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誰でも参加できるポッドキャスト広告ネットワーク

ポッドキャストの収益化、マネタイズが難しいことは以前から言われていることだが、状況は変わりつつある。米国ではSpotify(旧Anchor)はマネタイズ支援をスタートさせており、日本でもメニューなどの準備はできている。同じく米国ではポッドキャストのサポートを始めたYouTubeでも動画と同様に広告が付くようだ。

日本ではVoicyが企業タイアップを支援したり、Stand.fmやRadiotalkではパートナープログラムや投げ銭が行われている。Apple Podcastsも有料ポッドキャストが可能になっている。

ただし、これらいずれもプラットフォームを限定した収益化の機能だ。

ポッドキャスト広告ネットワークの仕組み

1年半ほど前の記事だが、ポッドキャストの収益化の方法を紹介した。
【週刊ポッドキャスト生活】#07 ポッドキャストを収益化する8つの方法

直接スポンサーになってもらったり、アフィリエイトリンクを貼ったり、プレミアムコンテンツを作成してサブスクを募る、寄付をしてもらうなどはプラットフォームに限定せずにできるが、告知も含めると配信者の負担が増える。

皆さんがイメージしているものはユーチューバーのように配信したコンテンツに自動的に広告が入り、再生数に応じて報酬があるものではないだろうか。広告を入れてもらうための営業はプラットフォーム側で行なって、自分はコンテンツだけを作って再生数を伸ばせば報酬が入るというものだ。

YouTubeが実現したこの方法は、広告としては特殊だと思うのだが、多くの人がイメージするほど定着してしまった。

余談だが、やってることはブログのアフィリエイト広告に近いのだが、ブログで食っているアフィリエイターのイメージは良くないので、ユーチューバーはなりたい職業になるから不思議だ。顔出しすることでタレントに近いイメージとなり印象が違うのだろうか。ブログでも匿名性が低いと出版などに繋がることもあるので、そう考えたら同じか。

話を戻そう。

YouTubeが可能にしたのはプラットフォームが限定されていたからで、どこから配信するかわからず、複数のプラットフォームに配信するポッドキャストではシステム的に難しいところがあったのだ。

Stand.fmもパートナープログラムを始めたときはYouTubeを参考にプラットフォームを限定することで実現していた。現在はポッドキャストとしてマルチ配信できるように変更されているが、当然ながら他のプラットフォームでマネタイズの仕組みはできない。

ではポッドキャストでは不可能かといえば、そうとも限らない。技術の進化によって実現しているものもある。それが「ポッドキャスト広告ネットワーク」というものだ。

それぞれの配信元から複数のプラットフォームに配信するポッドキャストだが、配信を担うRSSを「広告ネットワーク」のシステムを経由するのだ。

各ポッドキャストで作成されるRSSを元に音声を広告ネットワークへ取り込み、自動で広告を追加して音声を再生成して各プラットフォームに配信する仕組みだ。広告は付けたり取ったりをシステム側で行い、ダウンロードや再生された数を計測する。

過去に配信した音声に広告が付くこともある。聴くタイミングによって広告が変わるかもしれない。その辺りを自動的にシステムが行うのだ。

広告を募集する営業活動や、広告主に対して再生回数の報告なども広告ネットワークがやってくれる。

配信者はこれまでと更新方法は変わらないので手間は増えず、広告の再生数に応じて報酬をもらえるというものだ。


日本でのポッドキャスト広告ネットワーク

海外ではこのようなポッドキャスト広告ネットワークはいくつか存在しており、プラットフォームを限定しないポッドキャストでも広告が可能になってきている。

じつは日本でもこの広告ネットワークは実現している。株式会社オトナルで2021年から「ポッドキャストオーディオアド」というメニューを開始している。

音声広告のオトナル、日本最大規模のポッドキャストの音声アドネットワークを提供開始

各ポッドキャストプラットフォームに配信する前にシステムで広告を付与する仕組みだ。

ただし、現在はラジオ局などの大手パブリッシャーの番組や人気番組に限られている。一般の番組では参加することは難しい状況だ。ポッドキャストランキングに会員登録するとパートナープログラムへの参加希望を意思表明することはできる。参加希望として人気番組まで成長したら参加できるかもしれない。

