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【CS採用の教科書】1からカスタマーサクセス採用を始めるあなたへ

0. はじめに

皆さまこんにちは!

直近とある企業さまから「カスタマーサクセスのマネジメントや、仕組みづくりから担える方を採用したいのですが...」とご相談いただきました。
一口にカスタマーサクセス経験者といえど、様々な違いがあると思い、本ブログにてカスタマーサクセス採用のノウハウを紹介いたします。

※あくまで本noteではポテンシャライトが日々採用のご支援をさせていただく中で感じた内容を元に書いておりますので、一意見として参考程度にご覧いただけますと幸いです。

1. カスタマーサクセスの基礎知識

採用手法を紹介する前にカスタマーサクセスを採用する上で不可欠な基礎知識からご案内いたします。主に「どのようなペルソナを採用するのか」という点を理解する上で必要な知識となりますが、すでにご存知の方は項目2まで飛ばしていただいて構いません。

1-1. そもそもカスタマーサクセスとは?

直訳の通り、「顧客の成功」を導く役割を担っており、能動的に顧客に働きかけ、自社が提供しているサービスを通して課題解決を行い、成功体験へ繋げていくことを指します。

The Model型の営業組織の中ではフィールドセールスが受注した後のプロセスを担い、「LTV・チャーンレート・NPS」などを主なKPIとして追求しています。

カスタマーサクセスが急激に言葉として普及した背景にあるのは、「SaaS市場の盛り上がり」と「業務のDX化」です。
昨今では、どのような業種/職種であっても様々なSaaSを活用して業務が成立しているかと思います。

1-2. カスタマーサクセス経験者の人口

続いて、「そもそも国内にどの程度カスタマーサクセスの経験を持つ求職者さまがいらっしゃるのか」調査いたしました。
※全人口ではなく、主要な媒体にどの程度登録があるかという情報ですので、参考までにご覧ください。

媒体によって多少異なりますが、全体的に若手層が多いように感じます。カスタマーサクセスが主流になったのが直近5年程度のため、まだまだベテランの方は少なめなのかと思います。

一方で、カスタマーサクセスを募集している求人数、求人倍率も紹介します。

1-3. カスタマーサクセスの分類

SaaS企業に在籍されていることは前提となりますが、カスタマーサクセスはオンボーディング(顧客に対するサポート)の仕方によっていくつかのタイプに分類できます。

様々な切り口があるとは思いますが、採用においては上記3パターンに分類できると覚えておきましょう。

自社がどこに分類されるのか」「求職者さまがどこの経験を持っているのか」に関してはプロダクトの性質を見ると概ね分かります。

一般的にはLTVが最も高い顧客に対してはカスタマイズもしつつ、コンサルに近い形でハイタッチ型に、LTVが低めの顧客に対しては少ない人的リソースでロータッチ型に、更に薄利多売に近いプロダクトであればテックタッチ型で支援をするケースが中心となります。

オンボーディングの仕方によって、お持ちのスキル・ケイパビリティが異なるため、事前に自社のサポート体制については理解しておきましょう。

また、「顧客」がどういった属性の方なのかによっても、業務の進め方や保有スキルが異なります。
具体的には「顧客、特にカウンターパートのITリテラシー」によって「業務における情理と合理」が異なるケースが多いです。

例えば一般的なホリゾンタルSaaS(業種問わず特定職種向けのSaaS)であればカウンターパートは情シスや社内SEの方や人事・労務・経理などのオフィスワーカーの方です。
一方でバーティカルSaaS(特定業種向けのSaaS)で物流現場向けのサービスであれば、カウンターパートはITツールを使い慣れていない方の可能性もあります。

両者で「合理的に適宜テックタッチでサポートするのか」「時には現場に訪問する、レクチャーに力を入れるなど情理的なサポート」が異なってくるイメージです。

1-4. カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

皆さま既にご存知のことかと思いますが、カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いも記載いたします。

両者の最大の違いは「仕事の起点」です。
カスタマーサポートは顧客の不満を起点とし、問題が発生してから受動的に対応します。一方カスタマーサクセスは、顧客がサービスを利用し始めた瞬間から、顧客の成功を目指して能動的に支援します。

