気候変動とインフレリスク-210612①


この記事の論点が非常に面白いです。


イングランド銀行(英中央銀行、BOE)のベイリー総裁に言わせれば、気候変動対策があまりに遅く、あまりに手ぬるいとインフレリスクをもたらす。ところが、米資産運用大手・ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は、気候変動対策を急ぎ過ぎるとインフレリスクが高まると主張する。
ベイリー氏の見立てでは、新たな現実に対する政策調整を先送りするほど、調整に要する経済的なコストが大きくなる。
逆にフィンク氏が重視したのは性急過ぎるグリーン化社会への移行にかかわるコストで、例えば、航空燃料価格や航空機利用料金を押し上げると警告した、と英紙フィナンシャル・タイムズが伝えている。フィンク氏が提起したのは、各国の規制当局と政府が「グリーン化のためにインフレが進むのを受け入れる」かどうかという問題だ。



【ここが重要】

多くのエコノミストは、気候変動対策が物価を押し上げる可能性があるという点に異論はないだろう。なぜなら現在の二酸化炭素の価格には、本当の環境コストが反映されていないからだ。だから、そうしたコストを織り込むことを求める政策が打ち出されれば、物価が上昇する流れが生まれる。


今は世界的に金利が低下してきており、テクノロジーの発展も相まって、デフレ的に金融・経済が進行していくと思われます。

本当はモノの価格が下がっていき、便利な社会が待っているのかもしれません。

しかし、今の社会は経済成長・インフレを前提としているため、社会が成り立たなくなる恐れがあります。

このため、インフレを起こすための一つの方策として、気候変動対策が取り入れられているのかもしれません。



まとめ

気候変動対策が与える物価への影響は、短期的・長期的に考えていかなければなりません。

短期的には、原油価格等の急上昇をもたらすかもしれないと思っています。

長期的には、燃料費のかからない再エネが安く供給されて、エネルギー価格を低下させる可能性があります。

なお、再エネの価格が(設備投資+維持管理費)÷総発電量で決まるとすれば、発電すればするほど1kwhあたりの価格が下がることになります。

これは、燃料費(変動費)が必要な火力発電等と構造的に異なり、エネルギー価格にデフレ圧力を与えるかもしれません。

ただし、再エネに投資した人が報われるかどうかはわかりません。










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?