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日独の経済 GDP4位へ転落の理由と日独の差とは…

はじめに

今回は先日話題になった日本のGDPがドイツに抜かれてしまい遂に4位になってしまうということについて触れたいと思います。

𝕏やヤフコメを中心によく話されてたりするのが日本経済に対しての不満ですね。
よく自分のTLにも流れてくるのでよく見かけます。
今回のGDP4位への転落についても落胆する声をよく見かけます。

しかし筆者としては今回のGDP4位への転落、あまり大きな意味というのはないのでは?というふうに感じております。なぜそう感じるのかを説明し、日独の状況と今後の展望について軽く触れたいと思います。

GDP4位転落の概要

日本の2023年の名目国内総生産(GDP)がドイツに抜かれ、世界4位に転落する公算が大きくなった。ドイツ連邦統計庁が15日、23年通年の名目GDPの暫定値を公表した。両国のGDPをドル換算で比べると日本は円安で目減りし、ドイツは物価高が押し上げた。

ドイツの名目GDPは前年比6.3%増の4兆1211億ユーロだった。日銀が公表している23年の平均為替レートを用いてドル換算するとおよそ4兆4500億ドルとなった。

日本の23年10〜12月期の名目GDPはまだ発表されていないものの、23年1〜9月期をドル換算すると3兆1000億ドルほどだ。

日本の名目GDPがドイツに並ぶためには23年10〜12月期に190兆円程度となる必要がある。日本の22年10〜12月期の名目GDPは147兆円だった。前年同期から3割程度増える計算となり、足元の状況で達成は困難だ。

ドイツの23年の実質GDPは暫定値で前年比0.3%減った。マイナス成長は新型コロナウイルス禍の20年以来3年ぶり。ウクライナ危機に伴う高インフレと欧州中央銀行(ECB)による急激な利上げが重荷になった。

ドイツの暫定値は23年10〜12月期GDPの推計を含めて計算したものだ。データが不完全であるため、最終的な確定値は変わる可能性がある。

日本経済新聞より引用

上記の記事を見てもわかる通り、日本がドイツに抜かされたのはドル建ての名目GDPです。ここで注目すべきなのはドル建てであるということと名目GDPで公表されているということです。

名目GDPとは

まず名目GDPとは何かと考える方もいらっしゃると思いますので簡単に説明を...

価格は時間の流れとともに変化していきますが、“価格の変化を考慮せずに計算”したものを「名目GDP」といいます。

対象の期間の付加価値を単純に合計して求めるため、たとえ、インフレが起こって貨幣価値が下がっていたとしても、考慮には入れません。

しかし、価格変化を考慮に入れない名目GDPではその国の正しいGDPの変化を見ることができない可能性があります。 

セゾンの暮らし大研究

つまり一言で言うと物価高の影響を含むか含まないかという差です。

日独の消費者物価指数

下記のグラフはドイツと日本の消費者物価指数です。

日経新聞より引用
NHK NEWS WEBより引用

ドイツは最高で2022年に11%ほどの物価高騰がありますね。その頃の日本の物価高騰は高くても4%程度です。2023年に入ってもドイツは6%から2%程度を行き来していますが、日本は3%から2%ほどと物価上昇率はとても低いと言えます。

名目GDPは物価高を含むものになるので急激な物価高が起きているドイツが名目GDPで勝ってしまうのはある意味当然であると考えられます。

為替による要因

JBpressより引用

上記のグラフからもわかるように日本がドイツにドル建て名目GDPで抜かされたのは為替要因が大きな要因としてあるということがわかります。

今の日本は円安ドル高が進んでいる。だがドイツで使われているユーロではユーロ高ドル安となっていいます。

円安が進めばドルにした際の円の価値は下がる。逆にユーロ高になっているユーロをドルにした際には価値はあがりますね。

このような為替要因というのがドル建て名目GDPでドイツに抜かされてしまった理由の一つです。

日独の完全失業率

ニッセイ基礎研究所より引用

2020年1月あたりから本格的にコロナ禍が始まり完全失業率は上昇していますね。しかし2022年1月近くになると完全失業率は徐々に落ち着いています。
このまま落ち着いていけば2019年のような完全失業率に落ち着くと思われます。

東洋経済オンラインより引用

一方でドイツの失業率をみてみると日本とは異なり5.7%近くの人が働きたくても働けていないという状態になっています。

日独の経済状態

以上のようなことを見る限りドル建て名目GDPではドイツに抜かされましたが、国民の生活のしやすさで言えば物価上昇を抑え失業率を抑えている日本の方が国民にとっては過ごしやすいのかなと感じました。

名目GDPは1つの指標になるのか

名目GDPは1つの指標にはなりますが、私としては生産年齢人口1人あたりのGDPで見るのが大切であると思います。
それらの理由について述べたいと思います。

日本の生産年齢人口1人あたりのGDP

WSJより引用

青...米国 赤...日本

図でも分かるように生産年齢人口1人あたりのGDPでは日本はアメリカと成長率はほとんど同じということが分かります。他にも同記事にも記載されている通り2019年にはG7の中でも1番となってます。

生産年齢人口1人あたりのGDPみる理由

今、日本国内等の報道でよく用いられているのはドル建て名目GDPや1人あたりののドル建て名目GDPがよく使われています。
ですが日本では高齢化が進んでおりドル建て名目GDPで見ると国民全員が含まれてしまうため自然とその値は減ってしまいます。
しかし生産年齢人口1人あたりのGDPでみると減少することは少ないことがわかります。
そのため日本は少なくとも1人あたりの生産性は高いのではないかと考えられるからです。

しかし規模全体を見る時には実質GDPを活用しなければ規模等は分からないものであると私は考えています。

日本経済の展望

物価高を追い越す賃上げ

テレ東BIZより引用
テレ東BIZより引用

上記のように経済諮問会議によると2023年度では物価上昇率が所得上昇率よりも高く、実質賃金は低下していました。
2024年度試算によると物価上昇率が所得増加率を追い越すという試算がでています。
賃上げと物価上昇という観点では今年から国民の生活も楽になっていくのではと推測できます。
今年は所得税の減税も予定されていますしね。
今後、物価上昇率と所得増加率がどのようになるのか注目ですね!!

日経平均はバブル後最高値を日々更新!?

日本経済新聞より引用

バブル期の最高値は3万8000円程度でした。
今月には36546円とバブル後最高値となっております。日本の株は様々な要因がありますが投資家が欲しがってるってのは分かりますね。

日本経済新聞より引用

上記のグラフをみると最安値は超絶円高になってGDPも高かった民主党政権の頃ですね!
円高で名目GDPが高いからと言って経済状況はいいのかと言われるとやはり総合的にみるとそこまで良くなかったのでは?と考えてしまいますね。

日本経済の懸念点と課題

日本では以上のように国民の生活のしやすさは向上しつつある状態になっており、失われた30年を脱却できるチャンスであると言えます。
しかし今、物価上昇が起きてるのは有事だからと言えます。そもそも物価上昇が起こってるのは米国との金利差やロシアのウクライナ侵略等によるものであります。
ここで日本経済の課題・懸念点としてあげられるのは、平時でも賃上げと物価上昇を繰り返せるのかというところにあると筆者は結論づけました。

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