人生って意地悪なんです
今朝、7時前に、可燃物の入ったゴミの袋を2つぶら下げて、道路を挟んで向かい側にある収集場所へ運ぼうとしたときのこと。
隣家の敷地内に、ゴミが散らかっている。
観ると、ゴミの袋が破れて、中に入っていたゴミが散乱している。
そして、そのそばに、猫がいた。
その猫が、ゴミの袋を爪で引っ掻いて破いて、中のものを漁ったのだろう。
食べ物を探して。
虎縞。
まだ完全に成獣にはなっていない。
若い雌のようだ。
あるいは、栄養失調で成長に障害が出ているのかもしれない。
少し痩せた感じと、脚のしなりと、顔つきは、言うまでもなく美人。
その猫は、破けたゴミの袋のこちらがわに座って、こちらをむいて、そして、伏せた。
僕が手に持って運ぶゴミの袋に顔を向けて、首を回して、目で追った。
僕はそのまま、ゴミ袋を収集場所まで運んで、そして振り返ると、その猫は、向こうを向いて歩いて去ってゆくところだった。
僕はそのまま、雨の合間の短い散歩兼タバコの吸殻拾いとゴミ拾いに出かけてしまったので、その猫がその後どうなったかは知らない。
そして、今日、一日中、手を休めたりする折に、その猫のことを思い出していた。
美味いものをくわせてやりたいな、と。
なにか美味い方法はないものか、と。
キャットフードかなにかを買って与えることは容易いが、それをしてしまうと、多くの人たちに迷惑をかけることになる。
僕ひとりでは無理で、周囲の人たちの協力が欠かせない。
つまり、みんなの意識が同じ方向を向けば、いろんなことができる。
しかし、世の中、そうは問屋が卸さない。
みんなが、仲良く、美味いものを食べて、ひもじい思いをすることなく、楽しく暮らすにはどうすればよいのだろう。
みんなとは、人も、猫も、犬も、カラスも、シラサギも、ツバメも、スズメも、熊も、虫たちも、みんな、だ。
余談だが、蚊。
あの、血を吸う蚊である。
行儀の良い蚊は、血を吸う前に、必ず、挨拶をする。
血を吸わせてください、と。
僕は、そういう蚊には、少しくらい血を分けてあげてもいいと思う。
のだが、家族を守るためには、そういうわけにはゆかない。
この世の中は、なかなかうまくゆかないようにできている。
人生って、意地悪なのだ。
僕にできることは、精一杯祈ることだけなのだろうか。
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