景気循環サイクルについて簡単に紹介

目次
①5つの景気循環サイクル
②回復ステージ
③上昇ステージ+成熟ステージ(好況)
④後退ステージ
⑤不況ステージ
⑥最後に

①5つの景気循環サイクル
 私のコンセンサス調査及び分析レポートを読むにあたり、景気循環サイクルについて基本的なことを少し紹介しておこうと思いまして当記事を書きました。誰でも理解できるようにわかりやすく書くよう頑張ります。
 景気循環サイクルは本当は5つのステージがありますが、大きく2つのことが要因で各ステージで出現するシグナルの判断が難しくなってしまったので自分で勝手に4つにまとめました。ちなみにその2つの要因は①リーマンショック後、世界的に低金利が膠着したことと、②極端な貧富の差、ロジスティクスの効率化などによってインフレが起きにくくなったことです。
 景気循環サイクルは期間やパターンが絶対こうなる!というものではありません。BIG PICTUREという概念として認識していただきたいです。しかし、1つルールがあるとしたらサイクルが遅くなることはありますが、逆行することはないです。では各ステージの特徴やシグナルについて紹介いたします。

②回復ステージ
 回復ステージは景気循環サイクルかつ上昇サイクルの始まりです。一言でいうと民間も企業も活動が息を吹き返す時期になります。不況ステージで急落したGDPが上昇に転じると回復ステージのシグナルと認識します。回復のざっくりした順番としては、①国による景気対策→②民間消費回復→③企業設備投資回復です。GDP寄与度が一番高い民間消費が回復すると同時に雇用統計の改善が伴うと完全に回復ステージに入ったと判断します。ちなみに日本の場合、民間消費はGDPの52~54%くらいと半分以上を占めています。それくらい民間消費は大事です。次のステージへのシグナルは住宅販売や耐久消費財の売れ行きに勢いがつくことや企業設備投資が上昇に転じることです。

③上昇ステージ+成熟ステージ(好況)
 このステージは、かつては2つに分けて考えてましたが、上記で記述した2つの要因で今は一つの「好況」ステージとして認識します。しかし、特徴が違うので分けてご紹介します。
 上昇ステージは一言でいうと、景気が良い時期です。当ステージの特徴としては堅調な民間消費、住宅着工の急増、企業設備投資の増加や在庫積み増しなどがございます。ここからは景気がいつピークを迎えるかが強く意識されますから、強い状態が続いている指標らの頭打ち感が出るかどうかが非常に重要になってきます。
 成熟ステージは好況ステージの末期です。一言でいうと景気がピークを打った時期です。特徴は住宅販売や耐久消費財の売れ行きが頭打ちになり、賃金の伸びが鈍くなることです。これが感じられれば、上昇ステージから成熟ステージに移行したと考えていいでしょう。住宅や車などの売れ行きが弱くなっていくな中、企業設備投資が強いままだと次のステージのシグナルとなります。

④後退ステージ
 後退ステージは下降サイクルの始まりです。一言でいうと民間消費と企業設備投資の温度差が感じられる時期です。民間消費はGDP寄与度が高いので、軟調になるとGDP成長率が低下し始めます。しかし、経営者は長かった上昇サイクルの中で好況がずっと続くと勘違いをして強気の投資を続けてしまい、民間と企業の温度差を生みます。企業がピークだとやっと認識して雇用を引き締めたり、設備投資を躊躇もしくは減らしたりすると次のステージへのシグナルです。

⑤不況ステージ
 景気循環サイクルの最後のステージです。一言でいうとカオス状態です。GDPのマイナス成長、企業収益の急減、失業率の急増など様々なカオス要素がポンポンと出ます。〇〇ショックのようなレッテルが付くケースが多いです。直近で行くとコロナショックやリーマンショックあたりが不況ステージに当たります。
 幸に不況ステージは政府による景気対策が瞬時に実行されるので、1〜2年程度と10年ほど続く上昇サイクルに比べてかなり短いです。政策の効果が出始めて民間消費が回復すれば、一つの長い景気循環サイクルが終わります。

⑥最後に
 上記項目には書けなかったことを少しだけ書かせていただきます。景気循環サイクルは成熟ステージになってくると、いつの時代でも「後退ステージはもはや来ないんじゃないか」という話が出てきます。1960年代にも2000年代にも例外なく出ました。2018年もゴールディロックス相場とか言われていたものです。つまり、景気サイクルはいつの時代でも扱いは同じなのですが、全く同じではないものの結果的には同じようなことが継続して起きているのです。
 だからと言って、景気循環サイクルばかり追っておけ!ということではございません。頭の隅っこにBIG PICTUREとして認識しておくと良いとのことです。トレードをしていれば、森が見えず木ばかり見てしまうこともあります。悩ましい場面に直面した時、私は基本に戻って景気循環サイクルを分析して森を見るよう努めます。
 投資には正解がございません。儲かれば正解です。しかし、再現性の高い自分のやり方を探すことは大事です。それができるようこれからも頑張っていきたいものです。ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?