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コミュニケーションの仏像、映画「カラオケ行こ!」


#ネタバレ


1ヶ月前に観て、覚え書き程度のメモを残すのみにしてしまってたこれ


・久しぶりにきわめて純度の高い山下敦弘、コミュニケーションの機微を切り取る監督の手腕が爆発してる

・あまりカットを割らず自然な長回しで見せてくれるの、役者を信頼してる感じがあって好み
・その方針がゆえに例えば「1秒先の彼」とかは演技テンションのムラでちょっと観れたもんじゃなかったけど、今回は好きな塩梅だった

・芳根京子演じる先生の薄っぺらさ、登場して一発で分からせる絶妙なセリフ回しが見事だった

・原作の狂児とは違いすぎる、ちょっとデフォルメ強めの演技も気にはなったかな、「カラオケ行こ」ってあんなにねっとり言うかなぁとか
・そういうややオーバーな演技がかえって狂児の掴みどころない感じを強化してるとも言えるかな〜とは思った

・途中の明確な暴力もあえてサラッと描写することで、あぁこの人そうだったよなとショックが増すようになってたと思う、このあたりは監督さすが

・中学生がちゃんと中学生してることにも驚くし、原作のドロっとした目つきがしっかり再現されてるのも素晴らしい…というか原作と違うのに原作よりも原作っぽい和田くんよ

・2人でカラオケ店の扉を開けたりね、距離が縮まっていく感じは楽しくもあり切なくもあり

・カラオケの音量がやたら小さくて、もっと耳に不快感を覚えるくらいやかましいものだと思ってるのでそこは意外だった
・でもまぁペナペナな音質のオケで歌う「紅」だからこそ感動が大きい、というのは絶対ある、最後の壮絶な歌唱はドキュメンタリックですらあった

・人と人が互いに少しずつ理解し合っていく、ひとつひとつの感情に納得感があるので安心して観ていられる、脚本の力もすごいんだろうなぁこれは

・場内で過剰なくらい笑いが起きてたのも含めて幸せな映画体験だった


・ストーリーの起伏というよりは、人と人とのコミュニケーションそれ自体を動力としてゆるやかに進む、どこまでも豊かな作品だったと思う

・一本の木から造られた繊細な仏像のような、コミュニケーション偶像崇拝みたいな手触りですごく好きな映画でした

・欲を言えば、もっと原作に忠実かつ自然な演技をする人の狂児を見てみたいけど!綾野剛の狂児も好き

#映画 #カラオケ行こ #感想

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