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まだ見ぬ構築でCS入賞!新弾で進化を遂げた新型【ドライトロン】徹底解説

割引あり

こんにちは。potato4dです。

普段は関東圏を中心として遊戯王OCGのトーナメントプレイヤー・遊戯王OCGインストラクターとして活動しながら、マスターデュエルの競技環境プレイヤーも兼任しています。

さて、今回は4/27発売の新パックINFINITE FORBIDDEN(以下、INFO)にて絶大なる強化を手にした【ドライトロン】の構築を紹介します。

新規の発表時から長らく研究を続けましたが、先日ついに仕上がり無事5/18の太陽CSで入賞することができました。

この記事では新しい【ドライトロン】の基本に加え、環境においての強み、トーナメントシーンにおいてどのように戦うべきか、環境のデッキとの向き合い方についてお伝えできればと思います。

この記事を読むことで、筆者が2021年の全盛期より環境のTier1と合わせて調整をし続け、トーナメントシーンでドライトロンを使い続け、20を超える優勝・入賞の中で得た知識も全て提供いたします。

この記事を読むだけで、明日から大会環境にドライトロンを持ち込むことができるようになるはずです。


ドライトロンとは

ここからはテーマ自体の基本的な説明となるため、過去のいわゆる「全盛期ドライトロン」をご存知の方は読み飛ばしていただいて構いません。

ドライトロンの基本

2020年9月に登場した光属性・機械族の儀式/エクシーズテーマです。

コストとして手札・フィールドの『ドライトロン』モンスターまたは儀式モンスターをコストとすることで、手札・墓地から特殊召喚できる共通効果と、儀式モンスター・儀式魔法全てがサーチ対象となる固有効果を有しています。

加えて、テーマの儀式魔法が全ての儀式モンスターを儀式召喚できることから、カードプール上に存在するほぼ全ての儀式モンスターを戦略に組み込むことができます。その非常に緩い召喚条件を活かし、儀式・エクシーズ・リンクの3種類の攻め手を駆使して制圧や捲りを行うデッキとしてこれまで活躍してきました。

カテゴリとしては展開系デッキに属していますが、一度アクセスした『ドライトロン』モンスターたちは毎ターン墓地から特殊召喚できるため、継続的なサーチやドローを活かし、リソース勝負を含めた幅広いゲームレンジに対応可能な柔軟なテーマです。

過去には天使族ギミックを活かし、2枚初動から5~6枚の万能無効を立てる『宣告者』を軸に添えた構築がOCGでは環境上位、マスターデュエルではTier 1に位置して猛威を振るっていました。しかし、度重なる規制や環境の変化によって、INFO発売前までは「よくある環境外の展開系デッキ」の一つに名を連ねる状況となっていました。

こういった過去の印象からただの先攻番長という印象も強いですが、実は戦略目標は制圧に依存しておらず、オールレンジのデッキでもあります。(詳細は『ドライトロンのゲーム全体における戦略目標』にて解説します。)

INFO で実装された『νII』というミッシング・ピース

そんなドライトロンですが、2022年7月に【ティアラメンツ】環境突入して以降、環境での活躍は難しい状態が続いていました。

個別の問題点の詳細は既存構築の課題にて詳しく解説しますが、敢えてシンプルに表現すると「そもそもが2枚初動なので事故率も高い上、誘発も積みづらく、簡単に横並びする割には最後は儀式に触れないと展開が弱い」こととなります。

現代デッキは「1枚初動で初動率が9割を超えており、誘発や汎用カードに割く自由枠が12程度あり、加えて2枚初動以上だと多少は誘発も貫通できる」というのが当たり前水準であると言い切って良いでしょう。

パワーの低いものを含めた2枚までの誘発の貫通力やギミックの手数ではこれらに対して今なお圧倒的な優位性を誇りますが、初動率の安定感やメタスペースでは劣りますし、クリティカルに刺さる2誘発以上の組み合わせは、儀式ギミックの素引き量に依存していたというのも実情です。

そんな中、今回 INFO にてそれらの問題を解消する《竜儀巧-νII》が実装されました。

効果として、自己蘇生とCIPでのテーマモンスターのサーチを有しています。

効果だけを見ると、シンプルに他のドライトロンと類似しており、前評判の時点からの評価ポイントでもあった『最大7枚存在するノヴァを1枚初動として展開が可能(後述)』という特徴を有しながらも、基本的にはシンプルなテーマ名称のかさ増し程度という印象を受けます。

ですが、このカードはドライトロンの既存のカードプールと組み合わせることにより、『待望の1枚初動』と《スプライト・ブルー》に《スプライト・ジェット》、そして《スプライト・スターター》の3種に相当するカードをこの1枚で手にすることとなりました。

わかりやすく、始点と終着点からできることを紹介すると……

フィールドにステータスを問わず、Lv.1モンスターが並び、ファフμβの着地に成功、その効果を発動することを条件とすることで

このように、Lv.1モンスター2体とランク1モンスター、さらにリンク2モンスターまでを出力可能となります。

モンスターがリンク値6相当であり、ランク1がさらにランク1を呼び込むため、これだけでも十分な展開が可能です。

これにより、これまで事故率やノイズを抱えざるを得なかった儀式依存の構築を脱却し、先攻も後攻も『ランク1』と『リンクモンスター』によって相手を圧倒し、第3の攻め手として最小限度で最大値リターンの儀式モンスターを併用するデッキへと変わりました。

