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『魔弾』のある風景

鉛玉が放たれた。
それは地を這う鳥にすら殆ど当たらなかった。
そのため射手たちは『魔弾』を望んだ。
そうして『弾丸』は創られた。

弾丸が放たれた。
それはオーストリアの王子様を撃ち抜いた。
それは何かの意思表示だった。
それは同時に侵略の口実となった。

弾丸が放たれた。
それも数多くの銃口から放たれた。
それは銃口を指揮する者の情熱だった。
その情熱は握り締められた何かを量産した。

弾丸が放たれた。
それは射手のエゴを撃ち抜いた。
射手は神になりたかった。
ドイツ帝国はその代わりになり得なかった。

弾丸が放たれた。
それはどこかの国の大統領の頭を撃ち抜いた。
弾丸は射手の心臓そのものだった。
その心臓は2日後に撃ち抜かれた。

弾丸が放たれた。
それはある女の頭を撃ち抜いた。
引き金をひいたのは歪んだ痴情だった。
その射撃は広く知られることとなった。

弾丸が放たれた。
それは空を飛ぶミサイルを撃ち抜いた。
その射撃には思念が介在していなかった。
引き金をひいたのはデジタルな識別だった。

『魔弾』が放たれた。
それは何も撃ち抜かなかった。
正確には何体もの死体を創り上げたが、
その射撃には何の意味もなかった。
悪魔が与えた弾丸など、この世には無かった。
地が与えた弾丸だけがあった。

1発の弾丸が放たれた。
それは走る鹿の頭を撃ち抜いた。
『魔弾』はそうして完成した。

おしまい。
ジビエって美味しいですよね
今日もハートフルな1日を❣️

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