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【製品版クリア後感想】BARステラアビス~飲みニケーションで強くなるゲーム~

体験版でも記事を書いた「BARステラアビス」。製品版も遊んだらやっぱり面白かったので記事にしました。
 ※メインストーリーの重大なネタバレは含みません。
 ※キャラクターとのエピソードのネタバレは含みます。
 ※後から内容を追記・修正することがあります。

○体験版での感想



○「BARステラアビス」って何?

体験版記事でも触れましたが改めて。
BARステラアビスはプレイする度にダンジョンが変わる「ローグライク要素」と、マップ上のユニットを動かして戦闘を行う「SRPG要素」を掛け合わせたゲームです。

またゲームを有利に進めるためにバーの常連達とお酒を飲みながら交流する飲みニケーションが重要という本作独自の特徴があります。

都会の片隅の隠れ家的なバー「ステラアビス」に訪れた主人公はマスターに勧められるまま飲んだカクテルで酔って眠ったことをきっかけに、酒に酔った人間の見る夢「ヨイの世界」へと囚われてしまう……というのが本作の概要。



○やっぱり雰囲気が良い

体験版の時点でも書きましたが、やっぱり「お酒」と「星」をモチーフにした、全体的に品のあるお洒落な雰囲気がやはり良いですね……。

タイトル画面はバー「ステラアビス」の外観、セーブスロットはボトルキープ、各種画面も夜空のような背景だったりネオン調のデザインだったりと相変わらずお洒落。拠点となるバー「ステラアビス」の内装も素敵ですしね。
登場するカクテルもお洒落で美味しそう。

まあ雰囲気の良さは体験版の時点で十分に味わえるので、今回はこのぐらいにしておきます。



○バリエーション豊富なBGMが魅力的


公式チャンネルで一部聞くことも出来ますが、「高須和也」氏や「ZIZZ STUDIO」メンバーなどによるBGMの数々が本当に良かったですね……。

バー「ステラアビス」で流れている上品でお洒落な曲から常夏を思わせるようなノリの良い曲、不吉で不気味な雰囲気の曲……と種類も様々。探索中はBGMが数階進むごとに変わるので変化も楽しめますし、進んでいるという実感も出やすくなってると思います。
なお探索中のBGMは戦闘に入るとより盛り上がるバージョンにシームレスに切り替わります。音や楽器が増えて豪華になる感じ、良かったな……。

一度聞いた曲はバーのカウンターで聞くことが出来るのも有難かったですね。探索中BGMは戦闘時のものと切り替えながら聞くことも可能なのでついついAボタン押しちゃう。

探索時に流れる曲は「切り替え」ボタンを押せばバージョンがシームレスに切り替わる。好きなタイミングで切り替えてみよう

本当に良い曲ばっかりで選べませんが、どれか一つここで出すなら「Traitor」ですかね。ああいう綺麗でお洒落だけどかっこよく盛り上がる曲好きなので……。



○「比較的」手軽なローグライクとSRPG


製品版を遊んでみてもローグライク部分とSRPG部分は比較的手軽かなと思いますね。

体験版の記事でも触れていましたが、遊び続けていると階段に一度でも触れておけばいつでもワンボタンで次フロアに進めるようになる機能の安心感が凄い。ぎりぎりまでレベル上げを粘るのに本当にお世話になりました。

体験版記事でも紹介したこの機能。これがあるだけで難易度が随分優しくなる

探索中にローグライクあるある「狭い通路で大量の敵に挟まれる」が起こりにくい作りになっているうえ、戦闘になっても逃げることが可能なので優しめだと思います。

フロア移動時にどのフロアに移動するか選択できるようになってるのも結構大きいかも。その時の状況に合わせたものをチョイスできるうえ、使いたい施設が選んだフロアにあると確実に分かりますし。探索周回のモチベーションも下がりにくくしてくれてますね。

たくさん分岐しやすいステージもあれば、分岐しにくいステージもある。先のフロアも見渡しながら進む先を選んでいきたい


SPRG部分も体験版で感じた通り一戦一戦は比較的軽く、さっくり遊べました。ゲームを進めるほど敵の行動や配置、地形が厄介になったりしますがある程度対策可能なレベル。装備で耐性つけたり後述する飲みニケーションで色々効果つけられますからね。

ダメージを受けてしまう地形が面倒な配置にされていることも。それでも装備やカクテル効果があれば無傷で居座れる

個人的に本作のSRPG部分でかなり特徴的だと思ったのが攻撃など特定の行動をしない限り、そのターンで動ける範囲内なら何度でも移動しなおせるところですね。これかなり勝手が効く。

