「生まれてきてくれて、ありがとう」
「わたしが生まれてこなかったら、パパとママだけ(で生活)だったの?」
子供に問われたベッドの上、薄暗くて落ち着いた空間。母と子二人だけの時間。9月になって急に気温が下がりエアコンを消した夜。
夜の空気を救急車の切羽詰まったサイレンや、電車のガタンゴトンという音が揺らしている。
「そうだよ、あなたが生まれてこなかったらパパとママ二人だけで過ごしていたのよ。それはとってもさみしいこと・・だけど、ココちゃんが生まれて来てくれたから、パパとママだけじゃないからとっても嬉しい」
わたしの腕まくらに頭を乗せていたので顔と顔が近くだった。けれど、部屋が暗くて子供がどんな表情をしていたかわからなかった。わたしに頭をさらに寄せて腕をまわして「ギュッてして」とお願いされた。私は「ぎゅっ」と声に出して背中に左手を回した。
「ココちゃんが一緒にいてくれて、おしゃべりしたり遊んだり出来てとっても楽しい」
「だから、生まれて来てくれてありがとう。大好き」
すぐそばにあるおでこにキスをした。
いつもなら、そんなお話を聞いたらお返事にキスを返してくれるだけで無言なのだが、この夜は違った。
「そんなこと言われたら嬉しくって涙が出ちゃうよ。恥ずかしくなっちゃうよ」
6歳だけれど、照れをストレートに表現出来るんだ、かわいい!私が愛の告白をした時に初めて言葉で自分の気持ちを伝えてくれた。照れてる顔が見たいと思ったが、わたしにしがみついてくるので頭をなでなでしてあげた。
子供に付き合って毎日を過ごしているとイライラする事が多くある。早くして!ここ違うよ!何回言えば分かるの?怒鳴ったり、叱ったりぐちぐちうるさい私。わかってる、けどつい口から出ちゃう良くない言葉。
「○○はクソ」と子供が悪態をついた。「それは下品な言葉だね」と遠回しに避難した。
親の真似でつい口から出ちゃう言葉、仕方ない。日常耳に入ってくるんだもの、ごめんね親が悪い。
日々いろいろあって考えて、やっぱり笑顔がいいなぁ、頑張ってるなぁと子供を感じ取っていると自分も頑張りたいなと思える日が来る。
一昨日くらいから“好きって言いたい“気持ちが膨らんでてこの夜は『自分の体いっぱい』の大好きを伝えたかった。
ベッドに横になってから40分おしゃべりして二人で眠った。なんて幸せなんだろうと思った。
外は少しの雨。季節が変わっていく。成長途中の今、子供の成長を間近で見られる喜び、言葉をプレゼント出来るワクワクやあったかい気持ち。これは全部子供が居てくれたから体験できた事。
生まれて来てくれてありがとう。
わたしは幸せです。
明日からまたイライラしたり気持ちが揺さぶられて不安定になるかも知れないけど、大事なものが何か、どんな言葉をかけてあげたいか?考えながら親として成長出来るよう努めます。
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