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【Human編】ポエムフォリオ

『ヒト』にまつわるポエムをまとめてみたよ❗️

10歳の終活

『い書』を書いて、学習机の引き出しにしまった。 もう『ひなたくん』には心がときめがなくなったけど、 さいごのお別れを言ってきた。もちろん、それと気付かれないように。 わたしは10年前にこの世界に生まれ落ちてきたらしいけれど、『わたし』はわたしの知らないところで『始まった』らしいけれど、わたしはわたしの思いとは関わりなくわたしを『続けていかなくちゃいけない』。 どこまでもどこまでも『続けていかなくちゃいけない』 なんのために?いつまでも?えいえんに? 学術机の引き出しの

幻日 Time

日盛りの草原のただなかで、 1つのミームが形成された。 そのミームは、若く孤独だった。 『救い』という幻日の代わりに、仲間を求めた。 ミームは、 コトバを持たなかった。 ロジックを持たなかった。 レトリックを凝らした音楽だけを持っていた。 その音楽は新たな仲間に『救い』を与えた。 彼らにとって、それは真実めいていた。 結局のところ、彼らが本当に望んでいたことは、 『救い』ではなく、どんな意味的解釈も受け付けない『原罪』を歌いあげることだけだった。 おしまい。 今日

乗り過ごしTime

どこかへの旅行の帰り道、朝方、 バスに乗って、四国のどこかに帰っていった。 それは少し狭いマイクロバスだった。 四国の奥地に入るごとに、 乗客はまた1人減っていった。 気がつけば、そのマイクロバスに乗っていたのは 女の子と老人と、僕だけになっていた。 僕の家の前に着いたが、 隣の街の運動公園でテニスをしたかったので、 そのままバスに乗っていることにした。 眠った。長いあいだ眠った。 気がつけば当たりは夜の闇に包まれ始めていた。 女の子は何処かの通りの奥にある 彼女の

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『魔弾』のある風景

鉛玉が放たれた。 それは地を這う鳥にすら殆ど当たらなかった。 そのため射手たちは『魔弾』を望んだ。 そうして『弾丸』は創られた。 弾丸が放たれた。 それはオーストリアの王子様を撃ち抜いた。 それは何かの意思表示だった。 それは同時に侵略の口実となった。 弾丸が放たれた。 それも数多くの銃口から放たれた。 それは銃口を指揮する者の情熱だった。 その情熱は握り締められた何かを量産した。 弾丸が放たれた。 それは射手のエゴを撃ち抜いた。 射手は神になりたかった。 ドイツ帝国は

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【生き死に編】ポエムフォリオ

『生き死に』にまつわるポエムをまとめてみたよ❗️

10歳の終活

『い書』を書いて、学習机の引き出しにしまった。 もう『ひなたくん』には心がときめがなくなったけど、 さいごのお別れを言ってきた。もちろん、それと気付かれないように。 わたしは10年前にこの世界に生まれ落ちてきたらしいけれど、『わたし』はわたしの知らないところで『始まった』らしいけれど、わたしはわたしの思いとは関わりなくわたしを『続けていかなくちゃいけない』。 どこまでもどこまでも『続けていかなくちゃいけない』 なんのために?いつまでも?えいえんに? 学術机の引き出しの

あの世の裏口

あの花が枯れたのは 蜂が蜜を採取しにきたせいで、 それは、 与えられた緩やかで機械的な自殺だった。 あの花が枯れたのは 太古、ある花が枯れ落ちたせいで、 それは 汚れた美しさの繰り返しだった。 あの花が枯れたのは そこに植えられたせいで それは 女の庭が見劣りし始めるキッカケだった。 あの花が枯れたのは そこに種を落とすためで それは 永遠という幻想の希求だった。 おしまい。 最近、平家物語の頃のお話がいくつかテレビで流れてるけれど、あの時代の動乱のお話はとても残酷

クロコダイルを狩りに行こう❗️

かつて、その少年は石油王の娘だった。 裸の召使いに対して、庭のクロコダイルを 狩るように命じるのが日課だった。 かつて彼女の庭には 6ダースほどのクロコダイルが居たが、 今は一頭もいない。 石油が売れなくなって、 ワニが共食いを始めたからだ。 新しい召使いが充てがわれなくなった彼女は 少年のアバター『Steve』を産み出した。 アバターに埋め込まれた彼女の意識は アメリカ在住の中流階級の5歳児に 決して血を流すことのないクロコダイルを ダイヤのツルハシで延々と狩らせ

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アラヒトガミの強欲

コインランドリーにあるドラム式洗濯機の中で 女の衣服が乾いていく シンプルなデザインのネグリジェが 濃厚なタバコの匂いをとどめながら 春の草原のような手触りを取り戻している イタリア製のまだ新しいパンティが ベッドの上のまどろみの様な赤色から 締められた子ヒツジから流れる赤色へ 変わりつつある 着古したココ・シャネルのワンピースから 無数の毛玉ができていく もうじき華美な服として破綻するのだろう そんな、 薄手のネグリジェやセクシーなパンティや 流行遅れのワンピースの

