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企業文化やミッション浸透のための「学び方変革」のすゝめ #ヌーラボ真夏のブログリレー2024

このnoteは #ヌーラボ真夏のブログリレー2024 Businessの1日目の記事として(大変ギリギリの時間に焦りながら)更新しています。

皆さんの企業では、組織文化や代表の思いなどをどのように新入社員に伝えているでしょうか。特に成長著しいスタートアップ企業の皆さんには頭を抱えている方も多いかもしれません。
よく「直接話して伝承している」というやり方も聞きますが、受講者として一方的に話を聞くのは辛いものがあります…!

今回はヌーラボでグローバル統一で掲げられている「Brand Strategy(以下、ブランド戦略)」を、創業20周年を機に改めて組織で学び直したお話をさせてもらいます。

このnoteは

  • なぜ学び方変革が必要なのか(Why)

  • 学び方変革のために用いる手法(What)

  • どのように学び方変革を行うか(How①)

  • アクティブラーニングを効果的に行うために(How②)


で構成しています。

学び方の重要性はよくわかってるから早くやり方を!という方は、Howから読んでいただけたらと思います。


このブログの著者について

コミュニケーション部 Angela

社内外広報とコミュニティ活動含めたソートリーダーシップを高めるための活動について担当している部署にいます。
以前は人事だったこともあり「研修設計とは何なのか」「オンラインでいかにオンボーディングを効果的に実施するか」に興味が湧いたことから、青山学院大学のワークショップデザイナー育成コース(以下、WSD)で学び、「ワークショップデザイナー」の資格を経て、「認定ワークショップデザイナー」の資格を取得しています。

1. なぜ学び方変革が必要なのか

学び方を変革することで得られる効果を、従業員目線・会社目線に分けて整理したいと思います。

従業員目線:眠たい研修を受けなくて良くなる

みなさんは学生時代の授業や、大人になってからの研修で眠たくなったことはありませんか?
…まあありますよね汗
逆にゲームをしていて眠くなったことはないのではありませんか?

これは「聴く」という受動的な行為か、「頭を使う」という能動的な行為かの違いだと思います。
学び方の変革を行うことは、研修スタイルを受動的なインプットから、事前にインプットした情報を能動的に活用する活動に変えることです。
残念ながら無駄になってしまう”眠たい研修の時間”はなくなることでしょう

会社目線:従業員の“知っている知識”を“使える知識”に変革できる

学び方の変革において重要なのは「リテイン」と「リトリーブ」という言葉です。

  • リテイン…知識を頭の中に蓄積しておくこと

  • リトリーブ…蓄えた知識をいつでも取り出し可能な状態にしておくこと

企業文化やミッションの浸透は、例えば「ミッションを暗記していて空で言える(リテイン)」ことも素晴らしいかもしれませんが、「ミッションを理解した上で体現した行動ができる(リトリーブ)」ができることがさらに大切です。この状態を目指すのであれば、一方的に語りかける研修がいかにリトリーブへのアプローチが難しいのかよく分かるのではないかと思います。

2.学び方の変革のために用いる手法

これらを踏まえて、ヌーラボが注目したのは「反転学習」と「アクティブラーニング」です。

反転学習とは

同期型の研修をフォローするかたちで、オンライン事前学習を取り入れるものです。オンラインで事前知識をインプットしておくことで、研修当日はアウトプット中心のより実践的な学びを得られるようになります。

ブレンディッド・ラーニング~新リモート時代の人材育成学 より

アクティブラーニング

能動的な学習のこと。具体的に研修に取り入れる例として、「グループディスカッション」や「習得した知識を使う練習」「他者への指導」「課題提出」などのアウトプットを伴うスタイルが挙げられる。

ブレンディッド・ラーニング~新リモート時代の人材育成学 の内容を参考に一部改変

この2つを社内の研修に導入するにあたって、ミネルバ大学のマネジメント研修の講師資格を取得し、ファカルティーとしての活動を始めていた代表 橋本のアドバイスや指導にも助けられました。ミネルバ大学は、キャンパスを持たない大学です。全ての授業はオンラインのミネルバ専門システムで進められ、事前学習を元にしたディスカッション中心の授業展開が特徴です。

その元となっている「ミネルバ大学教授法」も大変参考になるので、興味がある方は「学びの16原則」に関する資料も併せてお読みください。

これらの理論を取り入れ、事前学習と集合研修の2段階の学び方を提供することを企画しました。

  1. 事前学習

    • 読み物コンテンツ(全3種)

    • 読み物の内容を補足する動画コンテンツ(全3種)

  2. 集合研修

    • 事前学習で提示した内容を理解している前提で行うディスカッション中心のコンテンツ

    • オンライン作図ツール「Cacoo」を使用したワーク

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3.どのように学び方変革を行ったか

前述の「事前学習」「集合研修」の二段構えの研修を実施するには、3つの準備が必要です。

  1. 事前学習のコンテンツ作成

  2. 集合研修のコンテンツ作成

  3. 集合研修を行うファシリテーターの育成

それぞれの準備について説明します。

①事前学習コンテンツの作成

事前学習をしてもらうために、社内に向けたブログのような読み物を用意することに。

<読み物の構成>
第1章:なぜブランド戦略が必要なのか
第2章:私たちのブランドミッションとは何か
第3章:ブランドを通じてお客様に届けたいものは何か

コンテンツ作成基準は、

  • 今後入社する新入社員にも伝えた方がよいであろうこと

  • 誰かが文章で記録を残さないと伝達が困難になる可能性があること

この辺りを基準に説明を記載しました。

また、文字だけでは伝えきれないニュアンスを補足するために、それぞれの章に対して深掘りするコンテンツを、広報チームが代表に質問する形式のビデオでお届けしました。ビデオで話した内容は追って文字起こしし、英訳したのち、英語字幕バージョンも作成して英語話者の従業員にも対応しています。

