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ぽっぷこーんじぇるの短歌

ぽっぷこーんじぇるの自選短歌です。今まで投稿した短歌から半分くらい選びました。

※画像:いらすとや「ポップコーンのイラスト」

筋肉短歌会

2022年

おれさまの深夜ひとりのゲーム機であざやかに進化するヤドラン
#ポケモン短歌

思い出のように沈んだ青年を抱きしめるプールの監視官
#アンミカ短歌

水槽を見てアジフライ食べる人 水葬された人を食べるアジ
#水族館短歌

セールスマンがセールスマンを売りにくるワゴンセールと言って 泣いて
#セール短歌
※初出は「だと言って」だが、許せないので「と言って」に変えました。

営々と遺詠よむエイのエイリアン エイエイイエイエイエイリアン
#宇宙短歌

乙女座に人工衛星が重なり ああ、これは侵略なのか
#宇宙旅行短歌

お金だよ、どうだ明るくなったろう。だからその顔をやめないか
#お金より大切なもの短歌

高齢化社会にサンタは増えすぎて俺の家にも今5人いる
#サンタにお願い短歌

お金の価値を知らないものだけお金にできます
臓器とか、胎児とか
#資本主義短歌

2023年

ゆふぐれの地球は桃色かみさまがわつちやつてからはじまる話
#改変桃太郎短歌

じいちゃんが杉になったら切り倒してテーブルにすべきなんだろうか
#ご長寿短歌

死んでしまった−2が正しくなって右辺に移る 顔が見えない
#数学短歌

あれ いま皿から流れているものは 君でも食べものでもなくて
#皿洗い短歌

桜雨 りりり るるる (覚えてる?誰かの愛を踏んだ日のこと)
#花短歌

俺様の口から逃げた親知らずはめっちゃ夜遊びとかしてるらしい
#歯医者短歌

死んで地球ひとつぶんの重さになったあなたに乗って星空のなか
#ぜい肉短歌

奪われてしまった春の朝食はすこしあなたの味がしている
#人肉短歌

マジシャンに曲げ捨てられたスプーンを元に戻して売る仕事です
#職業短歌

わたしよりきれいな人は全員がAIである靴下を脱ぐ
#AIの秘密短歌

それぞれが三十一文字の泡なのでちょっと雅に消えていきます
#ビール短歌

🎭(この敵は同時に破壊しなければ次のターンに復活します)
#筋肉舞踏会短歌

公園でBB弾を拾ったらあわてて母に見せたっけなあ
#エッセイ短歌

寝るときの僕は胎児になっている 花の脆さも分からなくなる
#変身短歌

あなたは遠くを見つめるときに神さまの喉のよな飛行機雲のような目
#変身短歌

遺言の「ありがとう」のあとの言葉が「ブラジル」にしか聞こえなかった
#ブラジルパーティー短歌

誰よりも知ってる君のことだから何も言えない殺人事件
#逆さま短歌

学校もバイトもいつかの練習と言われて発展途上のぼくら
#アルバイト短歌

お前まだ作家目指してるんだって。付箋を貼った米が届いた
#アルバイト短歌


ちいさなこえで(できるだけちいさなこえで)ちいさく(ちいさく)ねつを(まぜあう)
※「特別募集筋肉短歌」

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2022年

ぽっぷこーんじぇるに沈んだスクリーンぽっぷこーんじゅえるは光る

てのひらをすり抜けて流れる水はちょうど君だった部分だろうか

新ポケモン ・カワイーヌ ・フェアリータイプ ・たかさ115キロメートル
※「ヒュー!日向マッチング短歌」より

わたくしが死ぬ瞬間にわたくしの歌はせーので挽歌になーれ
※「ヒュー!日向マッチング短歌」より

2023年

短歌ブーム続いているよ。ギリシア語イオニア・アッティカ方言とかで。
※連作「インターインターネットボーイミーツガール」より

入道雲、好きな人は誰ですか。入道雲わたしだったりしますか

アボカドの割引シールに手をふれたひとときだけ割引される人

春空にひたした服を身につけて指先からちょうちょになっている

ぼくたちも寝るときは寿司 神様にやさしく握られてから 回る
※note「たべもの、短歌、春」より

右足に力を入れて立っている左足から回ってしまう

せーのってふるえはじめる吊革のひとつをえらんで手をつなぐ朝

まちなかをくつしたたちが歩いていて、そのへこみで君を探すとしたらどうだろう

アイロンをせずに仕舞ったワイシャツは都会の君の姿を保つ
※詠題「アイロン」

せなかねこせなかねこって呼んでいる町名物の徘徊爺を
詠題「猫背」

5/6-7深夜の即詠より
帰り道は振り返らない遠くから海の青さをささやかれても

互い違いの菜箸を持ち白骨のような桜を川に沈める

桜餅もうやめにする性別の固さを葉ごと咀嚼している

食感はひかりのようで(いつまでも昨日の事を忘れないでね)

失われた記憶は不意にやってくる体育座りのままで歌って

皺をのばしてものこる形がわたしなのだろう本を落とす

電柱に生まれていれば鳥たちの言葉を知ることができたのに

うごくごみばことしてわたしのくちにたべものがながされていくねむたい

窓際に小さな風が(たんぽぽを盗んだように)立っていました


歌屑も短歌なんだよ 遠すぎて見えない星を覚えてること

寝ているはずのあなたに毛布をかけておく
とおくのにわかあめが怖い

からっぽのがらすのこっぷ(ぼくたちはそれを「うみ」とはよばないけれど)

はと、はと、はと、はと、はな、はと、はと、はな、はと、はと、はと、はな、はと、はと、はと、はと、ぼく、はと

真夏日の三年二組は円周を求めてポップコーンになった
※うたの日「ポップコーン」

マジシャンは白い鳩だけつかまえて冬に備えているのだろうか


まとめ

筋肉短歌会 計28首
ツイート  計29首
2022年4月から2023年7月までの短歌たち。


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