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それぞれの“正解”を-フレデリック×須田景凪 『ANSWER』

この記事は「おすすめCDアドベントカレンダー2021 22日目の記事です

素敵な企画に参加させていただきました!

拙い文章ではございますが、お付き合いいただけると幸いです。

昨日のひいらぎさんの記事はこちら

今この記事を書いている時点では深く読み込めてはいないのですが、分量も熱量も凄まじいものでした。USELESSは繰り返し聴いたアルバムではありますが、新たな視点でのUSELESSが聴けそうです。月並みな表現でごめんなさい。
USELESSを聴いた人も聴いていない人も新しい発見のある、そんな記事でした。

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今回紹介させていただくのはタイトルの通り、『ANSWER 』というアルバムです。

先月頭にリリースされた『テイルズオブルミナリア』というスマートフォンゲーム。

タイアップを務めたのが私の好きなフレデリックと、これまた私の好きな須田景凪。

2組の協同制作である「ANSWER」、フレデリックが務めたOPと須田景凪が務めたED、そして互いが互いの曲をカバーした全5曲で構成されるこのEP。

正直、そこまで期待はしてなかったが(普通に「新曲が出る!やったー!」位の気持ち)、5曲全て聴いたところ想像の遥か上をいく作品であったので、思わず筆を取っちゃいました。

2組が好きな方は勿論、片方しか、もしくは両方知らない、という方も楽しめる作品であると私は思います。

2組のアーティストが、それぞれの“正解”を示した全5曲の作品です。

客観的な説明が出来れば良かったんですけどそれは聴いてからのお楽しみということで、今回は主観100%で書かせて頂きました。よろしくお願いします。

1.ANSWER フレデリック×須田景凪

この作品のリード曲であるANSWER。

ゲームを全くプレイしていないのでこの曲の位置づけはどう生っているか分からないが、どうやらインスパイアソングらしい。

インスパイア - ラテン語の「in-(中へ)」+「spirare(息、息吹)」から、(思想や生命などを)吹き込んだり、感化、啓発、鼓舞、または奮い立たせたり、ひらめきや刺激を与えたりすること。インスピレーションの動詞形。
Wikipedia「インスパイア」

調べてもよく分からなかったんですけど、何となくゲームを象徴するような曲なのかなと。間違ってたらごめんなさい。

1番のをフレデリックのVo.である三原健司、2番を須田景凪、3番を2人で歌っているんですけど、該当部分が音を取っても歌詞を取っても「フレデリックの曲」、「須田景凪の曲」になっているんですよ。

1番(フレデリック)

ためらわないで踏み出した眩い太陽がmotion
違い違う正解の果てに交わって体温上昇
明日の自分に問いかけて広がる鮮明な想像
手を取り合って笑えたら楽だったんだろうな

なぁ一体今は何時何分何秒?

思い出して 思い出して
それが一体全体なんだってことですらもう
わかんないや わかんなくなってさ
気付きたくないよ
重なっていく毎日に
傷ついてでもぶつかってでも
譲れないものがあるから
正解を探して

2番(須田景凪)

疑わないで歩いてきた日々に後悔はないか
足がもつれ彷徨った先は砂上の風景
昨日 今 過去 未来のこと
未だ蜃気楼の様におぼつく
雨降りの心をどうか見つけて

そしてその手を差し伸べて欲しくて

思い出して 思い出して
此処に残る幽かな響きさえも
わかんないや わかんなくなってさ
覚えていたいよ
重なっていく退屈が
果てない程に美しいと
気付けないままでいるから
間違いを正して

こうして改めて歌詞を見ると、ここまで色が違うということに驚きを隠せないですね。

それでいてイントロアウトロ3番などそれ以外のところはフレデリックと須田景凪、どちらの曲と言っても差し支えがなさそうな、簡単な言い方をすればいいとこ取り。

フレデリックと須田景凪、わたしの中では毛色が正反対のミュージシャンであったので、初めに共作と聞いた時期待と同時に不安もあったんですけど、ちゃんとひとつの楽曲として成立していてめちゃくちゃ興奮しました。

特に3番サビ前の2人の掛け合いがお互いの声の良さを引き出していてドラマや映画の演技を見てるみたいでした。

『テイルズオブルミナリア』の、HP上で公開されているあらすじの最初にこのような一文があります。
 

僕の正義が、君の正義を殺すとしても______

そういう意味でも「ANSWER」はゲームを象徴する曲で、勿論、ひとつの楽曲に仕上げる為の努力はあると思いますが、それでも自分たちの音楽を譲ることなく妥協せずに向き合った成果がこの楽曲だと思います。

2.TOMOSHI BEAT フレデリック

曲名からフレデリック。

蓋を開けると子気味良いリズムに歌詞は嫌味にならない程度の言葉の繰り返し、気を抜くと癖になりそうなメロディ、THE フレデリックという曲ですね。

朝日も嫉妬するほどに
刻め最高の夜明けを 残像消して

1番サビの歌詞の抜粋なんですけどいつ見てもフレデリックにしか歌えない歌詞だなと。

歌詞をあまり真面目に聴かない人間なので、大抵初めて聴いた時印象に残るのが歌詞以外のことばかりなんですけど、初めて聴いた時うわってなっちゃっちゃいました。(勿論いい意味で)

そのバンドにしか歌えない歌詞、言い換えるとバンドを表現できる歌詞、じゃないですか。例えばUNISON SQUARE GARDENの徹頭徹尾夜な夜なドライブとか。端から端までUNISON SQUARE GARDENしかない曲。

