英語のネイティブスピーカーが笑い転げた“英語表現”
随分昔のことですが、私が初めて高校の教壇に立って英語を教えていた頃に頭にこびりついて忘れられないことがあります。
それはJoeという名前のイギリス出身の先生とティームティーチングで一年生を教えていた時のことです。
話題が、What is the most embarrassing moment you’ve ever had? (今までに経験した最も気まずい瞬間はなんですか?)でした。
生徒たちに質問する前にJoe 先生と私が答えようということになり、まず私が答えました。
どれを言おうか迷ったのですが、大学時代に飲みすぎて帰り道で思わず吐いてしまったことを話しました。大学の友人たちと居酒屋に行ってワイワイ話しているとつい飲みすぎてしまったことを英語で話しました。そして最後に帰り道で「吐いてしまった」ことを咄嗟に次のように表現しました。
Then I barfed! (それで吐いてしまった)
「吐く」というのは throw up が一般的で、少し固い表現だと vomit という語を使うというのは知っていたのですが、スラングの barf という表現 (当時はそれがスラングだと気づいてなかったのですが)をたまたま知っていたので、その時に使ってみました。
すると・・・
Joe先生が突然大爆笑してしまいました。その時は、確かに内容的に面白いとは思ったのですが、大爆笑するほどではないと思ったので、「何がそんなに面白いのだろう!?」と不思議で仕方ありませんでした。
ところがJoe先生は大爆笑した後も下を向いてクスクスと笑い続けていました。もう笑いが止まらないといった状況でした。
私が、What’s so funny?ときいても、顔を真っ赤にして笑い続けていたのです。
ともかくその時間は彼女の“笑いが止まらなかった”ことしか覚えていません。
後でJoe先生に何がそんなに面白かったのかと聞くと、彼女は再び笑い出し、
“That’s because you used ‘barf’! I still cannot believe you knew that word and actually used it.” (それはbarfという言葉を使ったから。あなたがその言葉を知っていてそれを実際に使ったのが信じられない)
と言ったのです。
そして普通は “I threw up.“ (吐いた)を使うのだと言い、更に、”How did you know that word?” (どうやってその言葉を知ったの?)ときいてきたので、”I just learned it a few days ago.” (ちょっと前に学んだ)と答えました。
私: Is that such a funny word? (そんなに面白い言葉なの?)
Joe: Yes!!! It’s such a funny word that I didn’t expect you to use it. (そうだよ! あなたがその言葉を使うとは思わなかったわ)
私: Really? But does ‘barf’ mean ‘throw up’ or ‘vomit’? (そうなの? でも、「barf」は「吐く」とか「嘔吐する」という意味ですよね?)
Joe: Yes, you’re right. But ‘barf’ is a slang. (そうね。でも「barf」はスラングだよ)
そして知ったのです。Barf は確かに「吐く」ですが、俗語で「ゲロを吐く」と言った意味合いを持つ語であることを。
英語を母国語としない私のような人が「ゲロを吐いた」などと言ったらどれほど滑稽かを痛いほど理解しました。外国の方が日本語で「昨日ゲロを吐いた」と言ったら笑ってしまうのと同じですね。
でも、あの時Joe先生が大笑いしたことと共に barfという語が頭にこびりついて今でも忘れられません。
そして思ったのです。
「語学学習は間違ったり、恥ずかしい思いをすればするほど表現力はついてくる」と。
Don’t be afraid of making mistakes when you speak English. (英語を話すとき、間違いを恐れてはいけない)
というのは本当だと思いますので、これからも間違いを恐れずにどんどん英語を使っていこうと思っています。
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