今年のカード
毎年、と言っても今年で2年目ですが、12月になると Houdini でクリスマスカードを作ってお世話になった人たちに差し上げています。というわけで、Houdini アドベントカレンダー初参加の今年は、今年のカードについて書いてみたいと思います。
1 デザイン
最初に、カードのデザインについて説明します。概念設計〜基本設計に相当します。
① モチーフ
今年描いたものを今年のカードに使います。今年のカードには、9月から10月にかけてモデリングしたピアノとフルートをモチーフに使うことにしました。
② 構成
まず、ピアノとフルートの配置を決めました。最初に思い浮かんだイメージは、ピアノが正面に置かれていてフルートが宙に浮いている、という、ただ単に配置しただけのものでした。それでは面白くないので、ピアノは角度をつけてフルートはピアノの上に置かれている、ということにしました。バックには、クリスマスらしく、赤と緑が出るような花を置きます。クリスマスらしくキャンドルも灯します。メッセージも添えます。
2 アイテム
構成する各アイテムについて簡単に説明します。
①ピアノ
家庭に置かれる小型のアップライトピアノです。塗装色は白です。キーボードは、MIDIデータを与えると楽曲に合わせて鍵盤が動くピアノロールになっています。
②フルート
実際のフルートと同じサイズで同じ構造になっています。ヘッドスクリューと各管部のジョイント部分は省略してあります。Material Palette の Gold の Material をそのまま割り当てています。フルートのキーは、MIDIデータを与えると楽曲に合わせて動くようになっています。
③楽譜
Grid を変形させて、軽く Displacement して作った紙に、本物の楽譜を撮影したものを投影してあります。
④キャンドル
西洋の平たい形のものです。炎は、Shelf の Candle をそのまま使っています。パラフィンには SSS をつけてあります。
⑤背景
Grid に実写のコスモスの写真を貼り付けてあります。クリスマスなのにコスモスなのか、と、突っ込んでください。
⑥その他の背景
シーンの周囲には背景等は配置してありません。無限の暗黒が広がっています。
⑦タイトル文字
「Hyvää Joulua」はフィンランド語です。Font に Resample で Edge 上に point を作って★を CopyToPoints しています。★の色は、6色から rand() で選んでつけています。
⑧メッセージ文字
Font を Scatter して作っています。古い顔料インクがところどころ剥げている感じです。Native American の言葉なので、クリスマスとは関係ありません(汗)。
⑨メッセージ文字の背景
point を CurlNoise で動かして Trail した Line です。先端が細くなるように、@width を処理しています。
⑩挨拶文字
「今年もお世話に・・・」は、Adobe Illustrator で入れてあります。
3 ライティング
ライティングについて簡単に説明します。配置している Light は4灯です。
①部屋の灯り
上部に Point Light を配置しています。
②キャンドルの灯り
キャンドルの炎の位置に Tube Light を配置しています。Tube Light に代えて Point Light でも見た目には違いはないと思います。
③背景の植物の灯り
Area Light で照明しています。
④テキストの照明
テキスト自体が Luminance しています。
4 レンダリング
mantra でレンダリングしました。SSS Quality の値を大きくしてあります。
5 仕上がり
これから誰かがピアノを弾くのでしょうか?。誰かがフルートを吹くのでしょうか?。それとも演奏が終わって、みんなで静かにクリスマスの夜を過ごしているのでしょうか?。そんな雰囲気の絵に仕上がったかな、と思います。
6 問題
ピアノのボディに映っている譜面台が歪んでいます。この部分は1枚の大きなメッシュで構成されていて、スムージング処理された法線が斜めになっているからです。これをちゃんと映すためには、適当にメッシュを切るということになります。この絵では、歪みが面白いのでそのままにしてあります。
7 おわりに
Qiita に書くような内容ではありませんが、なんでもいい、ということでしたので書いてみました。
8 おまけ 方法論としての数値モデリング
Houdini を使い始めて1年半ですが、こんなに手に馴染む世界に出会えたことは幸せなことです。Houdini は、シミュレーションやエフェクトが優れている、という下馬評かと思いますが、モデリングに関しても極めて優れています。「世界最強のモデラー」と言っていいと思います。PolySplit は特に快適です♪。
Shelf の豊富なツールを使って自由にモデリングできますが、ときどき AttributeWrangle を繋いで数値でモデリングすることがあります。効率はものすごく悪いのですが、マウスオペレーションではできない細かいモデリングができます。
仕事でモデリングするときには、C/Pを上げることは重要で、マウスオペレーションで大雑把にモデリングして、SubDivide という方法を使うことは多いのですが、ワンポイントで数値モデリングすることで、細部が引き締まった、少しだけハイクオリティなモデルを作ることができると思います。
9 おわりに その2
Houdini は、ぽん太が学生の頃からずっと待ち望んだ、ぽん太お気に入りの画材、魔法の筆と魔法の絵具と魔法の画用紙です。
※この記事はHoudiniアドベントカレンダー2019に参加しています。
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