。全国の美容院の大体のものがそうです。
まりこ:あっ!あの伸び縮みするときに使われているんですか?
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吉村:そうです。タカラベルモントさんの椅子が一番多いです。そのような椅子には引っ張りばねなどがたくさん使われています。
まりこ:椅子の高さの細かい調整をしようと思ったら、必要ですね!
吉村:皆さんも絶対座ったことあると思います。
まりこ:これから美容室に行く時はフセハツ工業株式会社さんのことを思い出します!
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吉村:また、整備シャッターや自衛隊のジェット機など様々な場所で使われています。
まりこ:使われている場所が想像より多岐に及んでいて驚きました!この記事を読んでいる人がいる場所にもばねが使われているかもしれません!!
まりこの視点👀
一つ一つはすごく小さく目につきにくいけど、例えば今座っている椅子や立っている地面には誰かが仕事をした上で成り立っているのだろうと思いました。
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フセハツ工業株式会社様への取材内容をまとめたPart01の記事です!
是非ご覧ください!
編集後記
読んでいただき、ありがとうございました。今回は二回目の企業の方への取材。一回目の取材と比較すれば緊張感は小さくなりましたが、やはりまだ慣れていないことゆえ取材先に到着した時の緊張感は一回目と変わらずでした。私自身「ばね」に関するイメージはビヨンビヨンする部品ということでした。それこそ「ばね」=螺旋状という知識しかなかったので、細い円状のばねは本当にバネとしてしっかりと役目を果たすのか?ということで頭がいっぱいになりました。教科書に載っていることだけの知識だけでは世界が狭くなるのかもしれないと思った経験でした。次週はフセハツ工業株式会社様に取材する前に行なった、Potentialメンバーへアンケート調査の記事です。皆さんは「ばね」と聞くとどんなイメージを持ちますか?次週をお楽しみに!!
是非、Potentialをフォローしてくださいね☺️
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執筆者:丸山璃子
立命館守山高等学校現役3年生。(取材時)
滋賀県甲賀市出身。
音楽やアニメが好きで、新しいことにチャレンジすることも好き!
現在はPotentialで取材担当。学校でラジオのMCの一人として活動をしている。
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