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ゲームを始めるとき

ゲームを始めるときは、なぜかいつもワクワクする。それが、予約もして、発売日当時だったらそのワクワクもひとしおなんだろうけど、残念ながら、僕は数年前に途中でやめてしまったゲームをもう一度プレイする。最近PS4を買ったんだけど、まだやってないゲームがあると、それをクリアしてからじゃないと貧乏性の僕は新しいゲームを買えないのだ。

だから、新しいゲームをやるため、というよくわからないモチベーションのもと、僕は新しくないゲームをプレイしようと思う。そのゲームこそが、「rain」である。ソニーコンピューターエンターテインメントの、「rain」である。僕が割と好きな、大作でもなく、かといってインディーズでもない、一番中途半端なラインのゲームである。おそらく、10時間もかからない。でも、大手が作ったクオリティがある。フルプライスじゃない、気軽にできる良さがある。

rainの名の通り、このゲームでは常に雨が降っている。なぜか主人公の少年は透明で、雨が当たることでその姿を表す。それがこのゲームの肝である。雨が当たらない屋根の下などでは、少年は透明になる。敵も透明で、雨に当たらないように隠れながら、または誘き出すためにあえて見つかりながら進めていく。

このゲームの目的はわからない。最初に少し、イントロダクションみたいなものがあったのだけれど、それと主人公が今いる状況とを繋ぐことが出来ない。なんとなく、こういうことなのかな?という予測はあるのだが、なぜこの場所にいるのかとか、なぜ少女を追いかけているのかとか、敵が何を比喩しているのかとか、わからないことだらけである。

ゲームシステムは、パズルゲームというか、詰め将棋に近い。この状況で、このアイテムで、どう攻略するか?という短い問いが、何個も連なっているような構成である。レベルアップすることもない。アイテムを持ち越すこともない。体一つで、この状況をどうするか、しかない。そんなシンプルなゲームが、僕は好きである。ゲームは複雑にすればするほど、理解した時には面白くなるが、理解できない人を置いていく。rainは、ゲームが上手い人でも、いつもはやらない人でも同じように楽しめるゲームだと思う。僕は割とライトユーザーなので、そんなゲームが、やっぱり好きなのである。

街並みはロンドンに似ている。雨が降っている、夜のロンドンの街は立ち止まって見ていたくなるほど綺麗である。走って駆け抜けずに、ゆっくり歩きながら周りを見回して進む。犬みたいな敵が出てきたら、猛ダッシュで逃げるけど。

このゲームのテーマは「迷子」だという。知らない街で、一人ぼっちで、どこへ進めばいいかもわからない。この不安は、安堵になった時に快感になる。二人でいるために、一人でいるのかもしれない。同じ街にずっと入れば、迷子になることはない。迷子になるために、どこか知らない街へ出かけてみよう。

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