俳句のいさらゐ ⊸⊸⊸ 松尾芭蕉『奥の細道』その二。
『奥の細道』は、自然観照の中に、人生の機微や人の心の核心が漉きこまれていて、何度読み直しても、新しい気づきをもたらしてくれる。引き続き、芭蕉の生み出す小宇宙を味わってみたい。
標題の「いさらゐ」はちいさな泉のこと。にじみ出て来る思いを、そんな古語に喩えてみた。
暑き日とはむせ返る暑熱と理解できる。最上川の川風が、その暑熱を海へ運んでいて、河口ばかりは暑さが和らいで爽快だ、という気持ちであると読む句なのだろう。最上川の下流の裾や、大きな風景を遮るものがない河口の広がりが見えて