私の番組も2023年1月から一部「ポッドキャスト広告ネットワーク」に参加しているが、このオトナルの「ポッドキャストオーディオアド」ではない。まだ始まったばかりの新しい広告ネットワークだ。

昨年の国際ポッドキャストデーの配信リレーで話を聞いた「Audiostart」のサービスだ。

このときに話を聞いた縁でもあり、広告ネットワークに参加し、今年の1月からまだ少額だが広告が付き始めた感じだ。

Audiostartの特徴は次のような感じだ。

  • 現在の配信プラットフォームのまま参加可能

  • Audiostartの配信サービスに移行して参加も可能(システム費無料)

  • 始めたばかりにリスナーの少ないポッドキャストでも参加可能

  • テキスト読み上げの機能も使うことができる

  • 複数の番組を同じアカウントで一元管理できる

YouTubeでもパートナープログラムはチャンネル登録者数1,000人以上などの条件があるので、「ポッドキャストオーディオアド」が人気番組のみなのは違和感がなかったのだが、Audiostartはリスナーが少ない番組でも構わないということだ。誰でも希望すれば参加できるのが最大の特徴だ。ダウンロード数が1桁の番組でも参加できる。

ただし、まだ広告主が少ない状態なので広告が付かないことも多い。広告主は番組を指定するわけではなく、ポッドキャストのカテゴリや地域などで絞り込んで配信する感じだ。なので、ジャンルによって広告の付きやすいものや付きにくいものがある。

例えば、「ビジネス」カテゴリの番組には広告がつきやすく、「バラエティ」は付きにくいなどがある。

ただ、始めたばかりの番組であっても参加できるのは嬉しい。また、YouTubeなどは1再生数あたりの報酬はジャンルなどで差があるようで、0.5円〜0.01円とも言われているが、平均として0.1円くらいと言われている。

Audiostartも変動する可能性があるが、現状では1再生あたり1円くらいのようだ。

YouTubeなどでは気になるのが広告の質だ。現状、オーディオ広告は荒れていないこともあり、変な広告は少ない。ただ、番組ごとにこの広告は嫌だ、とブロックする機能も実装されている。ガラケーのアドネットワークなどを経験している会社が開発しているところもあり、将来的に考えられ機能なども実装されているのも安心だ。

かなり間口の広いAudiostartの広告ネットワークは個人的に期待するところも多い。


現状の問題点

Audiostartの広告ネットワークでは、現状でも問題点もある。解決できそうなものもあるが、仕組み的に難しいものもあると見ている。

自分の番組もいくつかAudiostartを使っているが、My cup of teaは参加を見送った。

  • Spotifyの再生数が計測できない
    Spotify側で音声ファイルを一旦保存して再生しているようなので、1再生ごとにダウンロードされないため、再生数が正確に把握できない。Spotifyの再生数はSpotifyの管理画面で見るしかない。

  • Spotifyで再生数が確認できない
    1つ目の逆になるが、これまでSpotify(Anchor)の管理画面で再生数を確認できていたが、Audiostartを経由して再生されたものは計測できない。

  • 配信してから各ポッドキャストアプリに配信されるまでラグが大きくなる。
    取り込みや再作成があるため、場合によっては1時間以上のラグが起きることも考えられる。

  • 動画ポッドキャストは配信できない

  • MP3に埋め込んだチャプター機能は機能しなくなる

最後の2つがMy cup of teaで見送った理由となる。また、Spotifyとの相性は悪いと言わざる得ない。なお、Chartableというような計測ツールとの併用は可能だった。ただし、Spotifyは別となるのは仕方がない感じだった。

このようにメリットやデメリットはあり、複数番組で利用しているので使い勝手などは答えることができるが、広告ネットワークへの参加などは、下記よりAudiostartに連絡して欲しい。

「Audiostart」ポッドキャスト配信者様へ



2005年2月から配信している「...My cup of tea...」を中心に、Spotifyの「Music + Talk」で配信する音楽番組「THE SOUNDTRACK // MY CUP OF TEA」、外歩きで収録する「THE SOUNDSCAPE // MY CUP OF TEA」などを配信しています。

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