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【コンプラ違反?昭和ノリ?】新作アニメ『うる星やつら』がハズれたワケとは

※以下、新作『うる星やつら』1話、旧作『うる星やつら』のネタバレを含みます。

あけみ(以下あ)---アフィカスブログのようなタイトルに釣られて読みに来てくれた皆さん、こんにちは。心配しないで、10/13より放送を開始している『うる星やつら』について今から真面目に考察していくから。

ハロ(以下ハ)---再アニメ化されたうる星やつらだけど、あけみは旧作からのファンなのに対して、ボクは今回初めてうる星やつらを観たんだよね。だから本当にフラットな感想なんだけど、ギャグが古いと感じたかな。昭和ノリというか…。

---そう思うのも無理はないけど、ちょっと誤解がある。

---どういうこと?

---それは後々解説するとして、まず初めに新うる星やつら、旧うる星やつらのオープニングを比較してみよう。

---オープニングか、割と新オープニングに不満を持った旧ファンは居たみたいだよね。

---旧うる星やつらの売りは浮気症な男に振り回されるヒロインと嫉妬深い女に振り回される主人公って言う新しい構図だったから、オープニングもそんな雰囲気がよく出てる。
男女のやりとりをコミカルに表現したアニメなんだなって分かる絵作りだよね。

---それを踏まえると、新うる星やつらのオープニングは男女のやりとりって印象はないね。特にあたるの印象は薄い気がする。

---新うる星やつらの売りはオープニングから見るに、『ラムのかわいさ』じゃないかな。現代チックにデザインし直したラムちゃん可愛いでしょ!ってのがすごく伝わってくる。

---確かにあれ見てラムちゃん可愛いなって思った。

---最初にオープニングを観て、あまりにラムを推すから、新作は旧作とは内容が違うんだなって予期させられたよ。

---実際見て、新作はどうだった?

---表面的なことを言えば、ギャグや展開のテンポが悪い。旧作特有の怒涛の不条理ラッシュが足りないと思った。

---怒涛の不条理ラッシュ(笑) 

---唯一ラム、あたる、しのぶの3人の電話がブラックホールを作り出したとこは不条理すぎて笑った。

---逆に言えばそこ以外は声出して笑うほどではなかったね。

---そう感じる原因は元々のうる星やつらの構造に隠されていると思う。 まず、1番旧作ファンが不思議に思うかもしれないポイントなんだけど、新うる星やつらの1話では、あたるがしのぶのことをかなり好きなんだよね。

---2人は相思相愛にみえたよ。

---実は旧うる星やつらではあたるは割としのぶのこと好きじゃない、ようにみえる。好きは好きなんだけど他の女の子と大差がない。

---それだとだいぶ印象が変わるね。

---旧うる星やつらの1話で、ラムちゃんを地球に呼び戻してほしい同級生達が、あたるを捕まえて、隣の学校の女子を紹介するからラムちゃんを呼び出せとかなんとか言うシーンがあるのよ。しのぶがヒロインらしく止めるんだけど、女の子に釣られてあたるは全然しのぶの話を聞かないわけ。あたるって1人に愛を注ぐと言うよりかはただの女好きで、はっきり言えばクズ野郎なんだよね。

---新作ではクズ野郎というほどではなかったな。

---本来のあたるは今の時代ならちょっと憚られる悪趣味なキャラクター。うる星やつら自体、不謹慎ギャグみたいなところが割とあるしね。

---不謹慎ギャグ?

---うる星やつらには、セクハラしたり好意を裏切るような事をした男が女の子にお仕置きされるカタルシスがある。

---スカッとジャパン的な感じだ。

---でも新作では「女の子に酷いことをする」のが良くないと判断されたのかな。例えば、新うる星やつらではあたるとラムの地球を賭けた鬼ごっこシーンでラムのブラが事故で取れたことになってたじゃん。旧うる星やつらではあたるがわざと取るんだよね。

---え、あれ違うのか!

---令和では例えアニメメディアであっても、女の人のブラをわざと取るなんてけしからんことなのよ、多分。

---コンプラに引っかかったのかな〜。

---でもブラを取ってしまうのがあたるなんだよ、ブラを取らないあたるなんてちょっと変だとすら思う。なんたって彼はセクハラ浮気症クズ男だから。

---なるほど、新作では彼のその要素が薄まっているわけか。

---あたるがクズであればあるほど、不条理な出来事に苦しむ彼を笑えるようになる。旧うる星やつらの地球を賭けた鬼ごっこであたるはラムをあらゆる手で捕まえようとするけど、どの手も失敗してあたるが毎回ボロボロになって担架で運ばれる。クズだから彼がボロボロになっても視聴者は笑っていられる。むしろその悪行に天罰が下ったという爽快感すらある。

---新うる星やつらでは担架で運ばれるシーンはなかったね。

---あたるのクズさが足りない故に、ただただかわいそうになってしまうからじゃないかな。

---その構造を無視すれば、確かにギャグが成り立たなくなっちゃうよね。昭和のギャグが令和に合わないんじゃなくて、そもそも昭和ノリの再現すらできてないって事だ。

---あたるがクズだと不条理ギャグが生きてくる他に、もう一つ効果がある。今後の展開なんだけど、あたる本当はラムの事好きなんじゃん!って話がたまに出てくるんだよね。例えば、ラムが他の男と仲良くしているのを見たあたるが嫉妬している様子を見せる、とか。ラムに言い寄られても全然振り向かないあたるが、実は彼女に特別な感情を抱いてるんじゃないかって思わせるような展開があって。

---なんかそれはかわいいね。

---そう!あたるが普段ラムに対してクズであればあるほど、その回のギャップが効いてくるんだよね。

---あたるがより魅力的なキャラになるわけか。

---新作でのあたるは、あくまでラムを怒らせるための道具程度のような扱いになってるように見えた。見せたいのは嫉妬した可愛いラムだから。今後の新うる星やつらの展開はわからないけど、ラムを可愛く見せることにばかり気にしてあたるの描写を怠ると、うる星やつらの本来の魅力が遠のいていく気がするよ。

---コンプラに引っかかるなら、もういっそ旧作とは違う面白さに突き抜けるべきだったかもね。おそ松さん的な。もし、新うる星やつらを違うギャグアニメとして描くとしたら誰に監督してほしい?

---クレしん映画の原恵一、水島努コンビかな(笑) 

---あはは、面白くなりそう(笑)でもそれはもう、うる星やつらじゃなくて、クレしんになってしまうのでは?

---確かにね。でもそのくらいギャグに精通した監督を呼んできてほしかったな。

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