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「全部丸ごと自分だと発信できる場所に」:PORTOスタッフ、しおりさんのこれから(後編)

前編では裏方を担当しているしおりさんに、携わっている仕事の内容やPORTOに関わるきっかけになった出産後の経験をお聞きしました。今回はしおりさんが実際にPORTOに関わり始めた頃から、現在、そしてこれからPORTOで挑戦したいことについて話してもらいました。

親として、地域に関わりたい

ー保育園の助けを得ることで双子育児はだいぶ楽になったそうですが、平日フルタイムで仕事をしていると、地域とのつながりはなかなか持てないですよね。保育園の親同士も、皆忙しいので顔見知りにはなっても挨拶だけで終わることがほとんどですし。

そうなんですよね。せっかく縁があって神戸の地に住んでいるのに、リモートワークで東京の同僚やお客様とだけ仕事をして、地域の誰とも繋がらずにただ暮らしていくだけだろうか?と考えるようになりました。子どもがいない時はそれでも別にいいかなと思っていたのですが、子どもを育てるようになると何だか「仕事をする自分」と「親としての自分」が切り離されている感覚に違和感をおぼえるようになって。何か自分にできることで、地域とつながりたい、これから子どもが育つ地域のために何かしてみたい、と考えるようになりました。

その頃、たまたま現PORTO代表のなおちゃんと知り合い、PORTOの構想を聞いたり、自分自身の問題意識について話す中で、何か一緒にできるかもしれない、という話になり、はじめはプロボノとしてお手伝いさせていただくことになりました。PORTOの立ち上げ前、まだ「PORTO」という名前もなかった頃から、「どんなコンセプトの場所にしようか」「どんなスタッフさんが何人くらい必要か」「どのくらいの料金設定がいいか」など、代表のなおちゃんの相談を受ける形で、いろいろな検討を行いました。

PORTOのコンセプトに共感して「手伝いたい!」となったのは、PORTOが、双子を抱えて辛かったあの頃の自分が欲しかった場所であり、これからの自分がほしい場所だなと思ったからです。双子を連れて、どこにも入れずにひたすら近所を歩いていたあの頃にPORTOがあったら、きっと常連になっていたと思います(笑)

内装の図面を見ながら、これまでになかった新しい場所ができるとワクワクしました

もっとごちゃまぜの場をつくる

ー今後PORTOでやってみたいことなどはありますか?
もう少しビジネスの力をつけたいと思い、いま社会人大学院(MBA)に通っているのですが、これまで2回ほど、大学院の仲間たちとPORTO Table&Barを貸切利用して懇親会を開催しました。PORTOでの開催ということで子連れ歓迎なので、私も含め何組かは子どもやパートナーを連れての参加で、大人が仕事の話をしている横で子どもたちが楽しそうにパズルしていたり、時々は大人の膝に乗って話を聞いていたり(?)、普段子どもと関わることが少ない人が子どもに話しかけたりしていて、「こういうごちゃまぜをもっとやりたい!」と思いました。

PORTO Table&Barを貸し切って、大学院の仲間と懇親会

大学院ではビジネスを学んでいるので、経営や起業に興味のある同級生が多いのですが、同質性の高い集団が会議室にこもってビジネスを考えていても良いものは生まれないような気がして。そういう人たちの集まりに子どもたちというスパイスが混ざるのがおもしろいなとみていました。本来の社会ってもっとごちゃまぜだから、たとえば子どもの持つ無邪気さや柔らかい発想に接することで生まれるものもたくさんあるんじゃないかなと感じています。

もともとPORTO Table&Barが目指しているものとも通じますが、社会人×子ども、大学生×親、シニア×子ども、子どもを持つ人×持たない人など、いろんな属性・ライフスタイルの人が混ざり合う場をPORTOでもっとつくりたいし、自分もぜひ参加したいです。そうやって様々な人の生き方・考え方を知ることが、大げさかもしれませんが、もっと他者に寛容な社会につながっていくのではとも思っています。

ーごちゃまぜ、PORTOスタッフの多くがキーワードであげてますね。私もそれがPORTOの価値であるとも感じています。

親の顔も仕事の顔も全部自分

双子の子どもたちにとっても、自分の親以外の大人を知らないというのは不安だなと感じていました。子どもたちの可能性は無限大であるはずなのに、もしかしたら自分たちが可能性の芽をつぶしてしまっていることがあるかもしれないと考えたときに、自分以外の大人に多く出会うことが可能性を広げることにもなるのではとも感じています。

また、育児を始めたころ、社会人として働いている自分と母親の自分が別の存在として分断されているように感じていたんですが、PORTOという場所を通じて、全部丸ごと自分だと表現できていることが嬉しかったんです。

東京で働く同僚が家族旅行ついでに子連れでPORTOに遊びに来てくれて、子どもたちを遊ばせながらゆっくり話せたり、子どもの保育園で出会ったママが、私がPORTOで企画したおやこジャズコンサートやInternational Nightに来てくれたり、PORTOのスタッフと、大学院の仲間が繋がっていったり。別々のコミュニティに所属していると思っていた自分の周りの人々が、PORTOを拠点にぐるっとつながり始めたことで、自分の問題意識が少しずつ解消されている気がして嬉しく感じています。

月に1回開催しているInternational Nightでは、出身国も仕事も年代も多様なひとが集まって
英語/日本語で楽しくおしゃべりをしています

他に仕事を持っているためPORTOで過ごせる時間は多くないのですが、PORTOを通じて私の世界も、子どもたちの世界も大きく広がったなと感じていますし、利用者の皆さんにとってもそういう場であったらいいなと願っています。


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《編集後記》
双子の子育てと複業、加えて大学院進学。これだけ並べるといわゆるバリキャリのすごい人と見えそうなところを穏やかな雰囲気で丁寧に話す、しおりさん。飄々と乗りこなしているように見えて、たくさんの努力があったのだろうなと感じ、自分ももっと頑張らなきゃなとちょっと背筋が伸びるような気持ちにもなりました。
PORTOを通して、しおりさんの周りがぐるっとつながることが出来ているのは私も嬉しく感じました。PORTOにも、様々なつながりのお友達で来て頂いたり、おじいちゃん、おばあちゃんなどのご家族で訪れてくれたり、幅広い使い方をして頂きながら、大人も子どもも世界を広げていける場所でありたいと再認識するインタビューとなりました。(聞き手:みほ)