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大事なことは、ミュージカルが教えてくれる

ノート最初の記事で、ミュージカルから「学びがある」と書きましたが、手始めに1つご紹介します。

今回取り上げるのは、“Everything I know” from In the Heightsです。

7月に映画が公開された同作品は、ラテン系移民が住むアメリカのワシントン・ハイツを舞台にした作品です。とっっっっっても良い作品で、映画化されたことによって、気軽に観れるので、ぜひ観ていただきたい…!

が、映画化される中で、舞台版から4曲が入らなかったのですが、そのうちの1曲がこの“Everything I know”です。

この曲は、主人公ウスナビと、ハイツで一番の秀才ニーナが、街の母であるアブエラのアルバムを見るシーンで、ニーナが歌います。

“Alabanza”は、ハイツの住人たちがアブエラを慕う様子が描かれており、この曲は「なぜアブエラという存在がコミュニティの人にとって大きいのか」の答え合わせになると思います。

歌詞から意訳抜粋すると、

Every afternoon I came
She’d make sure I did my homework
She could barely write her name
But even so
She would stare at the paper and tell me
“Bueno,
Let’s review.
Why don’t you tell me everything you know”
アブエラは、学校から帰ると必ず、私に宿題はやったかを聞いた。英語では自分の名前も書けない彼女だったけど、それでも、渡した宿題をじっと見つめて、「さぁ、一緒におさらいしましょう。“あなたが知っていること全て”を教えて?」と私に言うの。
(アブエラのハバナの写真を見ながら)
Did somebody sit her down and say,
“Claudia, get ready,
To leave behind everything you know.”
Everything I know
What do I know?
(…)
She saved everything we gave her
Every little scrap of paper
And our lives are in these boxes
(…)
I’ll make you proud of everything I know
Thank you, for everything I know
アブエラがハバナを発つときに、誰かが彼女を座らせてちゃんと言い聞かせたのだろうか。「アブエラ、準備はいい?”あなたが知っていること全て”、ここに置いていくのよ(アメリカはハバナのようではないのよ)」
わたしが知っていること全て
私が何を知っているというの?
(中略)
このアルバムには、アブエラのハバナの記憶、街の写真全て、私の思い出の写真、私が彼女にあげたもの、どんなにささいなものでも保存されている
わたしたちの生活とその思い出の全てがこのアルバムに詰まっている
アブエラ、私は、“わたしが知っている全て”をあなたが誇らしく思えるようにしてみせるわ
ありがとう、“わたしが知っている全て”はあなたのおかげなの


ここからは、あくまで私の解釈ですが、
“ニーナが知っている全て”とは。

まず、知識。ニーナは勉強してハイツを出ましたが、アブエラが優しく見守ってくれていたことが、勉強しようと思うきっかけになったのかもしれません。
第二に、ルーツ(故郷の記憶)。移民にとって、ルーツは揺らぎやすいもののとても大事なものであることが、イン・ザ・ハイツの作品全体で描かれています。写真だけでなく、アブエラ世代からの伝承で、より鮮明にルーツを意識できるでしょう。
最後に、コミュニティの温かさ。街の写真で、ハイツの人たちが継続してきたコミュニティを知り、アブエラがアルバムにとってくれていたものを見て、自分がコミュニティ全体に愛されて支えられて育ったことが分かります。

アブエラが偉大すぎるううう
素敵なコミュニティすぎるううう

と悶絶してしまうのです。


アブエラが英語をかけないのは、純粋に母国語でないからで、それでも自分が分からないものを、小さな子どもに聞くアブエラの素直さと謙虚さも素敵だし
きっと自分たちのほうが、アブエラよりしっかりアメリカでの生活を認識しているウスナビとニーナが、尊敬の念をもってアブエラを思い、「わたしたちがわたしたちでいれるのは、アブエラのおかげだ」と思う、気付ける、感謝できることがすごすぎる…

ある作品の1曲に、このことをテーマにして、描かれているなんてすごすぎませんか!!


Disney作品の“Color Of The Wind” from Pocahontas も、冒険家ジョン・スミスに、アメリカ先住民ポカホンタスが、「知っていることはあなたのほうが多いかもしれない。でも、あなたが知らないことを、私たちは知っている」と、“知ること”への問いがされています。これに追加して、それは、誰によってもたらされたものなのかを考えるきっかけを、“Everything I know”がくれると思うのです。

どうしても、実生活では、学歴や物事の認識のはやさで人を評価してしまいがちで、
価値観が違うからあまり話さないことがありがちですが、
「この人は、きっと違うことに気付く人で、私が知らないことを知ってるんだ」と思うようにしています。
また、私が知っている全ては、今まで会った苦手な人も含めて、全員のおかげで成り立っているんだなぁとしみじみ思うのです。
人生ってすごい。

ミュージカルが教えてくれること、ちゃんと伝えられたでしょうか?
最後までお付き合い、ありがとうございます!

※noteを使いこなせておらず、引用•参照などが不適切な部分、ご容赦ください💦





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