体験版記事でも書きましたが一例として、

①ターン開始時のキャラAの場所が良くないので一旦移動させる
②キャラAがターン開始時に居た場所へキャラBを移動させる
③キャラAをもう一度別の場所へ移動させてから攻撃などを行わせる

という動きが同じターン内で可能。
他にも「キャラAをキャラBの攻撃に連携できる位置に移動し、連携攻撃後にまた別の場所に移動して攻撃」という操作もできます。これのお陰でSRPG部分が結構軽くなっていると思う。

あ、あと基本的に攻撃や悪い効果は敵だけ、回復や良い効果は味方だけにしか効かないところも優しいかなと思いました。
 ※感電によるダメージやノックバックは敵味方両方に影響します。

セット内に回復スキルと攻撃スキルが含まれている状態で敵を攻撃してみると…
回復スキルは発動せずに、攻撃スキルだけが発動される

また本作の強化要素である星座の力「ステラ」もなかなかのもので、広範囲の敵を狙える範囲ステラやかなり複数の敵を巻き込める範囲ステラに高火力のスキルステラをセットするといったことが可能なくらい自由なので、やたら便利で強力な組み合わせが作りやすくなっています。しかもこれがどのキャラでも可能。もちろん該当するステラを取得していなければなりませんし、キャラとの相性もありますけどね。
それでも諸々の条件が合えばターン開始直後にザコ敵を即撃破する戦法が可能だったりします。

遠距離攻撃を得意とする射手座の範囲ステラは本当に広範囲。これだけ広ければちょっとぐらい遠くても敵が倒せる

ドロップするステラはランダムですがカクテルの効果である程度は調整できますし、任意の星座のステラを獲得できるアイテムを道中で拾えたりもします。まあレアな代物ですけど。

任意の正座のステラをつけることのできる「宝石」。なかなか珍しい分かなり便利

とはいえ上記の要素を含めてもボス戦は手応えがあるので油断禁物……といった感じでした。ザコ戦とは受けるダメージの桁が違うこともあるので。ザコ敵が簡単に倒せるレベルだとしても気を抜かず、どれだけボス戦に備えられるかが大事と感じるバランス。

上記のようにローグライク部分もSRPG部分も手軽めですが一切考え無しにやってもクリア出来るというわけではなかったです。あくまで「比較的」手軽なので……。

ちなみにストーリークリア後は相当難易度の上がった追加ステージが登場します。油断が即死に繋がるし階数も恐ろしいほど増える。



○程よく悩める取捨選択「ステラ」

さらっと上述してましたが、星座の力「ステラ」は本作の強化要素。攻撃範囲に影響する「範囲ステラ」スキルとして使用できる「スキルステラ」に分かれています。

ステラをセット出来る枠は限られていること、スキルは上から順番に自動で発動することからどのステラをつけるか?またどこにセットするか?といったことを考える必要が出てきます。
ステラ自体も連携に特化していたり、強力ながらも重いデメリットがあったり、とにかく遠距離攻撃に特化したり……と星座ごとに方向性があるうえ同じ星座でセットしていくほど効果が増す「星印」もあるのでカスタムのしがいはなかなかのもの。

「星印」も星座によって効果は色々。いずれかの星座で固めるか、もしくは複数の星座を組み合わせるかは悩みどころ

仲間キャラクターはキズナを深めていくことで探索開始時点でも特定の星座のステラを持つようになるのですが、このおかげで探索途中からパーティー入りさせても比較的戦力として扱いやすくて良かったですね。それから獲得したステラで長所を伸ばすか、はたまた別の役割をつけるか……と悩むのも楽しい。

元々タンク向けのステラを持つジンガ、さらに蟹座の「甲殻セーフティ」をつけることで長所を伸ばせそうだ

あとこれはキャラ解釈的な話になりますが、各キャラクターが所持するステラを見ながら「このスキルってもしかしてキャラの○○な部分なのかな?」と解釈するのも結構面白いです。良い感じにそういうことが出来るさじ加減だなって。



○飲めば飲むほど強くなる。独特の緊張感が楽しい飲みニケーション

バー「ステラアビス」では、仲間達と相席してお酒を交えた語らいを楽しめます。
キャラクター達の話に対して肯定する、喜ぶなどの相槌を行って会話が盛りあげることでキャラクター達との仲を深めつつ、会話中に注文したカクテルを呑むことで探索に有利な効果を得られるのが特徴。

本作では約300種類もの実在するカクテルが登場するのですが、その効果は実に様々。効果だけではなく各能力値の成長率も変わってくるので探索時の自分の好みに合わせて飲むのがオススメですが、純粋に好きなお酒を飲んだり、相席相手がよく飲んでいるのと同じものを飲んでみたり……という遊びもするのもアリ。

