マガジンのカバー画像

こどもの学びが未来をつくる

24
ポプラ社社長の千葉均が、こどもたちの「生きる力」を育む学びのヒントを探しに、全国各地で先進的な取り組みをなさっている自治体や団体の方々のもとにうかがう対談企画です。 (2024…
運営しているクリエイター

#こどもの未来

【後編】50年先のまちを想い土にふれる~長野県佐久穂町教育委員会教育長・渡邉秀二さん、産業振興課長・倉澤栄司さん、南佐久北部森林組合専務・島﨑和友さん~

自然の豊かさと、林業に携わる人々の姿にふれる、佐久穂町の森林体験学習。 前編でその体制ができるまでの過程や、実際に子どもたちが取り組んでいる様子についてお聞きしました。その上で後編では小中一貫教育をはじめとする教育全般の方針や、まちづくりに関する考えにまでお話を広げていきました。 森林資源を長期的な視野で守り育てていくのと同じように、まちや子どもたちに対する皆さんの思いも次の時代の豊かさを見据えている。そんなことが深く印象に残るインタビューとなりました。 (前編はこちら)

【前編】森林で学ぶ自然の豊かさと汗の尊さ~長野県佐久穂町教育委員会教育長・渡邉秀二さん、産業振興課長・倉澤栄司さん、南佐久北部森林組合専務・島﨑和友さん~

今回訪れたのは長野県佐久穂町。西に八ヶ岳を望み、地域の中心を一級河川・千曲川が流れる、人口1万人の自然豊かなまちです。 私が佐久穂町に興味を引かれた理由は、町内唯一の公立校である小中一貫校が実施するキャリア教育。林業をテーマにした「森林体験学習」という授業が、小学4年生から中学2年生までの5年間にわたって実施されています。 一次産業を絡めた教育活動で、林業というのは珍しい。ぜひ町の方に取り組みについてお聞きできれば……。そんなお願いに快く応えてくれたのが、町教育委員会の渡邉秀

【後編】豊かな学びの種は、田畑の中に~福島県喜多方市立堂島小学校長・橋本淳さん、農業科支援員・山田義人さん、教育委員会指導主事・中野富全さん~

前編では過去の経緯を含めて、市全体の取り組みの概要についてお聞きしました。 後編では、今回のインタビュー会場にもなった堂島小学校の子どもたちが、普段どのように農業科の授業に取り組んでいるのか、また教育における農業の価値とはいかなるものかということについて、お話を掘り下げていきました。 お三方のお言葉を聞くほどに強く感じられたのは、これからの社会を拓く上での農業の可能性。この記事をきっかけに、読者の皆さんにも、改めてそれを見つめ直していただければ嬉しいです。 (前編はこちら)

【前編】学校と地域が育む「農」の教育~福島県喜多方市立堂島小学校長・橋本淳さん、農業科支援員・山田義人さん、教育委員会指導主事・中野富全さん~

今回訪れたのは、福島県喜多方市。 地名を聞いてまず思い浮かぶのは、名物の喜多方ラーメンや、漆塗りなどの伝統産業と結びついた蔵の街並みかと思いますが、盆地の地形を活かしたコメ栽培が盛んな地域。市内全小学校では「農業科」と名付けられた授業がカリキュラム化されており、農業地域ならではの教育が行われています。 この農業科の取り組みについてお話をうかがったのは、喜多方市立堂島小学校の橋本淳校長と、「農業科支援員」として堂島小の子どもたちの指導に当たる山田義人さん、市教育委員会指導主事の

【後編】未来につながる読書推進は、一冊の可能性を信じることから~三芳町長・林伊佐雄さん、三芳町立中央図書館司書・代田知子さん、西村めぐみさん~

前編では、「よみ愛・読書のまち」宣言に至るまでに、どのようにして三芳町の読書推進の仕組みが築かれていったのかを知ることができました。 後編では、その中でさらに深く知りたいと思ったことにポイントを絞ってお話をお聞きしていきました。 角度を変えながら質問させていただいたのですが、いずれの回答からも共通してうかがえたのは、「子ども時代の読書体験は人生の可能性を広げる」という強い思い。その信念のもと、それぞれの立場で力を尽くす三芳町の皆さんの姿は、とても頼もしく映りました。 私も皆さ

【前編】子どもを中心に実現する、オンリーワンの「よみ愛・読書のまち」~三芳町長・林伊佐雄さん、三芳町立中央図書館司書・代田知子さん、西村めぐみさん~

今回のインタビューで訪れたのは、埼玉県三芳町。 「よみ愛・読書のまち」を宣言する通り、読書推進が活発になされている自治体です。 公共図書館を中心とした地域ぐるみの読書推進ネットワークのもとで、数多くの事業が展開されており、人口1人当たりの図書館蔵書の貸し出し数はなんと2000年から連続で県内1位を記録しています。 そんな三芳町が特に重視しているのは、子どもたちに本と親しむ機会を提供すること。「こどもと昔こどもだったすべての人」へ本を届けるポプラ社の社長として、ぜひ関係者の方々

【後編】アートによって育む想像力と多様性への理解~立川市・轟誠悟さん、立川市地域文化振興財団・岡崎未侑さん、ファーレ倶楽部・松坂幸江さん~

前編ではファーレ立川のアート群の価値を、まちぐるみで向上させていった経緯をおうかがいしました。 後編では、市内全小学校でカリキュラム化されているアート鑑賞教室など、官民連携体制のもとで子どもたちにどのような学びが提供されているのかをお聞きしていきました。 皆さんのお話から強く実感したのは、子どもたちの想像力を育む上で、アートがいかに大きな力を持つのかということ。 ありふれた感想と思われるかもしれませんが、アプローチ次第でその効果はどこまでも高くなるものなのです。そのことを、ア

