【読書感想】独学大全

読書猿『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』ダイヤモンド社、2020.の感想になります。何故か父親から最近人気らしいよ、と送り付けられました。神本だったので父親から送りつけられなくても自分で買ってただろうなと思いました。

4、5日かけて読み終わりました。750ページくらい?ページ数が多いです。ただ、独学初心者や本を読むという独学が苦手な方を意識して作っているのか、1ページあたりの文章量はそれほど多くないです。個人的な妄想ではありますが、読書を含む独学初心者が○ページの本を読み切れた!という自信を得られるという意図や、本書が紹介している「転読」「掬読」「問読」「限読」といった読書の技法を本書で実践することを可能にするための構造なのではないかと感じました。非常に頭が良いです。

とりあえず、独学が好きな人間は読んだ方が良いです。これは断言できます。私は、分野を問わず気になった本をつまみ食いするように読んでいるのですが、学習のための読書をより効率的にすることを望むのであれば是非一読していただきたい内容でした。長いので再読するのは当分先になりそうですが、紹介されていた技法のいくつかは実践してみようと思いました。マトリックス関連はおそらくマトリックスという技法を紹介している本があると思うので、もう少し詳しく調べてみようと思っています。

本書では、第一部で独学をするモチベーションの礎となる「学ぶ理由の作り方」とその継続について、第二部では「何を学ぶか、学ぶ際の資料収集の方法」について、第三部では「学ぶ(読む、覚える、理解する)際の技法」について、第四部では代表的な学習対象である国語、英語、数学それぞれの「独学者のモデルケース」について書かれています。読者が「独学をしたいけどやる気がでない」「なんとなく独学をしているが対象が明確に定まらない、やる気はあるが資料の集め方がわからない」「もっと効率的に独学したい」といったどのような段階にいても対応できるようになっており、内容も具体的かつ様々な方法を提案しています。「独学を始めたいが何から手をつけたら良いかわからない」人のために、第四部ではモデルケースまで用意してくれています。

巷では「習慣を作る」「太らない習慣」といった「習慣」に関する実用書のようなものがたくさん出回っています。しかし、その多くは大概「小さなことから始めてみる」といった一つの方法を中心にあまり有益ではない情報が羅列されていることが多いです。「習慣」とはある意味で「独学」であり、今からでも「習慣」を作りたい、という方も軽い気持ちで本書に手を出してみると良いかもしれません。本書の言うように、決して全部を読む必要はなく、読者が必要としている情報を得られさえすればそれだけで学習の為の読書の意義は達されるのです。

私自信は小説好きが転じて幅広い読書好きになった人間なので、当分はとりあえず最初から最後まで目を通し続けるような気がしています。人間は感銘を受けたからといってそう簡単には変われません。私は高名な学者を目指しているわけでもなく、趣味の範囲で独学をしているにすぎないので今後もまったりと広い分野の知識を身につけられたら良いと思いますが、時間が足りないこともまた事実です。半年後には本書の読書技法が実践できていることを祈ります。

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