この展開力は後攻の強さも底上げしており、先述のLv.1モンスター2体によるファフμβの成立に成功するだけで、爆発させたボードからワンキルと制圧を選択可能です。

ドライトロンは元々エクシーズとリンクを活用し、それらによって作った道を経て、儀式モンスターにシステムモンスターとしての役割を持たせる必要がありましたが、今回の新規カードによって完全にその耐性を脱却し、儀式に依存するのではなく、付加価値・環境における優位性として儀式を活用できるデッキへと変貌を遂げたと言えるでしょう。

これが今回の構築の根幹でもあるため、以降はこの点を念頭に置いて読み進めてください。

【ゴーストリックドライトロン】の紹介

それらを踏まえて、今回私が「大会環境で勝ち切ること」を前提として組んだ新しいドライトロンが【ゴーストリックドライトロン】となります。

構築の概要

既存構築の課題

これまでのドライトロンは、ギミックの手数や展開成功時のパワーは非常に高水準にまとまっている一方、以下の3点を大きな課題としていました。

  • 儀式モンスター・儀式魔法どちらかへのアクセスを完全に遮断されると妨害の量・質ともに大きく低下する。

  • 機械族のギミックと天使族のギミックが地続きではなく、特に天使族ギミックが固まった場合に事故やリソース不足が頻発する。

  • 天使族ギミックがデッキスロットを圧迫するため自由枠に乏しく、増殖するGすら採用しづらい。下手に手札誘発を採用すると事故要因となり、先攻勝率を下げる。

ですがこれらは全て共通して「『ドライトロン』というギミックによって儀式召喚を成功させ、天使族を回す」という構造上の問題です。

「全てのパーツがまるでデザイナーズコンボのように噛み合っている」と過去に評されていたドライトロンですが、それは逆に言えばデザイナーズコンボのように決められたルートが通る前提であることを意味します。

実際のデュエルシーンでは噛み合いはマストカウンターであり、弱点です。そのため、もっと節操のない合理的な終着点を貪欲に狙う必要があると考えました。

その結果目をつけたのが先ほどのLv.1モンスターを並べることが容易であること。つまり、ランク1のギミックの活用です。

「盤面に散らばっただけLv.1のモンスターを妨害に変換することに儀式召喚が必要」というのが問題であれば、「儀式依存からの脱却を活用し、儀式は通ったときにゲームエンドになるだけの要素をもたせる」だけでこの課題を解消しつつ、通ったときには儀式のリターンを享受できるのではないでしょうか。

そこでLv.1単体で機能する信頼可能な妨害として、【ピュアリィ】が使用していた『ゴーストリック』ギミックに目をつけました。

ゴーストリックはLv.1モンスター2体で特殊召喚できる《ゴーストリック・デュラハン》を起点とし、ランク4モンスター+好きなランク1~4のモンスターの2体供給することが可能なギミックです。

これにより、召喚条件の厳しいエクシーズモンスターやリンクモンスターにつなげつつ、展開ルートを辿る中で手札に加わる蘇生魔法《ゴーストリック・ショット》と、展開途中で自然と墓地に落ちるデュラハンの墓地効果で好きなゴーストリックカードをサルベージできるため、2枚で無尽蔵に盤面を供給し続けることが可能です。

今回はこのギミックを採用し、《FNo.0 未来龍皇ホープ》の成立を目指すこととしました。

先程の「νIIによる展開」で紹介した盤面では実質的に妨害がリンクによるものだけとなっており、相手のアクションに能動的な妨害を作ることが難しい状況でしたが、未来龍皇を採用することで、最終的に以下のような盤面を成立させることが可能です。

妨害としては、マスカレーナからのリトルナイトの成立、エンドフェイズまでの一次除外、そして未来龍皇の最大3妨害が可能です。

この盤面のみを最終盤面とするには心許ないですが、「Lv.1が2体」という非常に緩い要求値から作り上げることができ、「誘発を貫通した上で作る盤面」や「他に誘発や永続罠を抱えている中で少ない枚数で作る盤面」としては十分なものと言えるでしょう。

「最終的にLv.1が2体並べばゴーストリックの無限リソース付きの3妨害が立つ」という考え方を軸にすることで、従来のハイリスク・ハイリターンであった儀式召喚から脱却し、ローリスク・ミドルリターンであるエクシーズとリンクを軸に移すことが可能となりました。

もちろん、追加でギミックを引いている場合や相手からの誘発が飛んでこない場合は、さらなるリンクや儀式召喚によってより強力な盤面を目指すことができます。しかし、必ずしもそれらに依存しないことで、儀式周りのギミックを「ローリスク・ハイリターンなギミック」として扱うことができます。

目指す盤面について

これらを踏まえて、2枚初動で目指す盤面は以下のA/Bいずれかを基本とします。

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