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慶性院


筆者撮影

所在地:東京都東大和市芋窪6−1353
開基:天文16年(1547)
開山:慶長6年(1601)
御本尊:不動明王と秘仏胎内仏
訪問日:2024年4月8日(釈迦生誕日)

4月8日はお釈迦様のお誕生日。
慶性院でも「花まつり」を開催中でした。

そもそも仏教徒ではない私、「花まつり」は初体験です。
住職さんの奥様が気さくに迎えてくださったので、
「初めてなのでやり方を教えて下さい」と言うと、お手本を見せて下さいました。

灌仏桶には甘茶が入れてあり、柄杓ですくって、何回か頭からかけます。
お願い事をするのではなく、おめでとうございます、とお祝いしながら。

終わると、紙コップで甘茶をふるまってくださいました。
ほんのり甘くて美味しい。
「砂糖の甘さじゃなくて、漢方っぽいちょっと癖のある甘さなの。飲めるかしら」と心配してくださいましたが、特に癖は感じなかったです。


こちらが本堂です。
民家のように素朴で、荘厳な感じはしません。
住職さんの奥様のお人柄のようです。

出典:慶性院公式webサイト


本堂の中には、御本尊の不動明王座像(40センチ)がいらっしゃいます。
400年に1度しか、お目にかかれない秘仏です。
その不動明王のお腹の中に、更に小さいな立像があり、もともとはそちらが御本尊だったそうです。
明和2年(1765)に、今の不動明王を作って、胎内に収めました。

たまたまその400年に一度が、平成にあり、奥様は拝まれたそうです。
「わりと小さくて可愛いの」というご感想でした。


慶性院とは

正式名を「白部山医王寺慶性院」といいます。
白部山は、地主神として、白山大権現をお祀りしていることを意味しています。
医王寺は、薬師如来の異称「医王」に由来。
慶性院は、慶性=慶長(国の繁栄、民の長寿)の意味です。

奈良の「長谷寺」を総本山とする真言宗豊山派に属しています。

出典:慶性院公式webサイト
明治新政府の神仏分離政策で、明治2年に引き分けられましたが
平成8年、敷地内に復興しました


歴史

現在の多摩湖(村山貯水池)に沈んだ、かつての「石川の里」に建立されていました。
大正13年(1924)東京市により多摩湖建設用地として買収され、現在の場所に移転。
移転当時、周辺は見渡す限りの畑でした。

出典:東大和市の歴史公式webサイト
を改変


もし石川の里が現在もあるとすれば、このへん。

出典:東大和市の歴史公式webサイト


江戸時代の記録としては、『新編武蔵風土記稿』と『武蔵名勝図会』に、見ることができます。

『新編武藏風土記稿』

医王寺 除地、五畝十八歩、字石川にあり、白部山慶性院と号す、これも同寺(中藤村真福寺)の末、開山承秀慶長六年(1601)十一月二十八日寂せり、本堂五間に八間南向、本尊薬師木の立像長一尺六寸、行基の作を置り、鐘楼に鐘を掛たれども、正徳年中(1711~1715)の新鋳なり、ことに考証とすべきことなければ、銘文はとらず、

『武蔵名勝図絵』

芋窪村。白部山医王寺と号す。新義真言、中藤村真福寺末なり。元亀二年(一五七一)起立。本尊薬師如来木立像、一尺六寸、行基作。開山承秀法印慶長六年(一六〇一)十一月廿八日寂。


境内

<水天像> 
右 水天像 江戸時代末期
左 庚申塔 享保7年(1722)
中 弁財天 寛延2年(1749)

筆者撮影

いずれも村山貯水池に沈んだ石川の里から移転しました。


水天像(東大和市文化財)を拡大します。

出典:東大和市の歴史公式webサイト

水天は、世界を守護する十二天のひとつで、水の守護神です。
帝釈天とか梵天とか「天」がつく仲間。
十二天は、ざっくり言うと方向の神様で、水天は西です。

水難除けや雨乞いを祈願するため、池や川のほとりに建てられます。
水天像は全国的に例が少なく、都内に存在する三基のうちの一基であることから、昭和58年(1983)に東大和市より市重宝に指定されました。


<奥の院 薬師堂>

筆者撮影


御本尊の薬師如来さまは、毎月8の日にご開帳。
「靴を脱いで、中まで入っていいですよ」と奥様。

像高50センチくらい(一尺六寸)の薬師如来立像(木造)の両脇に、日光・月光菩薩が安置されています。
薬師如来像は「善名称吉祥王如来」といい、薬師如来の中でも一番庶民に近いお方なのだとか。
病気の中でも特に目の病気を治す力がおありだそうです。

作者や年号の記録はありません。
作風から安土桃山時代の作と思われ、開基の頃に造られたと推測されます。

手前に、わりと子どもっぽい顔と体型の、十二神将が一列に祀られています。
像高15センチ〜20センチくらいでしょうか。
室町時代から江戸時代初期の作成と推定されています。


<大日如来像> 石仏

あれ? 手の形が違和感。

筆者撮影


金剛界大日如来の石仏。
全国の大日如来の1%しか存在しないといわれる逆智拳印を結んだお姿をしています。

「私、恋しちゃったの」と言っているような初々しいお像ですね。



帰り際にご挨拶すると、奥様からお土産を頂きました。
桜の形のクッキーと、桜もようのスポンジでした。


後ろにあるグリーンは、にんじんの葉っぱです。
noter「絵本の虫」さんが教えてくださったリボベジを実践中。
リボーンベジタブル(reborn vegetable)の略で、野菜の葉っぱや芯を水につけて育てています。



<参考資料>

「真言宗豊山派白部山慶性院」公式webサイト
https://www.keisyouin.com/

「東大和の歴史」公式webサイト
https://higashiyamato.net/higashiyamatonorekishi/2245

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