白い六角形と黒い五角形|甘味屋餡子
ケーキを海底のポストへ投函でサッカーを題材として扱うのは2度目。
前回の「サカナ!サカナ!」では『新入りサッカー部員のロングシュート』というタイトルでたった4人でサッカーの45分ハーフの試合を描いた。
今回は1公演丸々使って、前回と同じ「長坂農業高校」の物語を描く。ライバルは同じく「津宵学園」。「本田翼」を中心にとある試合を描いていく。
今回、演者は4人から一気に14人に増えた。前回は監督とマネージャーと数人の選手達での試合風景がメインだった。今回は、前回描かれなかった試合に向かう学校での風景も描かれるのだろうか。それは試合に向かう生徒と、それを見守るおとな達の姿だ。
今回の主な舞台は農業高校。
学校には基本的に2つの人種しかいない。
それは「生徒」と「教師」。
言い方を変えれば「こども」と「おとな」、「守られる者」と「守る者」である。
そして描かれる学校は長坂農業高校だけではない。ライバルの津宵学園の物語もある。そこで物語られるのは「挑戦者」と「王者」の軌道の先だ。
異なる2つのモノだけで1つのコミュニティを成立させる。
それはさながらサッカーボールのようだ。
一般的にイメージされるサッカーボールは20枚の「白」い「六角形」と12枚の「黒」い「五角形」の三十二面体でできている。この準正多面体である三十二面体は構造から球形よりも扱いやすく、細かいコントロールがし易いのだ。選手が正確なパスやシュートを打つにはこの構造が欠かせない。
この白黒デザインボールが使われるようになったのは1960年代、ワールドカップでは1970年のメキシコ大会から。テレビ画面で見易いというのが主な理由だそうだ。
2000年代から更に技術が発達し、五角形と六角形を使わないサッカーボールも増えてきているのだとか。色も白黒ではなくデザイン性の高いものも増えてきている。
それでも、私たちのサッカーボールのイメージはやはりこの「白い六角形」と「黒い五角形」のボールなのだ。
2つの図形が組み合わさったボールが、どのような軌道を描くのか。
まだ、キックオフの笛は鳴っていない。
2022年4月7日
文:甘味屋 餡子 (役者)
写真:森 弘 (役者)
【公演概要】
ケーキを海底のポストへ投函 vol.4『BANANA SHOOTER』
作・演出=堀伸也
日時:
2022年5月28日(土)
14:00〜 / 18:00〜
2022年5月29日(日)
13:00〜/ 16:00〜
(いずれも開場は開演時間30分前)
会場:
神奈川県立青少年センター スタジオHIKARI(多目的プラザ)
(最寄:桜木町駅 徒歩8分)
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