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解離性同一性障害を発症した時のはなし①

解離性同一性障害(以下DID・英名のDissociative Identity Disorderの略)を明確に発症した時のお話をしたいと思います。

DIDの患者さんは、気づいたら多重人格になっていたという方が大多数だと思います。
私の場合は、発症が最近ということもあって、最初に他人格を認識してから人格が増えていく過程の記憶が今のところ鮮明です。忘れてしまわないうちに書き残しておきたいと思います。(DIDは過去の記憶が曖昧になることが多いためです。) 

内在性解離


半年以上通っていた認知行動療法のカウンセリングにて、「ぽんずさんは二つの相反する本心が葛藤して、苦しんでいるように見える」と言われる。

そう言われると確かに、マンガやアニメで見かける、

天使(良心)と悪魔(欲望)」

のような、対立する2つの意見が昔から常に頭の中で戦っていたことに気がついた。
この天使と悪魔の対立自体は誰にでもあることだと思うが、私の場合はいつまでたっても決着がつかない。同じことを数時間考えた後、頭が痛くなったり気持ち悪くなったりして、考えること自体をやめることがとても多かった。
この時点では、2つの意見は単なる「心の本音」のようなもので、人格化はしていなかった。

こんな感じ。

その数日後、かかりつけの心療内科で上記のことを話すと「内在性解離かもしれないですね」と言われた。

内在性解離とは、耐え難いほどのストレスを感じたときに、潜在意識の中に「別人格」を作って、つらい感情を引き受けさせることです。
https://tokusengai.com/_amp/_ct/17263550

実は以前にも、主治医からは内在性解離の話は聞いていて、「確かに当てはまるな」とは思っていた。しかし自分とは深刻に関係はないだろうとスルー気味だった。
多重人格についても、当時は「幽遊白書」の仙水忍や、「もう一人のマリオネット」の神真之のイメージくらいしかなく、ドラマティックな症状の病気という印象だった。
だが内在性解離について調べるうちに自分でも「もしかしたらそうかも」と思い始めた。

USPTカウンセリング


主治医の勧めもあり、解離性障害の治療のためのUSPTカウンセリングを受けてみることにした。

USPTは,タッピングを用いて人格部分(別人格)を呼び出して,労をねぎらうことにより,解離(解離性障害)による人格部分の統合を行う心理療法です。
http://uspt.gaiary.com/

ここでいうタッピングとは、治療者が患者のひざを指で一定のリズムで軽く叩くことを言う。
私の受けたカウンセリングも同様で、タッピングに用いて治療を行うというものだった。おそらく催眠を用いた治療だと思う。治療中、突然涙が止まらなくなって驚いた。

私の場合は、その涙が止まらなくなる感覚が嫌だったことと、後に出現した他人格達がこの治療を拒否してしまったため、結局2、3回受けたきりで現在はUSPTを受けていない。
後で知ったが、解離のある人は健康な人より催眠術にかかりやすいらしい。

USPTカウンセリングを受けたものの、私の場合は内在性解離が完治する訳でもなさそうに思えた(治療の効果は人それぞれなので完治する人もいるそう)。とにかく自分の状態を知ることが必要だと思い、主治医が貸してくれた本で学ぶことにした。

人格解離-わたしの中のマイナスな私- 小栗康平 著

「内在性解離」の名付け親であり、先のUSPTカウンセリングの開発者でもある精神科医・小栗康平氏の「人格解離」。

内容をざっと説明すると、前半は内在性解離や解離性同一性障害の説明やUSPTカウンセリングの実例などが書かれている。後半はなかなかスピリチュアルな内容になる。ちょっと読む人を選ぶ感じではあるが、前半だけでも解離に悩む人には参考になると思う。私も後半は話半分に捉えている。

この本は衝撃的だった。読みながら涙が溢れて止まらなかったのを覚えている。「ここに書いてあるのは私のことだ!」と震えるほどだった。
何故、自分の頭の中に天使と悪魔の声が常に存在するのか腑に落ちたし、子どもの頃から情緒不安定でずっと悩み苦しんできたが、その苦しさを理解してもらったような気がして嬉しかった。

そして読み終わった後、突然私は1人目の人格と対面することになった。

②へ続きます。更新はまた後日。

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