【財務分析 Vol.30】 ユニクロの「3つの柱」

すらまっぱぎ!うっちーです(@Life_is_UpToYou)
インドネシアからお送りいたします。

このブログでは、"当たりまえ"を破壊して
新しい"当たりまえ"を作った会社を、主なモデルとして取り上げています。
テーマは"Think Different"です。(Apple)

読んでいただいた方が少しでも、ビジネスモデルのおもしろさとか、
会社の基盤であり結果を表す数字を、楽しいものと思ってもらえたら嬉しいです。

財務諸表をみればその会社がわかる。
未来分析実践活用編
Vol.30 『ファーストリテイリング』

理念:服を変え、常識を変え、世界を変えていく
ビジネスカテゴリー:小売業

▶ファーストリテイリングの財務指標

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収益性 ★★★★★
安全性 ★★★★★
生産性 ★★★★★
成長性 ★★★★★

初のフルスコアをつけてみました!さすがアパレル業界世界第二位という記録を持つ実力者。。。

さっそく中身見ていきましょう!

▶BSからわかる収益力

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上の財務諸表をより見やすくまとめたものです。タイトルに書いた”収益力”という言葉を見て、「収益力はPLからわかるものだろ?」と思われた方、正しいです。

しかし財務諸表は繋がっています。そしてBSは何を表すものだったか思い出してみてほしいです。【参考:Vol.29】

BSの右側はどのように資金を集めたか??ということを表します。集め方は3通りあり『①借入 ②出資を受ける ③自ら稼ぐ』です。

『③自ら稼ぐ』をどれだけ過去積み重ねてきたかを示すのが”利益剰余金”となります。そのため、ファーストリテイリングは純資産の大部分を内部留保にて構成しているという事になります。

この図式にてもわかるように、流動比率や固定比率などの安全性指標がとても高いことも見て取れます。

流動資産の内訳を詳しく見てみれば、現預金の額が1,086,519円と半分以上、また有利子負債の半分以上を保有していることになります。

月商の5.6ヶ月分にも値しますね。

安全性は文句なしの★五つです。

▶PLから見る利益構造

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PLを見てわかることは、BSにて得た資金、資産を使ってその会社がどのように稼いでいるか?といったことです。

注目すべきは”売上原価率49%”

裏を返せば、商品の付加価値力がわかる売上総利益率は”51%”となります。

「あれ、、ユニクロって薄利多売のコストリーダーシップ戦略」って聞いたことがあるしそう思えます。

しかし実際に中身を見てみると、粗利率は50%越えしているため『コストリーダーシップ×高付加価値』を実現していると言えるでしょう。

衣料品の粗利率は20%程度なんて文献も目にする中、この高比率でビジネスを実現している理由はいわゆる「SPA方式」というやつですね。これについては多くのサイトで解説されているので興味がある方はググってみてください。

SPA方式にて、元々の原価を下げながらも商品自体に機能性商品が多く、付加価値が高いことも理解できると思います。冬にヒートテックはもはや欠かさないですものね。笑

固定費40%程度でフル稼働していて、ざっと損益分岐点比率を計算しても「65%」ぐらいとその優良さを伺えます。

▶生産性とCFを覗く

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※2012年当期純利益率は8%の間違いです!!(14%は営業利益率)※

2012年のデータを抽出して並べてみました。

生産性の基準となる総資本回転率は依然1倍を超えていて素晴らしい結果となっています。(日本の上場会社は平均1倍)

2012年と比較してマイナスとなっている理由としては、レバレッジによる借入の増加となるでしょう。借入をおこなうことで流動性リスクを減らすと共に、事業拡大へ拍車をかけた様子が伺えます。

拡大し続ける中でも利益率は変わらずにという点からも、確立されたビジネスモデルを”仕組化”として展開していることがわかります。

CFを見れば財務効果をうまく活用して、本業の稼ぎである営業活動によるCFを約3倍にまで押し上げている結果がわかりますね。

この生み出した現預金に比べ、投資活動は少なく感じるため今後の戦略に向け、どのように動くかが注目の的となりそうです。

~まとめ~

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2012年と2019年の財務諸表を見比べると、綺麗な成長線の体現者とも言えるでしょう。BSはより綺麗に、そして財務体質を強め、売上規模を上げながらも利益率は同等となっている。

□3つの柱

・圧倒的安定性
・高付加価値展開モデル
・ファストファッションに非ず

この時代「タピオカ」が流行ったと思ったら、いまは「バナナジュース??」といったように、流行りというのは一瞬で変わっていきます。

ファッションも同じだと思います。

そんな中、ユニクロの商品によるヒートテックなどの「消費させない文化」は10年以上の期間で売り続けています。

常にそばにありつづけられることのすごさがより一層際立つ社会で、それを”当たり前”としている。

ユニクロを展開するファーストリテイリングは、時代のFastという意味とは逆であるが、手に取りやすいFastを突き詰めている。

まだまだ店頭販売が大体数を占めているがために、更なる成長の余地を残し続けている。これを4つめの柱として展開した時、”世界のスタンダード”として一位になる日も近いかもしれない。



過去の資料である財務諸表から結果を読み取り、その原因を考え、要因分析し将来の施策を考えると、その企業の動向をつかめるようになります。

一緒に財務の観点から物事を把握できるよう頑張りましょう!


参考


財務分析項目について下記サイトがすごく便利です!是非活用してみてください。

財務諸表ハック|各種企業財務チャート、複数社比較も簡単にできるXBRL財務分析ツール
財務諸表ハックは、XBRLをベースに企業財務情報を財務分析チャート、帳票に展開するWebアプリです。
www.tukuttemiru.biz


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