俳句のいさらゐ ◉↹◉ 松尾芭蕉『奥の細道』その十四。「波こえぬ契ありてやみさごの巣」(曽良)
曽良のこの俳句を、『奥の細道』象潟の段の掉尾に置いた意味を考えていて、第一句である芭蕉の吟「象潟や雨に西施がねぶの花」に響かせていることに気づいた。
その「象潟や 雨に西施が ねぶの花」の方から見よう。
俳句に詠まれている西施とはこういう女性だ。越王・句践( こうせん )が、実力で及ばない敵、呉王・夫差( ふさ )の力を削ぐため、絶世の美女を贈り、その色香の虜にして政治を疎かにさせ、臣下との軋轢 ( あつれき ) を生じさせる策を企てた。
その企 ( たくら ) みは成功し