見出し画像

明日の星を作るコーチへ、石井琢朗おかえり。

初めて野球を見に行ったのは6歳の頃でした。まだルールも正直理解できていなかったし、親に連れられて行っただけでした。それでもスタジアムの熱気がなんとなく気に入ったのでしょう。何度か親に連れて行ってもらい、そして少しずつ選手を覚えていきました。クルーンは球の速い人、種田は打ち方が変な人、こんな感じです。そんな中で大好きだった選手は「以心電信」の人でした。知っている曲が流れて颯爽とヒットを打っていくその姿に心を奪わたのでしょう。ヒットを打つからとかじゃなくて知っている曲が大きな音で流れるそれが嬉しかっただけかもしれません。でも、間違いなく子供の自分にとって一番好きな選手は石井琢朗でした。

そんな選手がコーチとして10年以上の時を経てベイスターズに戻ってきました。大喜びするかと思いきや意外と冷静です。まず第一に彼がプレーしていた姿が全くもって思い出せません笑。流石に少し悲しいので彼の球歴を振り返って今更ながら石井琢朗という選手の凄さを感じたいなという記事になります。多くのベイスターズファンの心を掴んだ選手の凄さを少しでも自分が理解し、そしてお伝えできればと思います。

ドラフト入団まで

1970年8月25日生まれ、栃木県出身の選手です。子供の頃の憧れの選手は巨人の篠塚選手。子供の頃の夢は巨人にドラフト1位になることだったそうで、生粋の巨人ファンだったのでしょう。高校は栃木県立足利高等工業学校に進学。2年生の夏にはエースとして甲子園にも出場します。高校卒業後は、東洋大学に進学することが既定路線の中、1988年のドラフトでホエールズからのドラフト外で投手として獲得をされ、入団することになります。その年のドラフトでは、ホエールズにドラフト1位として谷繁選手が入団、他球団では、広島に野村謙二郎選手、中日に今中選手、ロッテに初芝選手が入団。また、1970年生まれの選手としては、ベイスターズでは谷繁選手の他に佐伯選手、その他球団ではヤクルトの宮本選手、伊藤智仁選手などがいます。

投手からの転向と飛躍

投手として入団した石井琢朗。投手として残した成績は、3年間で28登板、防御率5.69。1年目が最も成績が良いこともあり、なおかつ本人が強く野手転向を希望したことで野手転向が叶ったという流れかと思います。そして、その選択は間違いなく正解であったということができるでしょう。

野手に転向をすると、なんと1年目の後半にしてレギュラーを獲得。69試合に出場をします。さらに、転向して2年目にはゴールデングラブと盗塁王を獲得。凄まじい活躍という他ありません。その後も安定してOPS8割前後を期待できる打者としてチームの1番打者として活躍。当時の平均OPSが7割前半程度なことを考えると平均点以上の成績は十二分に残すことができていたと言えるのではないでしょうか。守備では、サード時代に3度、ショート時代に1度のゴールデングラブの獲得。刺殺、捕殺はそれぞれリーグ最多回数を複数回記録していることから守備範囲が非常に優れていたことがわかります。また、プレー動画を見ると投手出身なことを生かした肩の強さに目がひかれます。内野の深い位置からノーステップで送球することができるのは大きな魅力ですね。また、走塁面でも貢献は大きく、盗塁王を4度獲得。走攻守のツールが全て揃った素晴らしい選手というほかありません。

ベイスターズ時代に獲得したタイトルは、盗塁王4回、最多安打2回、ゴールデングラブ4回、ベストナイン5回。積み重ねた安打数は、2306安打。ベイスターズの選手としては歴代最多の安打数です。そして何より、日本一に貢献した選手。ファンから愛されることが心から納得できる選手です。そんな選手がベイスターズで引退しなかったのは少し寂しいですね。

広島時代、そしてコーチとしてのキャリア

出場機会を求めたこと、フロントとの確執などもあり、2009年活躍の場を広島へと移します。広島時代は主に代打として活躍して、4年間で125安打を記録し、通算100HRも達成。打率が3割を超える年もあり素晴らしい成績を残しました。そして、あの感動的な引退試合を経てコーチとなりました。応援歌の引き継ぎはもっといろんな球団間で起こってくれると嬉しいですね。スタジアム全体が一体になって歌い、一人の選手の門出を見送るこれ以上に素晴らしい引退試合はそうないと思います。

通算で残した成績は、プロ野球歴代14位の2432安打を筆頭に、打率.282、102HR、358盗塁。ショートとして当時最高の1765試合の出場。また、投手として勝利を上げた上での2000本安打の達成は、野球の神様川上哲治選手と彼の2人のみの達成。野球史に残る名選手であることは誰も否定することができないでしょう。

また、現役最終年には広島のコーチに就任。コーチとしての実績は知っての通りで、広島を3連覇に導いた立役者は彼だという声もあります。広島、ヤクルト、巨人でコーチを歴任し、育ててきた選手は数しれません。そして、そのようにキャリアを積んだコーチが2021シーズンからベイスターズでコーチとなることになるわけです。そして、今、ベイスターズには石井琢朗の後継者と言われる森選手がいます。石井琢朗の後継者を自らの手で育て上げ、その選手がベイスターズに日本一をもたらす。そんな未来を待ち望んで仕方ありません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?