話をフレデリックに戻すんですけど、特に幅広い色のあるバンドなので一概には言えないのですが、ひとつの特徴として歌詞、歌詞の言葉が強いなと。

そんなにやさしくされたらとっても迷惑なんです
とっても迷惑なんです 心ゆらゆら迷惑なんです
返し返されゆりかごのように揺らされて
とても迷惑なんです 幸せの迷惑なんです

それの最たる例は愛の迷惑だと思っているんですけど、こんなにサビで迷惑迷惑言ってる曲ありますか?わたしは見たことないです。

普通のバンドの歌詞には使われないような言葉を使って、それをきちんと自分らの曲にしている、それがフレデリックのひとつの良さだとわたしは思っています。

ちなみに 「朝日も嫉妬するほどに」というフレーズ、現在行われてるZeppツアーのタイトルにも使われています。

3.リグレット 須田景凪

一転してEDのリグレット。

OPとEDと立場は違えど、前曲と比較するとフレデリックと須田景凪の『テイルズオブルミナリア』に対する捉え方が見えてきそうではありますね。ゲームをプレイしてない上に歌詞を深掘りするのは得意ではないので割愛します。

須田景凪に限らずわたしの好きなアーティストは後ろの音が騒がしいんですよ。というか騒がしい曲が好きなので自然とそうなるんですけど。

例えばこの曲
ゆったりとした曲ではありますが、ところどころ音が散りばめられているところが須田景凪を確立している所以かもしれなかったり。

わたしは基本バラードというものが苦手で、というのも(この表現で伝わるかどうかが不明ですが)音が少なくて耳が退屈になって最後まで聴けなくなります。

何をもってバラードか、とかは音楽に明るくないので個人的な物差しでしか見れないんですけど、少なくとも似たような曲調だとギリギリ無理なのではないかなと。

あの日の笑顔も あの日の涙も
ふと思い出しては胸を締め付ける

他の曲でもそうなんですけど、サビへの導入が特に良いと思っていて。

細かいことを言うと1番Bメロからサビ直前
「あの日の笑顔も あの日の涙も」→「ふと思い出しては胸を締め付ける」→(サビ直前)
で分けられて
Aメロが特にゆったりした雰囲気なんですけどそこから
急かさせる→不安にさせる→わざと空白を作り、サビで勢いを付ける
という構成になっています。(違ってたらごめんなさい)

多分、同じ構成をしている曲もしくは同じ手法を使っているアーティストはどこかにあるしきっと聴いたことがあると思います。が、それにわざわざ使っている音が特徴的だと思います。

この人の淡々と言葉を流すような、物語を紡ぐような歌い方がとても好きです。ひとつの物語の締めくくる曲としては最高なのではないのでしょうか。

4.veil フレデリック

フレデリックの曲になってる!!!!!!
!!!!!

アニメの主題歌ということもあり、須田景凪の代表曲である「veil」。

代表曲をカバーすることは相当なプレッシャーだっただろう。

蓋を開けると、ちゃんとフレデリックの曲ではあるけど、原曲が死んでいる訳ではない。

原曲を知らない方は聴き比べをして欲しくて、例えば1番Bメロのここ

あなたの言う希望だとか
夢に見た理想ならば
どんなに冷たくたって愛してみせるよ

この「愛してみせる」の捉え方違うんですね。

原曲は「愛してみせる(希望)」、カバーは「愛してみせる(絶対)」くらい違っていると感じました。

その部分に限らず、原曲は「救いがない」、カバーは「救いがある」と思っていて、それは言葉の扱い方の違いなんですよね。

リグレットで軽く触れたけど須田景凪は歌詞を流すように歌っていると個人的には思っていて、対してフレデリック(三原健司)はひとつひとつの言葉に重さを置いているように歌っているなと。

フレデリックの既存曲だと「サイカ」「対価」辺りの位置づけになりそうだと個人的には思っていて、だから特に不安とかは感じなかったんですけど問題は次の曲でして…

5.オドループ 須田景凪

須田景凪の曲だ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!良かった〜〜〜〜〜!!!!!!!

フレデリックといえばオドループ、という方が多いのではないのでしょうか。きっとオドループは知ってるけどフレデリックは知らないという方も多いでしょう。

須田景凪といえば喜怒哀楽でいうところの哀を歌うミュージシャンだと思っていて、対してオドループは楽を体現したような楽曲。

それを須田景凪はどのようにアレンジをするのかある意味挑戦だったと思います。

オドループという枠組みの中で須田景凪として最大限遊びに走る、自名義曲とは一線を画したそんな1曲でした。

これを初めて聴いた時、アボガド6作画の泣き笑いしながら踊っている人が思い浮かんだ。MVにして欲しい。

色々と書きたいところはありますが、実際に聴いてみた方が早いとは思うので、原曲と合わせて聴いてください。
遊び心とフレデリックの愛に溢れた1曲です。

最後に

このEPを一言で表すなら「フレデリックと須田景凪の音楽に対する『答え』」

『テイルズオブルミナリア』のタイアップ、またはカバー曲ではありますが、それを踏まえた上で自分たちの音楽の正義を貫いている、そんな姿勢が素晴らしいと思います。

また、もしこの記事を読んで興味が湧いたならフレデリックの三原健司と三原康司、須田景凪と3人での対談がこちらで読めるのでこちらも読んで貰うとより一層楽しめると思うので是非。
製作者視点でのANSWERやフレデリック、須田景凪というのが分かるインタビューとなっています。

明日はみんてぃあさんの記事です。

血が緑になるくらい聴いたアルバムを語らせてください

楽曲に対するメタファーなのか、本当に血が緑なったのか、何れにせよどんな記事が出るのか楽しみですね。

それでは!



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