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僕の好きな人。

たまにはフィクションのお話もいいんじゃないかなと思って書いてみました。温かい目でご覧ください。


僕の好きな人の話をしよう。

彼女は同じサークルの1つ年上の先輩なのだけれど、
何というか、こう、あまり先輩っぽくない。
決して彼女をバカにしている訳ではない。
一緒にいると安心感があって、他の先輩よりも接しやすいのだ。

彼女はとても無邪気な人だ。
いつ、どこで会ってもテンションが高いし、リアクションも声も大きい。
感情がすぐに顔に出るから、何を考えているのか本当に分かりやすい。
僕のことをどう思っているかはさっぱり分からないけれど。

彼女はとても可愛い。
身長が僕より20センチ以上も小さくて、
何を着ても可愛いし、髪型は2日続けて同じ、なんてことはほぼない。
すれ違った人に二度見される可愛さだな、あれは。

もちろん、可愛いのは外見だけじゃない。
人に名前を呼ばれた時にパッと振り返って反応したり、
美味しそうにお菓子やご飯を食べる姿はまさに小動物みたいだ。
どんな話や挨拶をしても、あのきらきらの笑顔で明るく返されたら、
好きにならない方がおかしいくらいだろ。

しかも、可愛いだけじゃないのが彼女のいいところだ。
自販機で、たまたま2人で同じ飲み物を買ったとき、
僕の買った方が補充されたばかりで少しぬるかったのだが、
彼女は自分が買ったキンキンの方とさりげなくすり替えていた。
それも僕が席を離れていた隙に。
他にも、コンビニで僕の買い物もさらっと一緒にお会計して、
先輩なんだから当然だよー、っていつもの笑顔で言うのだ。
やることがかっこよすぎる。

そんな可愛くてかっこいい彼女だけど、
僕のこと、本当はどう思っているんだろう。
ただの後輩としか見られていなかったらどうしよう。
僕は彼女の「彼氏」ではないから、迂闊に踏み込んでいけない。

そんな風に悩んでいるくせに、僕は今日も彼女に声をかけてしまう。
彼女はいつも通り、最高の笑顔を僕に振りまいてくれる。
行先が同じだったので、なんとなく一緒に歩いてみるけれど、
隣を歩く彼女の小さな肩を抱く方法を、僕はまだ知らない。

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