カクテルは1回呑むだけでも適用され多く呑むほど効果がある「累積タイプ」、呑みきることで適用されそれ以上は効果が上がらない「完飲タイプ」に分かれていますが、どちらのタイプでも3回酒を呑むリアクションをすれば呑みきれます。
ただし1回呑む度に酔いが回ってくるので適度な会話で醒ましながら、カクテルを呑めるタイミングを見計らう必要があります。この独特の緊張感あるプレイングは製品版でも面白かったですね。

酔ってくるほど視界がぼんやり……。画面の様子も参考にして慎重に飲もう
画面上部のゲージは会話の長さの参考になる。会話が短いほど飲めるタイミングがシビアになってくるので油断ならない


なお会話をしたくない時はカウンター席に座って一人で呑むことで確実に効果をつけられます。その代わり相席した時よりも呑める数は少なくなってしまいますが。

またその時点で可能な会話が出揃っているキャラクターの場合は好きな話題を選ぶことが可能であり、クリアした話題なら会話自体をスキップ出来るのでこれを利用してさっと効果をつけるのも一つの手。

ちなみに相席時の会話はゲームクリア後に全て見返すことが可能になります。
カクテル効果とか全く気にしないで会話を見たい!などといった時にも便利。既に聞いた会話なのかそうでないのかがぱっと見分かりにくいのは難点ですが…。



○【ネタバレ】お酒の席で繰り広げられる「本気」の付き合い、見えてくるキャラクターの「人生」


仲間達との会話が続けられるかどうかは画面下の「印象値」で決まります。
基本的には印象値を高くすることで会話が続きますが、時には印象値を低くすることで続くこともあります。

これがシステムとしてもゲーム体験としても良かった。

人当たりが良さそうな第一印象とは裏腹に実は攻撃的な面があるレオナ。絆を深めるためには彼女の「正義」を否定しなければならないことも

バー「ステラアビス」で交流できる常連達は様々な「問題」を抱えています。
彼らに共感を示すなどして親交を深めることで徐々にその「問題」が見えてくるのですが、それを解決するのに必要なのが当たり障りのない上辺だけの関り合いではなくあえて否定したり、踏み込んだり、突き放したり、ぶつかり合ったりするような「本気」の付き合いなんです。この一連の流れが非常に丁寧に作られていたと思います。声優陣の熱演ぶりも良かったですねぇ……。

踏み込んだ付き合いをすることで、隠されていた「本音」が初めて見えてくることも

また「本気」の付き合いをした彼らがその後「問題」とどうやって向き合っているのかについても酒の席で聞くことが出来ます。このあたりもしっかり描写されているのが好印象でした。

家族との向き合い方を見つめ直しているキルカ。前向きになれているところを見ると安心できる
未だ苦しい状況なマイアだが、少しずつ前へ進もうとしている姿を見ることができる

各キャラクターのエピソードも基本的に今日もどこかでありそうな現実味にあふれているため、より共感や親しみを持てそうな仕上がりになっているのも大変良かったです。酒の席に「人生」が詰まってる……。

ちなみに複数のキャラクターと絆を深めていくとさらに一人加わった状態で相席することも出来ます。この際の人選もキャラクターごとの"要素"を上手いこと合わせたチョイスになっていて凄く好きでした。

大人の男に憧れるジンガは「大人の男」カジの変化が気になる様子。彼を変えたのはもちろん……
キルカとバランという珍しい組み合わせ。一体どんな会話をするのだろうかとつい気になる

ちなみにキャラクター同士の会話の場合、探索中にパーティー入りしたキャラ同士の会話ならカウンターで聞くこともできます。これを見るのも楽しい。

大学生の若者レオナが、人生の先輩であるサオトメに相談。サオトメはどう答えるのだろうか

ほんと、どのキャラクターのエピソードも良かったです。

……良かったんですけど、その分一部「重複感」を感じるところがあったのは惜しかったと思います。

「明るくふるまっているものの実は心の病を抱えており、主人公との交流で病と向き合えるようになって治療に前向きになる」というキャラが常連客8人のうち2人いるのは流石に悪い意味で気になる。該当するキャラクター達は別のところでしっかり差別化されておりそれぞれ違う魅力もあるのですが、エピソードの概要と言える部分がほぼ一緒なのはゲーム的にいかがなものかと。

他にも「迷惑をかけてしまった相手を探して謝りにいく」など言動が被っているキャラもいてやっぱり気になってしまいます。何度も言いたいのですが個々のエピソードそのものは凄く良い。だからこそ余計気になってしまう……!



