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ワタクシ流☆絵解き館その136 秋のカレンダー ― 田辺完三郎の詩 ④

 南薫造 「生家の近く」 油彩 1949年頃  個人蔵

陰徳飄逸の詩人田辺完三郎の詩を紹介する第四編目。詩人は1941年生まれで、すでに故人。『ほろ酔い詩集』は最晩年に出された唯一の詩集。ここに、田辺完三郎の詩人としてのすべてが刻み込まれている。
扉には、絵の中のちぎれ雲と、詩の中の最終行の言葉が響き合うように感じて、南薫造の「生家の近く」を選んだ。読み終えた後、もう一度この絵を見つめ直してほしい。
南薫造の生家のある町を歩いたことがあるが、画面のどこにも棘(とげ)のない、温かく包み込んでくれる掌のような南の絵の世界の源が、まさにそこにあるのを感じさせる風土であった。
語られることのない形容だろうが、南薫造は「雲の画家」であると思っている。その作品群に描かれたさまざまな雲は、やさしく愛おしい。扉の絵「生家の近く」においても、その趣を味わってほしい。
では田辺完三郎の詩を…。


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