描いていると思いました、映画「オッペンハイマー」
およそノーラン映画とは思えないような気迫に満ちてる、のか満ちてないのか…
とにかくはっきり核兵器にNOを突きつける、これまでの無邪気さが見え隠れする作風を超えたひとつの到達点だと感じました
確かに時系列もゴチャゴチャしてるし、誰がどんな立場で何の話をしてるのかも予習無しだと全然分からない
特に前半は3つくらいの時系列をシャッフルしながら進むから本当に勘弁してほしいという気持ちになる
ただシャッフルしながらでも大まかな方向性は分かるように作ってあるので、丸ごと置いていかれるというレベルではないし
ネットで誰か書いてたけどシン・ゴジラ的な、細部を理解できなくてもそこまで問題ない作りということではあると思った
こういうキャッチーさと高級感の両立はノーラン映画の大きな魅力だと再確認できたな〜
構成としてミステリー的な要素も盛り込まれてたけどこれについてはね、勝手にシャッフルした時系列を振り返りながら「実はあれ、これについて話してたんです!!!」みたいな回収をされても別に…という感じではある
しかし終わってみるとやっぱり話はシンプル、大きな力に押し潰されていく善意をそれでも折らずに戦う姿勢は見応えあったし
キリアン・マーフィーのたたずまい、尋常ならざる天才だけど危うさもあるという感じが説得力あった!バットマンビギンズでのスケアクロウ役も好きだったな〜
脳内イメージを表現しているということであろういくつかの描写のおかげで、科学的なことが分からずとも事態の深刻さを共有できるし
冒頭、雨が落ちて波紋が広がる様子に核戦争のイメージを重ねるところなんかは映画ならではの奥行きがあるオープニングだった
オッペンハイマーの視点を中心としてるので原爆投下そのものの描写がないのは当然だとは思ったし、開発者たる彼の変化を描くうえで雑なことはしてないと感じた
そもそもダークナイトライジングで原爆をああいう扱い方した監督、という問題があるので!ハードル低すぎるとはいえきっちり超えてきてくれたと思います
史実をしっかり把握した上で観ればもちろんいろいろな見方ができるんだろう、どこまでも悪役だったロバートダウニーJr.は実際どんな人だったのか…とかね、そこらへんはパンフでまず確認しておきたい
IMAXの爆音がちょっと不快なくらい強烈で、それもあってドスンと響く大作映画でした
作品の良し悪し・好き嫌いを含めて、世界中で核兵器の話をするのはとても意義のあることだと思う
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