動画の一部をキャプチャー。なんだか元気がなさそう笑

かなり労力のかかるコンテンツ作成でしたが、

  • 一度やっておけば、時間を問わず従業員が学習できること

  • 後から入社してきた社員の学習にも役立つこと

考えると、力をいれる理由は十分だったと思います。

②集合研修コンテンツの作成

集合研修では、事前学習でインプットしたことを実際に「使う」活動ができるようワークを設計していきます。設計を落とし込むのは「ファシリテーションノート」です。
これは、各スライドを掲示した際に①ファシリテーター②サポートター(ブレークアウトルームの準備やURLをチャットに貼るような、ファシリテータをサポートする役)が何をすべきか、注意点などをまとめたドキュメントです。

ファシリテーションノートの一部。全てのスライドに対して、このような指示書を作成する

ワークが回を重ねるごとにファシリテーターの気づきや工夫がどんどん書き足されていくので、回を重ねるごとに実施レベルは上がっていきました。知見の塊!

事前準備のチェックポイント。回を重ねるごとに細かい工夫をみんなが書き足してくれていたので、安心して取り組めました

③集合研修を行うファシリテーターの育成

代表の橋本を講師として、1時間×2回のオンライン集合研修を実施しました。この研修は「自らが変革された学びのスタイルを体験しながら、その有効性を実感する」という内容で、本研修と同じく、事前学習必須・ディスカッション中心の集合研修、という設計になっています。
こちらについての詳しい説明は、いつか代表がブログにしてくれると信じて思い切り割愛させていただきます…。

このワークの企画ファシリテーターは、有志で集まった8名の「Brand Strategy Workshop 分科会」のメンバーが担っています。そもそも20周年を記念したイベント全体は有志の実行委員会で準備を進めており、その中で「分科会」という単位で「20年を振り返るコンテンツ」や「ハッカソン」の準備を行っていました。部署も職種も異なるメンバーで構成されたチームでファシリテーションを学習するのは新鮮。今後も社内にファシリテーターを増やしていく予定です。

研修中の様子

4.アクティブラーニングを効果的に行うために

集合研修コンテンツの作成で大切なのは、”場”と”問い”の設計です。
アクティブ(能動的)に参加を促すために、効果的な問いを立てて、思わず参加してしまうワークにする必要があります。また参加しやすい人数でのワーク実施や雰囲気作りも肝です。

設計にあたっていくつかチェックポイントがあります。

ポイント1:人それぞれの個性が出る余地が残る”明確な答えがない問い”を設ける

ワークの中で様々な問いかけを参加者に行います。この問いは、正答してもらうこと狙いではなくインプットした知識のアウトプットが真の狙いです。それぞれの回答に違いが出てきても良いのです。答えにそれぞれのバックグラウンドや趣味が映し出されるような幅のある問いを立てます。

ポイント2:具体的に業務行動に繋げる問いにする

アクティブラーニングを通じた学びは満足感があるのですが、その後の日々の行動に繋げることが重要です。具体的に業務で出てきそうな「サービス説明」や「業務とミッションの接続」という具体的なテーマを置いて、改めて自身の業務と向き合ってもらえるようにしました。

ポイント3:ディスカッションに最適な人数で実施する

今回の集合研修は、どんなに多くても12名(ブレークアウトルームを使って2チーム6名ずつに分かれたときに無理なくディスカッションに参加できる構成)を基本に実施しました。
ヌーラボは現在グローバルで159名(2024年3月末時点)の従業員がおり、そのうちの大半が日本法人に所属しています。日本法人所属の従業員を中心に行ったこのワーク、最低でも10回程度は行う必要があるわけです。今回は今後も見据えてファシリテーターを育成することを決め、人数は抑えることを優先しました。

またちょっとした場づくりのTIPSとして「アイスブレイク」があります。個人的にはここにかなり思い入れがあります。
具体的には開始5分以内に、1問目の導入となる問いかけを投げかけ、何かしら手を動かすなり、答えを出す等の行動を1つクリアしてもらうように仕立てます。これはファシリテータならではの、一方的に話すことによる”心細さ”の解消にも繋がり、リラックスできます(笑)

実際に開始直後に行うワーク。自分のアイコンを操作して回答してもらいます

これらのポイントを踏まえて、実際にヌーラボがブランド戦略を設計するために立てた問いの例です。

  • ペルソナの人物像を具体的に実在する人物に例えると誰でしょうか?

  • ブランド戦略で大切にしたい〇〇が伝わるように、ヌーラボのサービスを友人に提案する文章を作成してみましょう

  • あなたがヌーラボで行う業務を通じて、ブランド戦略に寄与できることはなんでしょうか

※伝わりやすさ重視で、一部表現を改変しています。

最後に

だらだらまとめてしまいましたが、これらが2024年3月に20周年を迎えるにあたって実施した取り組みです。
結果的にワークが皆さんの理解を助ける役割を果たせたようだったのでよかったです。

Before
After

最近は社内でもワークショップ企画の活動もしているので、また報告できたらと思います!

proposal出してます!応援よろしくお願いします!

Special Thanks

この企画はAngela一人で行ったものではありません。このワークショップの企画に参加してくれたBrand Strategy Workshop 分科会メンバーの皆さん、本当にありがとうございました!


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