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ep48.羽田屋に集う女たち


麻莉が闘病している頃、蟹蔵は気功にハマっている様子をブログに投稿していた。その他にも効果不明の怪しい施術を受けているし、ガンの治療を気功や民間療法に頼ったとしても不思議ではない。

麻莉本人もスピリチュアルに傾倒していたし、蟹蔵との関係性やパワーバランスを構築したのも麻莉だ。もし麻奈が言うように、本当に蟹蔵に民間療法を強要されたのだとしても、それを拒否しなかったのは麻莉の責任だ。

周りに誰がいようとその人を選んだのは本人であり、最終的に選択しているのは本人だ。そして数多のしがらみで自分の人生を貫けないのもまた、その人の人生と言えよう。

犯した所業は置いといて、僕は麻奈の気持ちを少し理解できる。麻奈の暴露が真実だと仮定して、麻奈の視点で羽田屋を見てみる。

◆◆◆
歌舞伎の家に嫁いだ妹は仕事を辞め、仲林家からも少なくない資金援助をしてきた。妹はガン治療で怪しい民間療法を強要され、自身も多額の資金援助をした。羽田屋に妹や母親を奪われ、姪甥とも会えなくなって自分の人生を狂わされた。

収益の柱であるブログの写真係は仲林家の女性陣が務め、子育ての主軸も担った。犠牲を払うのはいつも仲林家で、羽田屋の女性陣は金も労働力も出さず、好きなことをしてのうのうと生きている。
◆◆◆

あくまで麻奈視点で考えたときだ。治療の内実は外からは窺い知れない。蟹蔵一家の女性陣は株式会社羽田屋の取締役に名を連ねており、みな歌舞伎という伝統の維持に犠牲を払っている。見たままの姿しか理解できない麻奈が逆恨みするのもむべなるかな。

歌舞伎の家柄に生まれたor嫁いだ者の宿命とでも言おうか。犠牲や資金援助の代わりにステイタスを得てチヤホヤされるが、みな歌舞伎ビジネスに取り込まれて翻弄される。嫁いだ妻が旦那の浮気に苛まされるのは、その氷山の一角でしかない。

スピリチュアルに傾倒し、蟹蔵と結婚したのは麻莉だ。その家庭に執着し続けたのは麻奈。娘に見切りをつけ我関せずを貫き、歌舞伎界のプリンスである孫の世話に生きがいを見つけたのは麻奈の母親。

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