2. カスタマーサクセス採用の全施策の整理

ここからが本題です。カスタマーサクセスの採用において取り組むべき施策・取り組んだほうが良い施策はいくつあるのか。まずはカスタマーサクセスの採用において出来ることを項目別で洗い出してみました。

カスタマーサクセスの採用における全施策① ※個人的な所感を記載しております。 カスタマーサクセスの採用における全施策② ※個人的な所感を記載しております。

レベル5に近づけば近づくほどカスタマーサクセス採用において「強者(レベル高)」になるイメージです。(個人的な所感ですが、レベル5まで到達している企業さまはほとんどないかと思います。)

採用ターゲットによりますが、カスタマーサクセスの場合、レベル4〜5を行うまでもなく、うまくいけばレベル2〜3の項目を網羅していただくだけでも採用につながることが多いと感じています。一方、エンジニア等の有効求人倍率が高い職種はレベル4〜5まで行う必要が出てくる場合も多いです。

3. カスタマーサクセスの魅力設計

ここまでカスタマーサクセスの採用の大枠に触れてきました。大枠がわかっても、具体的な採用戦術や手法を理解しなければ、採用成功は難しいです。ということで、採用成功の鍵を握る魅力設計についてお伝えします。

魅力設計をする際に重要なことは、「ターゲットから逆算したインサイト/メッセージング設計」です。インサイトとメッセージングとは何かを下記にて紹介します。(詳細を知りたい方はこちらのブログをご覧ください。)

インサイトとは  :「人を動かす隠れた心理」のこと
メッセージングとは:企業や職種の「魅力」のこと

それでは詳細を見ていきましょう。

3-1. カスタマーサクセス経験者のインサイト

- 自社SaaSの在り方/思想に疑念が出始めている (philosophy)
- CS業務を一応やっているが、仕組みもなくスキルが身についていない (profession)
- CSのマネージャーが不在で、うまく統制が取れていない(person)
- プロダクトの機能が不足しており、顧客に自信を持って提案できていない (profession)
- テックタッチのプロダクトのため、顧客とのコミュニケーションが少ない (profession)

あくまでも一例ですが、上記のようなインサイトをお持ちの方が多いように感じます。

続いて上記のインサイトに訴求するためのメッセージングをお伝えします。

3-2. カスタマーサクセス経験者へのメッセージング

- 〇〇のSaaSプロダクトとして、プロダクトの思想(Mission/Vision)が明瞭になっている〇〇があえてやらないこと/やりたくないことも明瞭であり、思想がはっきりしている。
- 仕組み化され尽くしていても面白くないし、何も手付かずでカオス環境も懸念。その間くらいの環境がある。
- CSマネージャーとして〇〇さんがいる(person)
- ヒューマンタッチのプロダクトであり、人間味ある接し方ができる。ほぼテックタッチのプロダクトはあまり面白くないのでは?顧客と「共創」するプロダクトのほうが良いかと思う。

求職者さまへ打ち出す魅力の一例として、参考になりましたら幸いです。

4. カスタマーサクセス採用の落とし穴

最後に、カスタマーサクセス採用における落とし穴を紹介しますので、参考にしていただけますと幸いです。

4-1. カスタマーサクセス×マネジメント/組織作りの経験に固執し、採用に至らない

一つ目は「カスタマーサクセス×マネジメント/組織作りの経験に固執し、採用に至らない」という点です。
特に立ち上げ期においてはプレイングだけでなくマネジメントスキルを一定求めていきたいところかとは思いますが、冒頭紹介した通り、カスタマーサクセスは比較的歴史が浅い職種です。

そのため、「職務経験が豊富でマネジメントスキルも豊富」という方は市場に多くはおらず、かつ非常に人気も高いです。

ですので「今絶対に必要なスキル」と「走りながら身につけていただければ問題無いスキル」、そして「一定期間であれば外注できるスキル」などを整理し、優先順位をつけた上で採用活動がスタートできると良いかと思います。

4-2. カスタマーサクセス経験は豊富だが、ミスマッチになってしまう

2つ目は「カスタマーサクセス経験は豊富だが、ミスマッチになってしまう」というパターンです。
アジェンダ1-3でお伝えした通り、カスタマーサクセスの中でも業務の進め方が異なることがあります。
例えば自社が「エンタープライズ向けのハイタッチ型のカスタマーサクセス」を行なっているのに、アプローチしている方は「テックタッチ型のカスタマーサクセス」経験が主な場合、即戦力としてのご活躍は難しいかもしれません。

