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うつの私を越えてゆく


2020年9月、『うつ病』という診断を受けて丸10年が経った。

10年というのは、なかなかにすごい年月だと思う。生まれたての赤ちゃんはランドセルがすっかり板についているし、ランドセルガールはお酒が飲めるようになる。アイドルならベストアルバムをリリースしたりする、そんな年月だ。それだけの日々を、わたしはうつとともに生きてきた。

ずっとうつ状態だったわけじゃない。10年の間に私は何度も居場所を換え、なんとかかんとか進んできた。進学、退学、就職、転職。18歳から28歳までの10年間、その都度エネルギーを費やし、もがきながら生きてきた。死にたいなんて思うことの方が少なかったとおもう。でも、常に心の裏っかわにうつがいたことは確かだ。睡眠導入剤なしに眠れることなんて、きっとなかっただろうし。

この1年間、わたしはうつ病になって初めて、『立ち止まる』ということをしてみた。もちろんこれまでも、1ヶ月や2ヶ月はきちんと休息を取ったことはあったけど、丸1年、なんにもせず、進まず、今いる場所に留まり続けたのは初めてだ。今までは、少し休んだら、すぐにいてもたってもいられなくなり、次の場所へと進んできた。この1年は、そんなエネルギーすらなかった。思い立つことはあっても、ほとんど行動には移せなかった。行動しても2歩目くらいで疲れて終わっていた。

コロナ禍という世の中の停滞したムードもあったからかもしれない。最近になってようやく、心も身体も上向いてきて、少しずつ行動を初めてみているけれど、しばらく動いてなかったものだから、そろりそろり、な状況だ。

そんなちょっとのインターバルでまた走り出したら、そりゃすぐ息切れするわよ、と今、過去の自分を振り返って、思う。そりゃ治らんわ、と。でも、そんな自分がわたしはちょっと愛おしい。苦しさを感じながらも、走り出さずにはいられなかった10代20代のわたし。がんばってきたね。えらかったね。心が折れそうになっても、生きること、諦めないでいてくれてありがとう。

これからは、できるだけ、ゆっくり歩くようにするから。ペースを落として、わたしのペースで。まだまだ自分に適したペースもわからないひよっこだけど、でも、この10年間のがんばりを、無駄にはしないから。

2021年はそんな、11年目のわたしの、少し大人になった、いうなれば第2章のはじまりだ。大袈裟に変わる必要なんてないけど、なんだか少し変われる予感がしている。

うつ病になるまでのわたし。
うつ病になってからのわたし。
そして、これからのわたし。
全部抱きしめて、歩いてゆこう。

ハロー、わたし。
これからもよろしくね。


2021.2.5 西垣ポプラ

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