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アイスクリームが溶けるまでの立ち話



「立ち話もなんですから、お茶でも。」


なんてことが難しいここ最近。

近々ご飯行こうよーというやり取り抜きに頻繁に連絡を取る人なんて、相当限られる。片手で足りるというより、ピースで足りちゃう。うーん、やっぱりスリーピースかも。


この間の日曜日。
母とホームセンターに行ったついでに、店内に併設されているアイスクリーム屋さんでおやつを買うことにした。

私は甥っ犬を抱っこしておく係だったので、外で待機。結構並んでいるみたいで、だんだん腕の筋トレになってきたぞーと待ち侘びていると、聞き覚えのある声で名前を呼ばれた。

振り返ると、そこには小・中学校の同級生、ゆみちゃんが!

「わー!久しぶりー!!」

「元気ー?」

「元気ー!元気だったー?」


もうそこからは、2年間会っていなかったブランクを感じさせないテンポで、会話は弾んでいった。

中学校の頃の思い出は、ゆみちゃんばかり。といっても過言ではない。


私たちは、まるで正反対なタイプだった。



好きなことも、服の趣味も、聴く音楽も、全然違う。当時の私は勉強が割と好きで、ゆみちゃんはそうじゃなくて。私は同学年の人としか接点がないけど、ゆみちゃんは先輩や後輩とも仲良くしてて。

それでも、お互いがお互いに影響されることなく、あくまで自分の趣味や考えを貫き通していた。にも関わらず、何故だか仲が良かった。仲良くなったきっかけも、正直思い出せない。


「友達の友達は友達」なんてよく言うけれど、私はゆみちゃんの友達とは友達になれなかったし、ゆみちゃんも私の友達と話が合うわけではなかった。「なんで君たち友達なの?」と思われていることもあったくらい。

そんなゆみちゃんとも高校で離れ離れになり、会う頻度も少なくなっていった。それでも高校を卒業したら、何かをきっかけにまた会う頻度が増えたり。

誕生日おめでとうの連絡はお互いしていたけれど、この日は久しぶりの再会だった。


「ねぇ、最近休みの日何してるー?」

「逆に聞くけど、何したらいいと思う?」

「んー、韓国ドラマを見るとかは?」

「それは見てる。めっちゃ見てる。」

なんと!!
実は私も約2ヶ月に及ぶ隔離期間を活用して、韓国ドラマを8本くらい見たことがある。オーストラリアで仲の良かった友人が韓国の音楽ばかりを聴いていて、一緒にいる内に私もまんまと韓国エンタメにハマってしまった。

ストーリーがしっかりしている分、本当に長いので最近は見ていないけれど、見応えのあったあのドラマについて、誰かと話したかった。

職場にはひとりも韓国ドラマを見る人がいなくて、誰とも話が出来なくて。私はずっと、韓国ドラマあるある言いたい状態だったのだ。
(此処に書こうかと思ったこともある程)

でも、ゆみちゃんと言えるじゃんか、韓国ドラマあるある!言いたい!共有したい!


そう。ゆみちゃんと私は、こういうところがあるんだと思う。言葉では上手く説明できないけれど、ミラクルと呼ぶには大袈裟な「ちいさな偶然」がちょこちょこ起きて、引き寄せられる。学生の頃からこんな感じ。

「偶然は必然だ」なんて、そんなキラッとした言葉すら似合わないような、偶然。


例えばクラスで「今日の朝ごはん、ご飯を食べた?パンを食べた?」というアンケートを取ったら、ゆみちゃんと私だけがパンを食べていたりするような。

決して珍しくはない選択肢なのに、その時の私たちの周りでは、それが私たちふたりだけ。
好きなものが一緒という共通点ではなくて、考え方が似てるとかではなくて、そんなちいさな偶然で、いつも繋がる。

友達に種類があるのもおかしいかもしれないけれど、ゆみちゃんと私は、そういう友達。


韓国ドラマの話で盛り上がっていると、アイスクリームを両手にした母がやって来た。学生の頃はよくお互いの家に遊びに行っていたので、私の母も会話に加わる。

梅雨の晴れ間、気温は30℃目前。
アイスクリームが溶けてしまう。

本当は、アイスクリームが飲み物になってしまっても話していたいくらいだったけれど。
店先に立ち続けるわけにはいかないので、それが溶けちゃう前にバイバイ。もうちょっと溶けてたけど。
韓国ドラマあるあるは、また今度ね。もうちょっとの間、言いたいの我慢する。


でも、何て言えばいいのかな。

たとえ、ほんの数分でも、立ち話でも、
ドライブじゃなくても、お酒がなくても、パフェがなくても、


なんだか凄く、楽しかった。


いつも連絡を取るわけでもない
頻繁に会うわけでもない

凄く久しぶりに会うのに、
まるで昨日も会っていたかのように自然な。

そんな空気が、流れていた。


これはきっと、友達あるある?




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