【読書感想】ディズニーCEOが実践する10の原則

ロバート・アイガー『ディズニーCEOが実践する10の原則』関美和訳、早川書房、2020.の感想になります。姉から借りたシリーズです、まさかの初版でした。個人的には買いです。

内容は大きく2つに分かれており、第1部の「学ぶ」では、彼がCEOに上り詰めるまでどのような人生を送ってきたか、第2部の「導く」では、CEOになった彼がどのように会社を導いたかが書かれています。

実用書というよりは、伝記的、物語的に読むことができましたが、内容自体は非常に実用的です。ページ数は300を超えますが、最も重要な部分のみを掬読しようというのであれば、タイトルで示しているように10の原則さえ汲み取れば実用書としての役割は終わります。最後に「リーダーの原則」という付録の枠を設けており、そちらでは箇条書きで彼の伝えたい36のリーダーの原則が述べられています。

付録の中で私が特に重要だと感じたのは、「自分が失敗をしたら失敗を認め責任を取ること」「その仕事ができるのは自分だけだと思い込んではいけない」「はじめのうちに期待をさせ、後でそれを裏切ることがないように、最初から自分の立場を明確にすること」「自分が何者かをしっかりと理解し自分を過信しないこと」の4点です。勿論読者によって重要だと思う内容は変わるでしょう。著者は、全編を通して周囲の人々への敬意を忘れないことを非常に重要視しています。彼が伝えたいのは、仕事をする上で最も重要なことは「誠実な人間である」ということなのだと思います。

例え誠実であっても、能力が足らなければその人は仕事を任せるに値しません。しかし、同じ能力を持っているならばより誠実な人間と仕事をすべきだと多くの人が思うのではないでしょうか。そして彼の人生において、能力を持っていて失敗しないコツは誠実であることでした。

私は著者のような能力を持っているわけでも会社を導くような立場にあるわけでも、そうなりたいと思っているわけでもありません。しかし、彼が説いているのは社会人の基本の基本であり、共同体に属する人間ならば読んで損することはないはずです。非常にお勧めできる本でした。

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