短編小説 デニムの砂(1)〜P2P5曲目 体温より〜
声も、顔も、素振りももちろん覚えているけど、1番身体から離れないのは、あの人の体温だった。
あの人の体温を、僕はいつだって探している。
「マジかあ…」
行程表をチェックして、俺は思わず声が漏れる。
僕は、奨励会を辞めた後色々有りつつも、今は小さいMV専門の広告代理店を経営していて、少数のスタッフながら皆優秀なので評判も良く、ありがたい事にオファーをいただくことも多くある。
そんなオファーの中で、レコード会社が本腰を入れて売り出そうとしているアーティストがいて、それは、低予