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上を向くことでしか前に進めない

「前向きに考えて」とか「前向きに治療して」とか。
治療中や治療後のしばらくの間、
先生や看護師、友だち、家族、親戚、
あらゆる周りの人から言われた非情な言葉。

「前向き」って言葉に
わたしは何故か、カチンときていた。

いったい何をもって、「前向き」と言うのかって。

よく分からん、自分のなかの屁理屈やな。と思う。

でも、ある時、カチンときた理由がわかった。

それは、嵐のファンクラブ通信の
翔くんが書いた言葉の中にあった。

ふふふ。嵐の大ファンです♡

前を向くだけでは堪えきれず、上を向くことでしか進めない。

そう。。。
「前を向く」なんかでは一歩も進めない。
上を向いて、上を見ることでしか、がんと対峙できなかった。
治療を受けるのもそうだった。
今までと同じようにはいかない身体。
副作用に凹む日。
死がすぐそこに迫っている恐怖。
こんな得体の知れないモノが一気にのしかかってくるんだから。
がんというモノはね。

「前」なんかじゃなく、「上」しか向けなかったのだ。

わたしには、上しかなかった。

健康な人は、勇気づけるために「前向きに」って言うのやと思う。
でもそれは、時に非情な言葉の暴力となってしまう。

ムリに励まそうとしなくていい。
ただ、そっと寄り添ってくれるだけで
充分、「前に」進む力になるんやで。

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