勤務844日目 郵便配達のバイトがどれほど素晴らしいか述べてみる

この仕事に就く数週間前。
ぼくは持ち前のHSP気質を発揮して郵便配達について調べまくったんです。
世間ではいい風に言われない仕事なので、否定的な意見ばかり目にしました。

ということは、肯定的な意見は結構貴重なのでは(アクセス数稼げるかもしれん)。

なので引きこもり10年から約3年半この仕事をやったぼくが、嘘のない真実の「肯定」を述べたいと思います。


・犬や猫と遊べる

ぼく、犬って興味なかったんですよ。
この仕事、数ヶ月もすれば慣れて飽きるんです。
で、飽きたとき、ぼくの興味は犬に移りました。

毎日毎日同じ犬と顔を合わせるようになる。
だんだん犬たちの「個性」がわかるようになります。

「この犬はバイクに親を殺されたのかってぐらい吠える」「この犬は人が来るとクゥンと鳴いて遊びたがる」「この犬はいつも死んだように眠っている」「この犬はバイクがくると一生反復運動をして叫び続ける」

似ている個性の犬はいても、一匹一匹が違っています。
同じ犬がいないことに気づきます。

この仕事くらいじゃないでしょうか。人様の家に勝手に侵入して人様の家の犬と勝手に遊び、でも飼い主様には怒られない。

「かわいいですね」とか「かしこい子ですね」とか言うと、飼い主様はみなさん、うれしそうにします。

犬は面白いです。
この仕事をしなければ、ぼくは「犬のよさ」に一生、気づくことはありませんでした。
郵便配達。すばらしい仕事。

猫とも遊べますよ。
まあほとんどの猫は逃げますけど。

猫もそれぞれ違ってはいるんですけど、でも犬ほど個性的ではないです。猫も面白い生き物ですが、犬の方がずっとおもろい。

・時間経過が早い

ぼくは引きこもる以前、10種類近くの仕事を経験しました。
そのなかで、郵便配達は体感時間経過が早いです。

常に動いているからでしょう。
バイクにまたがっている状態は(体が)止まっているとも言えるけれど。
目的地に向かって常に動いている。短い距離の目的地が何百件と続きます。

一番苦痛なのは起きて局に行くまでですよ。
出勤して安っぽいチャイム音が鳴ってからは、いい感じに時間に追われます。

慣れれば時間の管理がうまくなります。
今日は午前でどれくらい進めるか、時間が余りそうだから早めに戻ってのんびりするか、定時はきついから少しゆっくりやって超勤を使うか。

一日の歩数が16000~20000と多くて体はつらいですけど、続けるうちに「これ以上つらいことはない」「きつい日でもこんなものか」と限界がわかります。
これを理解すれば楽な仕事ですよ。

・気楽

コミュ障の人に朗報ですが、この仕事、コミュ障が多いんですよ。ぼくもその一人ですけど。

局にいる間は会話をしなければならないことがありますが、バイクに乗ってしまえばあとは「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」「ありがとうございます」「〇〇郵便局です」「お届け物です」「○○様で間違いないですか?」「サインをお願いします」ぐらいしか言葉を使いません。

黙々と郵便を配り続けます。

最近では切羽詰まってきているのか「営業してこい」と毎日毎日上司がうるさいですけど、無視して大丈夫です。

もちろん、営業をやれるにこしたことはありません。この会社は頭がわ――不器用なので、どんどん減る一方の郵便物の減益の穴を埋める手段は営業しかないと思い込んでしまっているため、頭のわ――本部が各局に営業させるよう通達しているのだと思いますが、追い込まれている部長もなんとか営業させようと朝礼であれこれ必死に言っております。なので営業を成功させれば一番評価されます。

営業の圧が嫌で心苦しくなってしまう配達員もいることでしょう。
耐えきれなくて自爆する配達員もいるでしょうね。

大丈夫です。やりたくないならやる必要ありません。ほとんどの配達員は営業をしませんし、それでなにも言われないですし、現状、直接強制されることはない。局によるかもですが。

「営業なんてやっちゃだめだよ。時代の流れに逆らってはいけない」と言っていた正社員もいます。

「時間前着手するな」「休憩時間守れ」というありがたい業務命令もあるので、他の人がどれだけ郵便を触ってもぼくは絶対時間前に郵便を触らないですし、他の人がどれだけ休憩削って帰局してきても、ぼくは休憩1時間を取るため余裕をもって帰局しています。

