言語化

言語化していく、というのが今の我々のテーマだが、
そこにあえて一石投じるとすると「言語化って本当に必要ですか?」でしょうか。

急に反旗を翻した感じになりますが、大前提として「言語化は必要」と考える人間です。
なので、冒頭の問いは実は「言語化の前に必要な事があるのではないか?」です。

言語化にはその前段となるリスト能力が必要なのではないか?が正しい投げかけですかね。

仕事柄、仕事の進め方やお客さんへの説明の仕方、
新人や経験の薄い人に仕事のやり方を教える事がしばしばあるのですが
考え方や方法を教えても、一定数出来るようにならない人がいます。

言い換えると、教えられた考え方を応用的に使って別の事を考えることができない人、ですね。

例えるならマイナスネジを締める時はこれを使うんだよとマイナスドライバーを渡して締め方を教えると、
教えた側がネジの形状を説明してそれに必要な工具はマイナスドライバーだから、という前提を省いてしまったパターンもあるが
説明していたとしても、意図を理解せずに切り取って学習してしまうと
教えられた側によっては、マイナスドライバーですべてのネジを締められると思う場合がある、という事。

この写真は美しい。
ではなぜ美しいと思うのか?

言語化はこの「なぜ」を繰り返し深堀りすることで成熟すると考えるが
考え方が分からない人はこの「美しい」というネジに
マイナスドライバー一本で挑むので太刀打ちできなくて
「なぜって・・・美しいから」で終わるのではないだろうか?

僕の考える言語化は
大きく曖昧な意味合いで使われている言葉や感情を
細分化するという横軸と
深掘りするという縦軸で構成されると考える。

抽象的でわからない?

例えば先ほどの「なぜ美しいと思うのか?」について言語化しようと思った時に
「美しい」に真正面から挑んで行くと、大体曖昧な結論しか出てこない。
なので、一旦美しいを言語化する事はおいておいて、
「美しい」が使われる場面ってどういう場面だろう?を考える。

・絶景を見た時
・造形的に整った人間を見た時
・心温まるような行為、賞賛されるような行為
・よどみのない整然とした工程
・異なる種別の動物がお互いに愛情を持って接するような光景
・個人的に好む直線や曲線に対して
・楽器の音色や音階などに対して

僕がザッと考えて出てくるのはこの程度。
他の人に聞くともっと出てくるかもしれない。
本や映画や音楽の歌詞にヒントがあるかもしれない。

冒頭で提言した「リスト能力」がこの候補をどれだけ挙げられるかの能力を意味します。

ありえない候補でもリストに入れる事も重要だと思います。
常識的にありえない、と判断したのでしょうけれど、その常識が間違っていたら
結果に辿り着けない可能性があるからです。
候補とした上で深掘りし、除外するのはアリだと思います。

とりあえず最初にいくつか候補を上げて、途中で思いついたらドンドン足していっていいと思う。
その上で、一つ一つ深掘りする。

絶景を見た時、なぜ美しいと思うのか。
ここでも「美しい」は分解できそうにない。
なので「絶景」とは何かを分解してみてはどうだろうか?

絶景に含まれるものは・・・
夜景とか
広大な景色とか
自然の脅威を感じるような光景とか
そういうものですかね・・・

ここでもリスト化の能力が必要になりますね。

そこばかりこだわっては話が進まないので
とりあえず「夜景という絶景はなぜ美しいのか」というところまで限定的に範囲を絞り込めました。

これでもまだ「なぜ」を語るのには難しいような気がします。

では「夜景」を構成する要素は何か?

「暗闇」と「光」ですね。

もう一つの要素は
「光」の量や密度じゃないでしょうか?

暗闇に一つぽつんとある灯り、は個人的には好きな光景ですが、
客観的に言うと「絶景」になりうる可能性は低い。
やはり、一般的には無数に瞬く街の灯り、みたいなものを想像する気がします。

一つ一つの家の灯りの集合体を指す場合と、
あとは、世界三大夜景で調べると
香港、函館、ナポリ、とかが出て来ましたが、本当にそこが3大夜景か、はさておき
色とりどりの灯りやネオンと、その対比となる海のような絶対的な黒みたいな要素で構成されてました。

暗と明、そしてそのどちらも圧倒的であること。

キーワードを残すなら、キラキラ、とか、光芒、みたいなものでしょうか。

一旦このくらいにして、次のリストも同じくらいまで深掘りし、今度は横軸で比較してみたらどうでしょう?

「つまりこういうことか」というまとめに共通項はないか?
「キーワードとして挙げた言葉」に共通項はないか?

こうやって横で細分化し、縦で深掘りし、さらに細分化し深掘りし、を繰り返すと

横軸には「人が何かをみて美しいと思う要素」が並ぶと思いますし
縦軸を辿ると「この写真を見て自分がなぜ美しいと思ったのか」を言語化する事が出来る気がします。

なので、いきなり言語化しようとせずに、リスト化するところから始めてみてはどうでしょうか?


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