○動きや差分の豊富さと見ごたえ

キャラクター達は探索時は3D、バー「ステラアビス」では2Dのイラストとなっていますが個人的には特に後者の見ごたえがかなりあったと思います。

主人公は基本的に喋らないので各種相づちはボディランゲージとなっており良く動きます。酒を勧める際のグラスを振る仕草がお気に入り。場面によっては各種相槌以外のモーションも見せてくれることも。

また仲間達も飲むシーンが良く動くので見てて楽しいんですよね。楽しいとか言える状態じゃないまま飲み始める時もありますが……。


合同会社イクシールさんは良い仕事をしてくれましたね……




○やや不便な一部仕様

全体的に良い感じに楽しめたんですが、もっとこうだったらいいのにな~という部分もぼちぼちありました。

・仲間の装備の付け替えが面倒

探索中にパーティー入りしているキャラクターしか装備の付け替えが出来ないという仕様がちょっと面倒でした。
このキャラクターにつけたい装備あるけど、あの装備つけてるキャラ今パーティーにいないんだよな……になるとまあまあ歯がゆい。せめてその日バーに来ているキャラとの装備の付け替えは出来ても良かったのでは。


・保管箱内アイテムの不要なアイテムの処理が面倒

本作では持ちきれないアイテムを「保管箱」にしまえるのですが、保管箱で行えるのは基本的に「出す」か「しまう」かぐらいなので保管箱であまりすぎたアイテムは一旦手持ちに入れてからでないと捨てられません。地味に面倒。ついアイテムを溜め込んでしまうタイプなのでこの手間が気になってしまう。保管箱内から直接捨てることが出来ても良かったんじゃないですかね……。


・交流→探索→交流……の流れの強制

体験版の時も書きましたが、同じキャラクターと何度も交流したい場合には必ず「探索」を挟まなければなりません。
「探索」と「交流」を交互に行うシステム自体は好きなので基本的には気にならなかったのですが、厄介な会話を連続で失敗した時とかは流石に煩わしく感じました。探索を挟まないとやり直せないので……。(会話が終わる前にソフト終了→ゲーム再起動 で強引にやり直せはしますけど)
その日の探索の有無を選択出来る機能などがあればもっと勝手が効いて良かったんじゃないかなと思います。



○DLC、次回作などで実装してほしい機能

不満点にあげるようなものではないけど、こういう機能もあったら嬉しいなぁというものもまとめてみました。

・「カクテル図鑑」的機能

 記述した通り約300種類もの実在するカクテルが登場する本作。見た目や音、解説文までこだわられている一杯の数々をひたすら眺める図鑑的機能が欲しかったですね。飲んだ回数なども記録されたら面白そう。


・キャラクターのグラフィックを眺められる機能

 探索・戦闘時の3Dのデフォルメもしっかり作り込まれているうえ、キャラクターごとにモーションが違っているのでそれらを眺めるだけの機能も欲しい。ワンボタンで攻撃モーションを見られたり、ズームしたり、角度を変えたりぐるぐる回したり……。
 探索・戦闘中は時間がかかりすぎると強敵が出現してしまうので好きなだけキャラクターを眺める、というのがなかなかやりにくいんですよね。ついでに敵グラフィックも収録してほしいし、あとキャラクターのボイス集などもほしいですね。


・(ネタバレ)強くてニューゲーム的機能

 今まで集めたアイテムや武器、防具を引き継げる「強くてニューゲーム」的機能もあればうれしかったですね。特に本作は武器・防具の強化にかける時間が多くなりやすいので。

レアな装備を見つけたらレベルを上げつつお気に入りの効果もつけて…というのに結構時間がかかる
画像の装備まででもそれなりに長くなるが、完璧にこだわるならかかる時間はよりすごいことに

 またこれは少しネタバレになってしまいますが、本作にはメインストーリー終盤でどのキャラクターを選んだかによる差分があるんですよね。常連客8人分しっかりあるようなので見比べたくなるのですが、大真面目に確認しようとするとやり応えのある本作を8周しなければなりません。しかも本作には別のスロットにセーブする機能やセーブデータのコピー機能がないため、常に1からやり直しです。流石に多いし大変!
 セーブ関連に関してはゲームのシステム的にそういう方針であることも考えられるので全然いいのですが、引き継ぎ機能があればもっと助かりましたね……。



勝手が効きやすく比較的手軽なローグライクやSRPGをしながら、キャラクター達と酒の席で深い関り合いが出来る「BARステラアビス」、とても良かったです!
気になった方はセーブデータの引き継ぎも出来る体験版から触ってみることをおすすめします。


・おまけ

LINEスタンプや着せかえが可愛い……。

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