【財務分析 Vol.14】 QBハウスの「美容ブルーオーシャン」


すらまっぱぎ!うっちーです(@Life_is_UpToYou)
インドネシアからお送りいたします。

財務諸表をみればその会社がわかる。

未来分析実践活用編
Vol.14 『キュービーネットホールディングス』

理念:我々は、お客様に「ありがとう」と言われる
均一で安心感のあるお手軽なサービスを提供し、
世界一多くのお客様から必要とされるヘアカットチェーン店を目指します。
ビジネスカテゴリー:サービス業


▶あふれる美容室

日本の美容室の数がどれくらいあるかご存じでしょうか。

35万にものぼります!35万が多いのはわかるけど、どれくらいかイメージ湧かない方は、コンビニエンスストアの約4.5倍と思ってください。ありすぎてもはや”convenience”ではなくなってますね。。。

※美容室と理髪店で違いがあるようですが、ここでは美容室で一括りにします。

この増加率に伴って、倒産件数比率の推移も上がっています。美容室運営側にしてみても、こんだけライバルがいれば苦しいでしょう。

利用者側にしてみれば、いざ行こうと調べると、山のようにヒットしてどうしようかと悩まれた経験が一度はあるかと思います。また実際行ってみても、仕上がりの差はそこまでわからず、金額は往々に安くはない。

これが美容室の”当たり前”です。

ただライフサイクル的には月一くらいで通われる方が多いかなと思っています(私が毛量半端なくてそうです、笑)ライフサイクルに発生する限りは、そのサービスは需要があるということができます。

▶QBハウスの登場

そんな美容室だらけの中で、突出して存在感を放っているのが、ご存じQBハウスです。安くて早くて、駅ちかとかスーパーとかでよく見かけるやつですね。このQBハウス、存在は知ってるけど、、、って方が多いと思います。

QBハウスは「髪を切る」ことに、とにかく特化したんです。

ぶっちゃけ毎月切りに行かなきゃいけないし、そのたびに調べて大量にある中からよくわからず予約して、行ったら行ったで1時間くらい時間を取られ、あげく仕上がりの差もよくわからずに、4,000円。って人が多かったんですね。

注目は『ただ毎月髪を切りに行かなきゃいけないってだけなのに、、。』

その社会に溜まった【不満】へアプローチしたからこそ、詳細はよく知らなくても世間が注目し、誰もが名前は知っているという存在感を持っているんですね。ビジネスとはこんな身近な【不】に気付けるかどうか、という観察力が大事です。

▶QBハウスのビジネスモデル

売上の骨組みは実はものすごく単純。

【単価×数量】よく聞くと思うますが、その通りなんです。

QBハウスの【単価】は、10分1,000円。これは実は、安価にして安価にあらず。

従来の当たりまえ美容室が1時間4,000~5,000円

QBハウスは10分1,000円=1時間6,000円


ではあとは1時間をしっかりと6,000円にするための回転率【数量】。

QBハウスは他多数の美容室とは異なり、全ての無駄を省いています。シャンプーや髭剃りと言ったサービスを行わず、カットのみとし、そのカットを10分1000 円という早さと安さを提供しています。

カット後はシャンプーをせずとも落ちる毛がなくて済むように開発した、壁に備え付けてある吸引機で髪を取るだけ。徹底的に無駄を省くことで、所要時間10分を実現。時間のないビジネスマンから人気を集める理由ですね。

また外から現在の待ち時間がわかる仕組みをいれることで、その人にあったタイミングでササっと行けるような工夫もしています。

仕組化にこだわり、お客様の要望に特化し、回転率を増やしているんですね。


▶キュービーネットホールディングスの財務分析

収益性 ★★★★
安全性 ★★★★
生産性 ★★★
成長性 ★★★★

参考:財務諸表ハック

美容業界での営業利益率9.42%は比較しても高い水準であると言えます。また値上げをしても増益増収できているところを見ると、ブランド力がしっかりと地に足をつけたように受け取れます。

安全性についても、基準数値はどれもクリアしており、キャッシュフローの動きをみても、営業活動↑投資活動↓財務活動↓の【健康経営】です。

生産性分析

全体売上20,864,000,000÷店舗数694=一店舗売上30,063,400円

一店舗売上30,063,400円÷360日=一月あたり83,509円

一月あたり83,509円÷30日=一日あたり2,789円

一日あたり2,789円÷8時間=一時間あたり347円

※全体の売上で算出してるので、もうちょっと数値大きいです!

数値上だけで見ると3時間に一人という結果ですので、もっと回るためのマーケティング活動などが注目されそうです。

単価をあげたことに乗じ、従業員へのリターンも増えていることから、より底の厚いサービス展開ができることが期待できますので、海外展開と併せ堅調な成長性が見込めそうです!


~まとめ~

QBハウスによるサービスが、「髪を切る」という概念を一気に覆しました。

これにより、「髪を切る」という一点だけを切り取れば、それは10分1,000円の価値と算定できることになります。

あふれかえった多くの美容室はこのまま同じように「髪を切る」をメインに考えている限りは、競争に次ぐ競争のなかをもがきながら生きていくことを強いられることでしょう。

かたや、海外では一回10万円などで実際に営業している美容師もいることから、その技術力は確かなものがあるということができる。

さて、フィールドをどのように定義していくか。

過去の資料である財務諸表から結果を読み取り、その原因を考え、要因分析し将来の施策を考えると、その企業の動向をつかめるようになります。

一緒に財務の観点から物事を把握できるよう頑張りましょう!

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▶参考
財務分析項目について下記サイトがすごく便利です!是非活用してみてください。**

財務諸表ハック|各種企業財務チャート、複数社比較も簡単にできるXBRL財務分析ツール
財務諸表ハックは、XBRLをベースに企業財務情報を財務分析チャート、帳票に展開するWebアプリです。
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