また、オンボーディングの仕方だけでなく「どのような顧客に対してカスタマーサクセスを行なってきたか」も重要です。

例えばSmartHRさまのような、対人事・労務向けのカスタマーサクセスを経験されてきた方が物流の現場をDXするSaaSプロダクトのカスタマーサクセスに転職する場合、どうなるでしょうか。
恐らく仕事の進め方や意識すべきポイントが異なるかと思います。

まとめると「どのようなオンボーディング手法で、どのような顧客に対してカスタマーサクセスを行なってきたか」という観点で見ていただけると、ミスマッチが減らせるかと思います。

4-3. カスタマーサクセス経験者が早期に枯渇してしまう

繰り返しとなりますが、カスタマーサクセス経験者はまだまだ市場に多くはいらっしゃいません。
その為、ある程度要件を緩和していたとしてもターゲットが枯渇してしまう可能性もあります。

そこで、あくまで参考程度ではありますが、「経験者が枯渇してしまった場合、どのような求職者さまを狙いに行くのか」ペルソナを共有いたします。

 4-3-1. ITコンサルタント / SIの経験者

コンサルタントといっても業務内容は多岐に渡り、企業さまごとに異なりますが、
特に「ITツールを用いた課題解決支援/業務の効率化支援」のご経験を指しています。
特に直近数年で盛り上がりを見せている「DX支援」のご経験をお持ちの方はカスタマーサクセスとしてご活躍しやすいと考えています。

「自社のパッケージやカスタマイズ開発したサービスを用いての課題解決支援」が「自社のSaaSを通じた顧客の成功へ向けた支援」に変わるイメージですね。

上記コンサルの経験をお持ちの方は、特に「ハイタッチ型で、ある程度カスタマイズ要素があるSaaS」の企業さまにおいては適性があると考えています。

また、テックタッチ型のSaaSにおいても、「ツールなどを駆使した、最適なカスタマーサクセス体制の構築・仕組み化」などは得意とされる領域かと思います。

 4-3-2. B to Bセールス経験者

上記のご経験をお持ちの中でも特に「レガシー領域への営業経験者」はバーティカルSaaSの企業さまにおいてご活躍しやすいのではと考えています。
セールス経験者の中でも特に「情理を持って顧客と関係性を構築する能力」に長けていらっしゃる方が多く、ITツールを利用し慣れていない方に対する価値提供という点に適性があることが多いです。

 4-3-3. カスタマーサポート経験者

最後に「カスタマーサポート経験者」です。
アジェンダ1-4にて説明した通り、カスタマーサクセスとカスタマーサポートでは仕事の起点が異なります。一方でサポート経験者は「多くの顧客の課題を効率的に解決する」というご経験をお持ちであることが多いです。

そのため特に「ロータッチ型もしくはテックタッチ型のSaaS」においては、生かせるご経験が多くあると考えています。

5. カスタマーサクセス経験者を採用するための”もう一手”

ここまで、カスタマーサクセス採用における基本的なノウハウをお伝えしてきましたが、最後に経験者を採用するための”あと一手”の施策をお伝えします。

それは、既存のカスタマーサクセス業務 +aを打ち出すことです。

エンジニアにはなりますが、近い概念のノウハウを過去に公開しておりますので、併せてこちらの記事もご覧ください。

カスタマーサクセスにおいては、下記のような職域にも染み出しが出来るという点が魅力になり得るかと思いますので、可能であれば全面に打ち出していただくのがオススメです。

- アライアンス領域.... 代理店の顧客に対するサポートや代理店向けのレクチャーを行う場合
- 営業企画....顧客からの声を吸い上げ、営業戦略などに反映出来る場合
- プロダクト企画...顧客からの声を吸い上げ、開発サイドに提案などが出来る場合

他にもカスタマーサクセスを起点に、周辺領域の業務として経験できるものがあれば、積極的にアピールしましょう。

6. おわりに

いかがでしたか?
カスタマーサクセス採用をスタートする上で、少しでもお役に立てましたら幸いです。

長文でしたが、最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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