人間の闇の部分が見え隠れする「みんな我が子」

おはこんばんにちは。
ぽさつです。
アーサー・ミラー作の「みんな我が子」をBunkamuraシアターコクーンで見てきました。
その感想です。

あらすじ

第二次世界大戦後のアメリカ。
戦争特需で財をなしていたジョー・ケラー(堤真一)は、一家で幸せそうに暮らしていた。
隣人の医師ジム(山崎一)とも良好な関係だ。
しかし妻ケイト(伊藤蘭)は戦場から戻らぬ次男の帰りを今も待っている。
そこへ次男の婚約者アン(西野七瀬)が訪ねて来た。
ケラー家の長男(森田剛)は密かに彼女に想いを寄せている。
さらに現れたのはアンの兄ジョージ(大東駿介)。
彼の訪問はケラー家が抱える過去の闇を焙り出し――。
https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/wagako2022/

感想

演者のみなさん

堤真一と森田剛が好きだから、おふたり目当てに行ったんですが、みんなお芝居がうまくて見応えがありました!
堤真一は、しめるときはちゃんとしめて、ゆるいときはおいちゃんになってて私のイメージする堤真一にぴったりの役柄でした。
森田くんは、ヒメアノ〜ルを見てから生のお芝居が見たいなと思っていて、今回やっと見ることができて非常に嬉しかったです。彼の芝居はやっぱ生で見てもすごい…。
母親役の伊藤蘭さんも、途中から私の母親に見えてきて、激昂するシーンですごく引き込まれました。
西野七瀬は、正直ちょっと穿った見方をしていたんですが、全然周りから浮いてなくて、もしかしたら舞台の方が向いているのではないか?と思いました。
二幕の一部分にしか出てこない大東駿介の存在感がすごかったです。
山崎一さんのお芝居をもっと見たかったなあという印象でした。


伏線回収


以下大いにネタバレあり。

初めてアーサー・ミラーの作品を見まして、彼の戯曲は伏線が至る所に貼ってあるという話を聞いていたので、今回のお話もそれを気にしながらみていました。

冒頭の新聞→新聞は次男の死のきっかけ
地下室に銃がある→ラストシーン
牢屋&トースターが壊れた→部品を直せばいいじゃないか→父親が犯した罪
みんな我が子→兵士として戦争に駆り出された人々みんな


雑多な感想文

一幕  幕が上がって、いきなり現実世界でもありそうな世間話から始まります。この小気味いい会話劇が印象的。クリス(森田剛)が、アンに告白して、キスした時に、「キスしちゃった!」っていうリアクションがめちゃくちゃかわいかったです。クリスってそういうキャラクターなんだなって印象ついた瞬間でした。
二幕  不穏な雰囲気からのスタート。感情のぶつけ合いのお芝居が続く感じで、見ている側も結構カロリーを使うようなシーンでした。演者さんの方でも軽く触れましたが、大東駿介が二幕にしか出てこないのに、圧倒的な存在感を放って、場をかき乱していったからすごいなあと思いました。まあ、彼が荒れる気持ちもわかるんだけどね。
三幕  夜の場面から。全ての真相がわかるシーン。ここも、まさかの展開で見ていて悲しくなりました。ラスト真実を教えてもらった時のみなさんのお芝居は胸にくるものがありました。人間の闇の部分が見えてしまいましたね…切ねえ…。でも自業自得じゃないかとも思ってしまう…。

全部通して、家の庭で繰り広げられてる物語で、セットチェンジが全くない舞台でした。初めて、セットチェンジがない舞台をみに行ったので新鮮でした。
この内容を理解した上で、2回目見に行ったら確実に違った意味でみることができるなと感じました。


オタクの独り言と総括

三宅健の「二十日鼠と人間」をみに行った時に、二階席の上手側で、今回も会場は違えど同じような場所での鑑賞でした。だから、セットチェンジがみれる!と思ってたら、まさかのセットチェンジがなく…でも、そういうかたちの舞台もありますよね。
二十日鼠と人間も最後銃声で終わりまして、私の見る作品ってそんなんばっかやなと思いました。実際ファンタジーよりも社会的な現実的な話が好きで、今やることに意味があるような作品を見がちです。


戦争って本当に人を狂わせる。
現地で戦ってる人だけじゃなくて、戦地で戦ってる人の家族も、その周りの人たちも狂わせる。
それがこのタイトル「みんな我が子」に詰まっていると思いました。「みんな我が子」の意味を理解した時に、とても動揺してしまいました。

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