【前編】官民一体で高める、「芸術文化のまち」の価値~立川市・轟誠悟さん、立川市地域文化振興財団・岡崎未侑さん、ファーレ倶楽部・松坂幸江さん~

今回のインタビューで訪れたのは東京都立川市。本企画では連載6回目にして初めての都内自治体への取材となりました。 テーマは立川駅からほど近い市街地エリア、「ファーレ立川」を軸に行われているアートのまちづくり。1994年に整備されたこのエリアには、世界各地のアーティストによる109点ものパブリックアートが設置されており、立川市の文化的な風土を高める中心地となっています。 インタビューを受けていただいたのはお三方。行政側からは市地域文化課長の轟誠悟さん、イベント企画などの実働を担う

【後編】身近な自然への気付きが、子どもの可能性を開く~横須賀市・堀井靖世さん、松田真和さん、NPO法人三浦半島生物多様性保全・天白牧夫さん~

前編は里山環境の保全活用の話を軸に、自然を介したゆるやかな人と人のつながりが生み出す学びについて語り合いました。 この後編では、小学校での環境学習にフォーカスを当てていきます。話題の中心となった「学区の自然環境体験事業」は、学区内の自然環境に対して子どもたちが抱いた興味関心に応じて、各クラス独自のプログラムを提供する取り組みです。 一定の考え方を押し付けるのではなく、子どもたちのワクワクを引き出す。自然での学びの本質を理解している大人たちが連携し合えば、学区という小さなエリア

【前編】自然とふれあいながら自然を維持するまちへ~横須賀市・堀井靖世さん、松田真和さん、NPO法人三浦半島生物多様性保全・天白牧夫さん~

今回のインタビューで訪れたのは神奈川県横須賀市。 横須賀と聞くと、「米海軍基地のまち」というイメージが強いですが、軍港だけではなく生き物たちの棲み処である海や山に囲まれた、自然豊かな地域でもあります。 このうち樹林地や田畑、草地などが市の面積を占める割合は半分にものぼり、横須賀市は「みどりの中の都市」づくりを進めています。 ポプラ社としては2年前から横須賀の環境保全事業に参画させていただいていますが、今回は保全事業の現状に加えて、行政と民間が手を取り合って行っている先進的な環

【後編】『ヒト』を尊重してつくる、質の高い教育環境~千葉県袖ケ浦市・前沢幸雄さん、松井恭子さん

袖ケ浦市の子どもたちが取り組む探究的な学び。前編ではそれがもたらす「生きる力」について語り合うことができました。 後編ではさらに、子どもたちの豊かな学習環境を実現するために、まち全体でどのようなシステムがとられているのかという点をお聞きしていきました。 「システム」というと、やや無機質な響きもありますが、それを形づくっているのは、地域の一人ひとりの精力的な働き。学校司書と教職員の皆さんが職域を超えて連携し合う様子は、多くの自治体にとって参考となるはずです。 袖ケ浦市の大人たち

【前編】探究型の学びが育む、たくましく生きる力~千葉県袖ケ浦市・前沢幸雄さん、松井恭子さん

千葉県のほぼ中央に位置する袖ケ浦市。このまちは、図書館振興財団が全国の小中学生を対象に開催している、「図書館を使った調べる学習コンクール」において、最高賞に当たる文部科学大臣賞を受賞した児童生徒が何人もおり、自治体別で最多の入賞者数を誇ります。 コンクールでは、子どもたちが自ら設定したテーマについて、図書館の本を中心に調べて、研究成果をひとつの冊子にまとめたものが出品されます。 コンクールでの好成績の理由についてはもちろん、その土台となっているであろう袖ケ浦の教育環境、関係者

【後編】尊い命をともに育む「あったかい地域」のつながり~石巻市子どもセンター「らいつ」館長・NPO法人ベビースマイル石巻代表理事 荒木裕美さん

前編ではらいつの施設運営のあり方を中心にお話をうかがいましたが、後編は館長である荒木さんご自身のことにも話題を広げていきました。 荒木さんはらいつを指定管理するコンソーシアムの構成団体のひとつ、NPO法人「ベビースマイル石巻」の代表理事として、妊娠期から未就学児までの親子の支援に尽力されています。 大切にしているのはコミュニティの力。ご自身も、仙台市から結婚を機に移り住んだ石巻での妊娠・子育てに孤独感を感じていた時に、親同士のつながりによって救われた経験があるそう。そして、た

【前編】子どもの可能性を信じれば地域が手を取り合う~石巻市子どもセンター「らいつ」館長・NPO法人ベビースマイル石巻代表理事 荒木裕美さん

今回は私のふるさとである宮城県石巻市の児童館、石巻市子どもセンター「らいつ」を訪れました。 ご存じの通り、石巻市は2011年3月11日の東日本大震災における最大被災地となった地域。らいつは、国際子ども支援団体のセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)による被災地支援の一環で整備された市内唯一の児童館です。 一般的な児童館と大きく異なるのは、小学校から中高校生世代の利用者たち自身が地域と連携しながら主体的な施設運営を行っているところ。「子どもの権利(right)」と「未来の光