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【無機質編】ポエムフォリオ

『無機質』なポエムをまとめてみたよ❗️

あの世の裏口

あの花が枯れたのは 蜂が蜜を採取しにきたせいで、 それは、 与えられた緩やかで機械的な自殺だった。 あの花が枯れたのは 太古、ある花が枯れ落ちたせいで、 それは 汚れた美しさの繰り返しだった。 あの花が枯れたのは そこに植えられたせいで それは 女の庭が見劣りし始めるキッカケだった。 あの花が枯れたのは そこに種を落とすためで それは 永遠という幻想の希求だった。 おしまい。 最近、平家物語の頃のお話がいくつかテレビで流れてるけれど、あの時代の動乱のお話はとても残酷

クロコダイルを狩りに行こう❗️

かつて、その少年は石油王の娘だった。 裸の召使いに対して、庭のクロコダイルを 狩るように命じるのが日課だった。 かつて彼女の庭には 6ダースほどのクロコダイルが居たが、 今は一頭もいない。 石油が売れなくなって、 ワニが共食いを始めたからだ。 新しい召使いが充てがわれなくなった彼女は 少年のアバター『Steve』を産み出した。 アバターに埋め込まれた彼女の意識は アメリカ在住の中流階級の5歳児に 決して血を流すことのないクロコダイルを ダイヤのツルハシで延々と狩らせ

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埋没する卵のこと

生成される、収穫される、食される。 生成される、収穫される、食される。 生成される、収穫される、食される。 数多くの"それ"は 月の光を見ることもなく、 朝に歌うこともなく、 血を一滴も巡らすことなく、 埋没する。 血を巡らせた“それ”は 有象無象の形を為して、 有象無象の声をあげながら、 “それ”を生成しようとする。 “それ”は球体。 おしまい。 卵焼きを焼くのって、むずかしいよね笑 今日も、きいろい1日を‼️🍳

キャベツの誕生

朝霧が生まれる 土の中から 雨の中から 夜の青から 私の影から 朝霧は歌う 風のために 雲のために 春のために 咎のために 私の咎は、 もはや、 朝霧の歌を聴いていたくはない その歌から少しでも遠ざかるために 私の影が 1枚、また1枚と、 私の咎を覆う それを覆ったって、 私がその歌から遠ざかるわけではないのだけれど おしまい。 最近、キャベツがおいしくなってきましたね❣️ 今日も不可避な1日を❗️

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【恋愛編】ポエムフォリオ

『恋愛』にまつわるポエムをまとめてみたよ❣️

カグヤヒメの憂鬱

私なんていないわ。 竹からヒトが、 生まれてくるわけがないじゃない。 私なんているわけがないのだけれど、 私に言い寄ってくるオトコどもには、 無理難題を言ってやったわ。 どこぞの器はニセモノで、 ナニかの皮は燃えてしまって、 金銀で作らせた枝でダレかが破産して、 あとの2人は恋煩いでカラダを病んでしまったわ。 美しいオンナというだけで、 見たこともないオンナというだけで、 翁の妄言の中で生まれたオンナというだけで、 私というオンナが一人歩きしている。 バッカみたい。

Biological Switch

スイッチがある。 そのスイッチは 甘いものを食べさせることで、 香水をかけることで、 口説くことで、 触れることで、 その前で裸になることで、 ONになる。 スイッチは推論できない、 自身がONになった原因を。 スイッチはその主に問いかけない、 自身が本当にONであるのかを。 おしまい。 ほろ酔い気分で書いちゃったけど、心地いいね👍 今日もエッチな1日を❣️

魔女の愛した鬼

美しい魔女がいた。 彼女は自身の魔法で数多くの男を骨抜きにした後、 平凡だが裕福な男と恋に落ちた。 男は魔女との間に1人の息子をもうけた後、 長く昏睡してしまうことになる。 魔女は自身の魔法で男を目覚めさせようとしたが、 それは叶わなかった。 多くの魔法がそうであるように、 彼女の魔法もまた万能ではない。 魔女は王国中の医者の元を駆けずり回り、 ついに男の肉体は目覚めた。 しかし、その肉体は意地汚い鬼だった。 ある魔王が、鬼に魔法をかけて男にしていたのだった。

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チュッパチャプスを溶かしながら

私は、A君の口にチュッパチャプスを突っ込んだ。 A君は私があげたのを溶かしながら、 ネットサーフィンをしている。 A君はchill out系のbgmをヘッドホンで流しながら、 せわしなくキーボードを叩いている。 私は、それでいいと思った A君に私のことが知覚されなくても。 それからA君は、 舐めきったチュッパチャプスの棒を テーブルの上に吐き捨てた。 おしまい。 たまに街中でポケモンGOをやってる人を見ると、 ヒトの神経がスマホと完全に繋がっちゃってるような錯覚を覚

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