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「ドイツ縦断ひとり旅」(23)ハーメルン ヘルガとの再会 楽しい街歩き
2019年9月23日(月)快晴
ヘルガの部屋のベルを押すが、応答がない。さて、どうしよう・・・と、表通りと駐車場の角に立っていたら、ぽっちゃりした中年女性が車で帰ってきて、「どうしたの? 何か私にできることがあるかしら?」と、声をかけてくれた。「ヘルガに会いに来たんですが、留守のようなんです。」彼女はベルを押したり、ノックしたりしてくれた。
「留守だわ。」 あー、やっぱり。「ここで帰りを待ってみます。」「えーっ、外で! 寒くなるし・・・そんなこと・・・」 「じゃあ、この近くのホテルに泊まります。」「ちょっと待って。ホテルを捜してあげるわ。」
そこへ中年の男性がやってきて、「どうしたんだ、どうしたんだ?」 そして、二人はスマホで一緒にホテルを捜してくれた。「そこより、あそこの方がいいよ。」「いいえ、それよりも・・・」とか言いながら。 何て親切な人達だろう。突然現れた東洋人に対して、こんなに親身になってくれて!
そうこうしていると、ヘルガが帰ってきた。ウォーキングをしてきたんだって。列車が遅れるからと、時間をはっきり伝えていなかった私が悪かった。お二人にも申し訳なかった。
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ヘルガはとても喜んでくれて、「ホテルはもう予約してあるのよ。でも、まず家に入って、何か飲みましょう。」と言って、私のスーツケースを運んでくれた。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90611638/picture_pc_4a3ae23dde619225718940d8203c9cce.jpg?width=1200)
なつかしいヘルガの部屋! 落ち着いたインテリアのリビング・ダイニングルーム。書斎には大きな書棚。窓辺にはグリーン。そして、あちこちに猫の置物。ハーブティーを飲みながら、どこをどう巡ってハーメルンに辿り着いたかを話した。7年の月日を感じない。隣り町に住んでいて、先週も会ったばかりって感じ。不思議だ。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90612243/picture_pc_0dc575bf02e3ddd00c6897c63cec638c.jpg?width=1200)
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90611977/picture_pc_3dbee1adfd00079bd21b098aafa50fda.jpg?width=1200)
2019年9月24日(火)晴れ
6:50、起床。ホテル・ガルニ・フォルムの14号室。興奮して、よく眠れなかった。ヘルガに会えたこと。ハーメルンの街を一緒に散策する約束。夕方には彼女の友人がやって来て、パーティーが開かれること。旅が終りに近づいたこと。様々な思いが次から次に浮かんできて眠れなかった。
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8:10、朝食。部屋からの眺めはホテルの裏手の駐車場で、特になんということもない風景だけれども、ダイニングルームは素晴らしかった。絵がたくさん飾ってあり、テーブルクロスもしゃれていた。紅茶やハーブティーは無く、コーヒーマシンが備えてあったので、珍しくカプチーノを飲んだ。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90612501/picture_pc_a99d17ebb3777e7f813508383912c067.jpg?width=1200)
フロアスタッフは若い男性が一人きり。食事を終え、暖炉の傍で彼に写真を撮ってもらった。最初、下りてきて挨拶をしたときは無表情だったのに、次第に笑顔になり、私が迷ってウロウロしていると、親切に途中まで連れて行ってくれた。部屋数は15くらいだと思うけど、曲がり角が多くて迷ってしまう。朝食はおいしいし、お掃除の人達もみんな笑顔で、全体に家庭的で、とてもいい感じ。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90612554/picture_pc_94683fa5a0bd328feb7a4748d91843e5.jpg?width=1200)
10時きっかりに、ヘルガが来てくれた。「はい、これ、おみやげ。日本に帰ったら使ってね。」包装紙を開けると、ハーメルンの街がプリントされた折り畳み傘だった。「この傘を差して歩く人は、K市ではあなただけかも。」と微笑むヘルガ。「ううん、日本でただ一人かもよ。ありがとう!」思いがけない贈り物! 嬉しい!! 大切にするね!
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90613049/picture_pc_fa2358de2009661adef17854350114e5.jpg?width=1200)
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旧市街まで歩いて行く。ハーメルンの目抜き通り、オスター通りは中世の街並みが美しい。あっ、いた、いた、笛吹きくん。若くて美しい少年の像。君に会うのは3度目だね。「ハーメルンの笛吹き男」の伝説で有名なこの街は、ドイツ・メルヘン街道に含まれている。伝説とはいっても、この物語は実話が元だというから、びっくりする。
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90625276/picture_pc_a1e44cb349d30e8858ee1d5f0fd390e9.jpg?width=1200)
1284年6月26日、一人の男が街の子供達130人を連れ去った。マルクト教会の記録では、「130人の子供らが誘い出された」とあり、博物館所蔵の16世紀の古文書には、「130人の子供達が旅立った」と書かれているという。でも、ネズミ退治のことは書かれていない。ネズミの話は、子供達がいなくなるという事件が起きてから250年以上も後のことだそうだ。様々な説があるけれど、今では、東欧への移民説が広く支持されているのだとか。
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90625345/picture_pc_00f0a7047693d938a197a37c49ea0d14.jpg?width=1200)
7年前に訪れたとき、色とりどりの衣装を身に着け、笛を吹きながら現れる笛吹き男に遭遇した。街の顔で観光大使。応募条件は「笛が巧みであること」。歩き方から口上まで、すっかり成り切っていて面白い。私はその時、地元テレビ局の取材を受け、舞い上がってしゃべりまくったっけ。
![画像11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90625453/picture_pc_3813864f5b44bc58f6651da7da4377ad.jpg?width=1200)
もう一人(?)の主役はネズミだ。スーパーにも本屋にも薬局にもいる。銀行にはネズミの強盗がいる! パン屋さんでは、ネズミそっくりのパンを売っている! そして、ヴェーザー川に架かる橋の上には何と、金色のネズミが鎮座している! ハーメルンはネズミで栄えている。本物は少ないそうだけど。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90625938/picture_pc_6fafcc4daee42c83782e4d4d52e3ab9a.jpg?width=1200)
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![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/90626248/picture_pc_7b8daf37a464d1948aa71245b8b02b61.jpg?width=1200)
わあ、薬のカプセルを持ってる。 ハーメルンって楽しいね! 写真でしか見たことはないけど、街を上げての市民劇では、ちっちゃな子供達がネズミ役なんだって。
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