坂道ヲ下ル
先日、欅坂46が改名を発表しました。
僕は先日脱退した平手さんに惹かれて応援していました。
元々アイドルが好きな人間でもないので、もう追いかけることはないと思います。
欅坂は良くも悪くも平手さんが目立ち、チームのイメージを牽引していた印象がありますが、反面、というか、当然なのですが、平手さんがいなくなることで求心力を失います。
彼女が脱退したことで、残りのメンバーには、これまでのシングル曲を歌う動機や、説得力がなくなってしまったのではないか、と感じています。先日の配信ライブのセトリを見る限りでは。
今回は欅坂46のこれまでの活動を思い出しつつ、思ったことを書きたいと思います。
リスクは分散できる(だがしない)
多分、長期的な活動を視野にマネジメントを考えると、本当は平手さんと同じような世界観、空気感、能力をもつ子がいれば同名で活動継続もできたのかもしれません。
ただ、同じ子は日本にたくさんいても、きっとアイドルを目指そうとは思わないでしょう。
キラキラした女の子集団であろうアイドルの中で、サイレントマジョリティーで見せたあの「目」をできる子は恐らく稀。
地下アイドルの中にはダークな感じを売りにしている方もいるにはいますが、彼女の目には決意とか気高さとか侮蔑とか諦めとかいろんなものが混ざっている気がして、MVが公開された当時、「どういう経験をすればこの年でこんな目ができるんだよ」と思ったものです。
仕事においても、みんな均等に仕事ができれば業務分担も業務量も均等になるはずなのに、どうしてもマネジメント層はリスク回避を考えて、仕事ができる人に分担・量ともにウェイトをかけがちかな、と思います。
そこからどうなっていくか、仕事をバリバリこなしてスキルも身に着けてとなる人もいれば、仕事量に耐え切れず潰れていく人、潰される前に消えていく人…と様々でしょう。
平手さんが脱退した理由や、そこに至るまでの心境は推し量ることしかできないですが、「特定の集団で、周りに支えてもらいながらも一人重圧に耐えて頑張っている」そんな境遇の人は他にもたくさんいることでしょう。自分も、能力不足であった過去を反省しつつ、そんな境遇に置かれていた一人だったと自覚しています。
逃げることは悪なのか
以前、自分の職場でスタッフが大量離脱するプロジェクトがありました。
それはプロジェクトの難易度もさることながらリーダーが非常に苛烈な人であったことが理由です。
言葉が荒い、感情の起伏が激しい、などなど、非常に”怖い”人でした。
でも、能力は高く、幹部層もこのプロジェクトは彼にしか回せないという認識があり、ゆえにその入れ替わりの激しいメンバー構成も黙認されていた状況でした。並な人間が何人潰れようと彼が残ってくれればなんとかなる、そんな異常な状況でした。
そのリーダーが、飲み会の席でプロジェクトから離脱したメンバーに対してこう怒鳴ったことがあります。
「お前は逃げたんだからな!」と。
逃げた、という言葉をポジティブに使う人ってあんまりいないでしょう。逃げは後ろめたい行為、少なからずそう捉える(捉えてしまう)人が多いのでは。
そういう前提の中で、部のスタッフみんながいる前にお前は逃げた、と怒鳴ったリーダーは、その元メンバーを辱めるつもりで言ったんだろう、と思います。
感情の起伏が激しい、というより怒りのコントロールが効かない人でした。(今もそうですけど。というか今僕の上司してますけど。)
僕の中では、最低の行為です。
余談ですが、良くビジネス場面で「褒めるときはみんなの前で大きい声で、注意するときは二人の時に小さい声で」という言葉がありますが、僕の尊敬する人もそれを遵守している人でしたので、僕もそれを守り続けようと思っています。
それはいいとして、ここで改めて思うのは「逃げるのって悪いことか?」ということ。
例えるならばRPGゲームで、レベルを大して上げずにボスに挑むようなものです。
負けることでゴールドが半分になる、アイテムがなくなる、などのリスクが生じることが分かっている中で、もしコマンドに「逃げる」があったら、当然逃げますよね。
勝てないとわかっている勝負に負けるリスクだけ背負って挑め、とか阿呆にもほどがあります。
ピンチになると忘れがちですが、現実でも「逃げる」というコマンドはあります。
自分もいっぱい逃げてきました。
けど、一応社会人として機能しています。
ただレベルが低いだけなんです。
経験値が足りないだけなんです。
勝負するところはこの場だけじゃないんです。
適切な経験を積ませて、レベルを上げて、適切な難易度の仕事をこなせばよいのです。
そのコントロールを担うのが組織であり、幹部層ではないでしょうか。
平手さんは「逃げた」のか。
それは平手さんにしかわかりません。
ただ、ネガティブにそうとらえた人もいたのではないか、と少し思います。
でも、もしそうなのだとしても、それでもいいと思うのです。
ファンが求めるのは平手さんが平手さんとして何かを表現すること。
平手さんが色々なものをすり減らしてまで頑張る必要はないのです。
だって、彼女が「勝負するところはこの場だけじゃないんです」から。
ただこれは平手さんに与する視点、他のメンバーに与する視点、欅坂46に与する視点、それぞれで思い・考えは異なるのでしょう。
今はただ映画公開が楽しみです
これは彼女たち自身ではなく、関係者が、周りの大人が、商業目的で提供する映像なので、何を期待するものではない、と理性ではわかっているのですが、本稿を深く考える、また、欅坂46、平手さんをより理解できるものであってほしいな、と思います。
そして、都度都度SNSで書いているのですが、ベストアルバム出して!お願い!
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