気楽です。
いまの郵便局はホワイト企業ですよ。

・バイクの適性が仕事に通じる

ぼく、気づいたんですよ。
この仕事、バイクに乗れる人間にかなり適性があります。

バイクに興味がある人でもいい。
すでに大型まで持ってて日常でバイクに乗っている人なんて最高ですよぜひ郵便配達はどうでしょう。

プライベートでバイクを使ってる人はほぼ皆さん、この仕事が「デキ」ます。
配達が早いのはもちろん郵便の組み立ても早いし安全運転もうまい。

郵便配達員としての才能を持っています。

普通自動二輪の取得を検討していた人なんて、うってつけ。この仕事を続ければ苦も無く自動車学校を卒業できます。

趣味でバイクに乗っている人たちより確実に運転がうまくなります。
そりゃそうですよね、毎日30キロ~60キロカブを運転して重量もバランスもめちゃくちゃで泥道砂利道鉄板クランク草道坂道細い道などあらゆる悪路を何本も後輪タイヤ潰しつつ走り尽くすんです。

当然、何度も転ぶことがあるのですが、それを経て身についた走行テクニックはプロライダーと言っても過言ではないほどのものです。

バイカーとして一つ上の次元に行きたい方。
腕を磨くために郵便配達はどうでしょう。

・意外と給料が良い

全国――日本のすべての家に対して「配達」という仕事が存在します。いろんな人たちの労働を経て、各家に最終地点として届けられる。その仕事が我々の役目。
どんなど田舎の家にも、この仕事は存在します。

田舎に住んでいると仕事の選択肢ってないですよね。
電車で長い時間揺られて都会に出ないと、ある程度のよい給料がもらえない。

この仕事は違います。
ど田舎に大きな局があって、場合によっては自宅から近くて、ある程度「良い時給」が保証されている。

ぼくは最大時給をもらっているのですが、毎月手取り25万以上あります(残業15時間以下)。30万もらうこともあります。
ありがたいことにボーナスもあるので、総手取り40万の月もあります。

田舎に住んでいるので、近場でこんな給料がもらえる場所は他に存在しません。

浪費をしなければ、結婚も可能です。
実際、バイト社員で家庭を築いている人は多いですよ。

長期休暇はありませんが、有給はとりやすい。休みたい日に休ませてもらえます。

毎日残業しまくって全然休めてないのにあまりにも低い手取りに苦しんでいる人へ。
近くの郵便局で外務のバイトをしてみてはどうでしょう。

・ね。

いい仕事だと思いませんか?

実際、いい仕事ですよ。

本気で言っています。
仕事はいいんですけど、組織が腐ってるんです。それだけです。
腐った愚かな組織に目をつむれば、ありがたい仕事です。

たぶんこの「腐った愚かな部分」が変わることはありません。
いっそ受け入れて、甘い汁を見つけ、よく味わいましょう。

雨が嫌だとか、暑いのや寒いのが嫌だとかがあるかもですが、しっかり対策できればどうということはありません。

ぼくは雨の配達になにも嫌気を感じなくなりました。
晴れの日よりも楽しいとさえ思う瞬間があります。

カッパや防寒着などは社外品が黙認されているので、ここに金をかければだいぶマシになります。

暑いのは水分補給と空調服でぎりぎり耐えられます。
ぼくは倒れたことがまだありません。一回だけ意識が朦朧とした日はありましたが。

肌が焼けるのが嫌だと思う人もいるでしょう。
アームカバーやバラクラバ(目だし帽)をつければ白いお肌を維持できますよ。強盗に間違われて110番通報されたことは一度もないです。

すべての家に配達があるので、特殊な性癖をお持ちの家主にちょっと嫌気が差すときもあるでしょう。
その逆も当然あります。優しいおばさまにどれほどよくしていただいたか。ぼくの聖なる心に熟女というカテゴリーが生まれてしまうほどに。

などという冗談が思いつくくらい、おばさまの優しさに触れる機会があります。もちろん優しいおじさんもいます。滅多に出会わないですけど。


いやぁ、大変記事が長くなりました。
それくらい本当にいい仕事なんですよ。

長年ひきこもりで郵便配達やってみようかなぁって悩んでいる方。
他に選択肢が浮かばないなら、ぜひやってください。

仕事を探していて「選択肢がない……」と苦しんでいる状態なら、郵便配達以上の素晴らしい仕事はないでしょう。

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